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第42回   【試写会】冬の小鳥

冬の小鳥
1975年、ソウル近郊。よそ行きの服を着て、父との旅行を楽しみにする9歳の少女・ジニ。しかし、父親に連れてこられた所は、カトリックの児童養護施設。予想だにしなかった展開に戸惑うジニ。それでも、父が必ず迎えに来ると信じ、院内の人々に反抗を繰り返す。
そんな中、ジニを気にかけてくれる年上の友達ができ、頑なだった気持ちも少しずつ変化していくが…。



人生は自分次第でどうにでもなるもの。
古今東西、長きにわたって言われてきています。

しかし、それは大人に関してのみ言えることで
子供については別だと思います。

子供は生活環境や親の事情に
否応なしに翻弄されます。
こればかりは、どうしようもありません。

本作は、大人の事情によって施設に置き去りにされ、
想像もできない運命に身を委ねることになる少女の物語です。

子供たちの心の中にある、絶望の闇と一縷の望み…。
要所で流れる歌の、何と切ないことか。
画面に吸い寄せられるようにして見ました。

しかも、本作が、
ウニー・ルコント監督の実体験に基づくものと知って
ますます驚きました。

もし自分が同じ立場なら、一体どうなっているでしょう?
どうしているでしょうか?

後から思い返すほどに、考えさせられることだらけです。
"名作"と呼ぶにふさわしい作品です。


『冬の小鳥』
10/9(土)より、岩波ホールにて公開
■公式サイト: http://www.fuyunokotori.com/

2010.10.6 掲載

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