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第52回   ちいさな哲学者たち

ちいさな哲学者たち

フランス、パリ近郊の教育優先地区にあるジャック・プレヴェール幼稚園では、3〜5歳の子どもたちが哲学を学ぶという、画期的な取り組みが行われている。教師のパスカリーヌは、子どもたちを集めて月に数回、様々なテーマについて考えさせて討論させる。たとえば「愛とは」「死ぬ事とは」「自由とは」などなど。そんな抽象的なテーマに対し、自分なりの意見や答えを見つけて話し合う子どもたち。果たして、どんな展開が…。


見終わっての第一印象は、
とてもフランスらしい映画である、ということ。

そして、幼稚園で哲学の授業とは、
なんともフランスらしい取り組みだな、と思いました。

ぼくも、日本を中心に、海外の学校でも
講演や絵本の読み聞かせ活動を続けていますので
考えるところは多かったですね。

もし日本で同じことを試みたとしたら、どうなるのか?

小学生高学年くらいを対象なら、
多少なりともイメージが湧いてきますが、
幼稚園では、う〜ん…。


本作を見ていただければわかりますが、
園児たちの発言はとてもユニークです。

もちろん、全員が全員積極的なわけではなく、
まるで興味を持てていないと思われる子もいます。
トンチンカンな展開になることもあります。

それでも家庭を含めて、幼児のうちから
「自分の頭でモノを考える」
ということに、熱意をもって取り組んでいく姿勢は
素晴らしいと思わざるをえません。

お国柄といってしまえば、それまでかもしれませんが、
日本も“右へならえ”ではなく、自分の頭でしっかり考え、
自分の意見を言える環境づくりが必要かな、と思います。

そして、特に大事なのは、自分の意見を言うこと以上に
「人との考えの違いを受け入れる」ということでしょう。

日本では、ややもすれば
意見が違う=自分を否定されたような気持ちになる
傾向がありますので、子供の頃からの意識付け次第で
世界や価値観が本当に広がると思います。
映画でも、まさにそんなシーンが出てきます(笑)

ドキュメントならではの面白さがいっぱいの作品。
ぜひお楽しみください!

『ちいさな哲学者たち』
2011年7月9日より公開中
■公式サイト: http://tetsugaku-movie.com/

2011.8.27 掲載

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