WEB連載

出版物の案内

会社案内

第39回   フェアウェル さらば、哀しみのスパイ


フィクションと思えば、
サスペンス的な見方で
十分楽しむこともできる。

しかし、これが事実に基づいた物語だとするなら、
自分の知らない世界というのが
明確に存在していることを
改めて思い知らされる。

そして、今日この瞬間にも、及びもつかないところで
何らかの駆け引きが繰り広げられているかもしれない。

見えているもの、聞かされているものが
この世の全てではない。

それを感じられるだけでも
この映画を見る価値がある。

歴史を変えたスパイ行為。
たった一人の人間の想いから
生まれた大事変。

もし彼がいなかったら、
何も動いていなかったら、
今の世界情勢はどうなっているのだろうか?

息子の将来のため、とはいえ、
祖国を裏切るという心の葛藤は、いかなるものか?
いろいろ考えさせられる。

たかが人間、されど人間。
時に無力さを感じることがあったとしても
歴史を動かすのは、政策ではなく、
ちっぽけな人間の熱い想いなのかもしれない。



7月31日より公開中

●公式サイト
 http://www.farewell-movie.jp/

2010.8.23 掲載

著者プロフィールバックナンバー
上に戻る