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第51回   ミラル

ミラル
1948年、イスラエル建国宣言1ヶ月前のエルサレム。その戦火の中、親兄弟を殺された多くの孤児たちに出合ったヒンドゥ(ヒアム・アッバス)は、私財を注ぎ込んで、「ダール・エッティフル(子どもの家)」を設立する。その後も孤児の数は増え続ける一方。その中に母を失った少女ミラル(フリーダ・ピント)がいた。
1987年、17歳になったミラルは、イスラエル軍の暴虐に遭遇。パレスチナ人の蜂起に参加するが…。


映画の醍醐味の1つ。

それは、今、自分が住む世界からは
想像もできないものを味わうことができること。

人間の想像力は無限といえど、
全くの無から想像できることにはやはり限度があります。

それが映画を見ることによって、あたかもその時代、
その空間にいたかのような感覚を味わうことが可能になります。

すぐれた作品であるほど、
より鮮明なイメージを人に与えることができる!
本作、ミラルには、そんな強い力が秘められています。

日本で暮らす我々からは、想像もつかない世界。
しかし、時間の経過とともに、
対岸の火事ではなく、当事者のような気持ちになっていきます。

人が人として生きていくとき、
成長過程における共通のテーマがそこにはあります。


『スラムドッグ$ミリオネア』のヒロイン、
ラティカ役で注目を浴びたフリーダ・ピントが
主人公のミラルを熱演。

『扉をたたく人』でも名演したヒアム・アッバスが、
非常にいい味を出しています。


「平和というのは、暴力によってではなく、
 教育と愛によって実現していくもの」

というヒンドゥからのメッセージが強く印象に残りました。
“平和”のところを他に置き換えると、全てのことに通じます。

人間関係がさらに希薄になりつつある
今の日本にこそ、必要な作品です。

『ミラル』
2011年8月6日より公開中
■公式サイト: http://www.miral.jp/

2011.8.13 掲載

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