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第55回 【試写会】マイウェイ 12,000キロの真実
1928年、日本占領時代の朝鮮。憲兵隊司令官の祖父に持つ長谷川辰雄(オダギリジョー)は、使用人の息子キム・ジュンシク(チャン・ドンゴン)と出会う。
オリンピックのマラソン金メダルを夢見る2人だったが、いつしかその関係は国同士の戦いとなり、憎み合うようになる。やがて開催されたオリンピック選考会で事件が発生。罰としてジュンシクは日本軍に強制徴用され、戦況悪化により辰雄も戦地へ。オリンピックの夢が消えた2人は、1939年、ノモンハンで運命の再会を果たすが…。
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第二次世界大戦で日本、のちにソ連、のちにドイツと
三国の兵士として戦い、連合軍の捕虜になった
東洋人の実話をヒントに、つくられた作品です。
マラソンのオリンピック代表枠をめぐる日本と朝鮮との問題など
ところどころに史実が含められています。
最初は、当時朝鮮を支配していた日本、及び日本人の
イヤらしさばかりが目につき、
何とも言えない気分になりますが
物語が進むにつれ、自ずと焦点が変わってきました。
理不尽な仕打ちの中、戦地にいながらも、
マラソンの夢をあきらめずに、
深夜に一人黙々と走り続けるジュンシクの姿。
そのブレない姿は戦争の現場でも変わらず、
いつも仲間の身を気にかけ、助けようとします。
いかなる環境下においても、
常に自分の一番大切なものを大事にしようと
し続ける姿勢に心惹かれます。
また、権力者の家で育ち、見ようによっては
極悪人の象徴にすら思える、
辰雄の心の動きもポイント。
常に上から目線で一方的立場だった彼が
戦地での出来事を通じて、どのように変わっていくのか。
役者たちの魂を削るような迫真の演技に
そこが劇場であることを忘れてしまうほどの
超リアルな臨場感!
2時間半近い長編にも関わらず、
まばたきすらできない緊迫感がありました。
全てを失った人が、再び希望を取り戻す・・・
生きるエネルギーが湧いてくる作品ですね。
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2012.1.23 掲載
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