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第9回 
転職を考えているが、目標を見失ってしまった女性をコーチ!


相談者のプロフィール 北川尚子さん(仮名)
長い間、有機化学、有機材料分析の研究職に従事してきたが、今の機械的な仕事に納得していない。
相談者の悩みごと 転職を考えているが、自分が何をしたいのかが分からない。目標を見失ってしまっている。

北川 ずっと有機化学、有機材料分析の研究職を勤めてきましたが、努力して覚えた技術を現在は全て機械で行っています。 機械を操作するだけの仕事にやりがいを感じることができなくて、転職を考えています。 今回申し込んだのも、コーチングというお仕事に興味を持って、実際にどうしているのかを見たかったというのもあります。

ここで、北川さんの現在のお仕事は、プロジェクトがあると応募し、採用されたら参加するという不安定なものだということが判明。 特に、これから最新の知識と技術を身につけた若い人たちがでてくる中で、常に自分がどれだけ必要とされるかという不安がある。 本来ならば、仕事を通じて、「これなら負けない」というキャリアや確固としたバックグラウンドを持ちたかったという。

本間 それでは、過去のキャリアというものを教えていただいていいですか?
北川さんが過去を振り返って、自分がイキイキとしていたと思われるのはいつでしょう?そのイキイキしていたころは、毎日どんな感じでしたか?
北川 正直、「これはやった」というものが見つからないのが現状です。 でも、働き出したころは「とにかく頑張ろう」と、とても張り切っていて、職場に一時間早くに行って準備をしたりしていました。
本間 なるほど。それでは、それがどうしてガクンと下がってしまったのかな?
北川 頑張っているのに、周囲からは「女の子ちゃん扱い」され、大きな仕事を全く任せてもらえずに落胆した覚えがあります。 そうしているうちに意欲もなくなっていってしまいました。

ここで浮き彫りになったのは、職場の人による「女の子ちゃん扱い」によって仕事をあまりさせてもらえず、 自分の仕事力について自信がもてなくなっていったことだった。 そのようにして現在は、自分の年齢的なこともあり、若い人と競う自信がない。

本間 なるほど、では今後プロジェクトに参加できる場合とできない場合とを考えてみましょう。

参加できないだろうと思った北川さんは、色々と今後の就職先を考えていることが分かった。 図書館情報士になりたいと思い、現在資格の勉強中である。しかし、資格をとっても就職先がないのが現実。 コーチングにも興味を持ったが、長いプロセスを要するのだと知り、断念。 「癒し」に関心をもち、アロマコーディネーターの道も考えたが、ここでも営業力のある若い人が重宝されるのだと分かった。

北川 結局、だめな理由を自分で探して、いいわけしているところがあります。

ここで本間さんは説明をいれた。慎重であるということは、軽率でちゃらんぽらんでないということなのでプラスに考えてよい。 そして北川さんのプラスの面を次々とあげた。理科系のバックグラウンドを持っているところ。有機材料分析などをしていた経験からか話し方が理論的であること。 また、実務経験があることは日本社会ではプラスであること。女性の社会的立場についても、自身の体験に基づいた理解があるということ。

本間 とにかく、めのこ算式ではないですけど、確率の問題で、数をうってみたらどうでしょう?目指せ30職種!どうでしょう?
北川 行ったり来たりしてどこにも到達しないのには、限界を感じます。やっぱり年齢的に、体力と記憶力が落ちたことがネックになっています。
本間 体力の衰えは、努力をすれば防げますよ。 それこそ理科系の分野におられたのですから、身体・脳の老化を防ぐのに何をなさればいいのかはご自身がよくご存知なのでは?
北川 なるほど・・・・体力を、パワーをまずつけることからはじめればいいのですね。 でも、やっぱり目標が見つからないことにはパワーがでてこないんです。
本間 では、北川さんの憧れはなんでしょう?知的好奇心が沸くものとか、好きなもの、やっていると快感を得るものとか。
北川 本が好きです。実は図書館情報士になりたいと思ったのも、患者さんのための図書館をつくりたいと思ったのが始なんです。 でも何件か断られてしまい、やっても無駄かもと思ってしまいました。やっぱり、何をするにも、就職に結びつかないことがネックになってしまいます。
本間 ひょっとしたら、アピールの仕方に問題があるのかもしれませんよ。北川さんの専門性の高さを強みにするとか。 患者さんのための専門図書館を作るというのは試してみる価値のあるアイディアだと思います。 300受け入れ先があるとして、そのうちの5つ断られたからといってくじけてはいけませんね。
北川 そうわれると実もふたもありません・・。
本間 もし今後、就職先が見つからなかった場合、ご家族の方とはどういうお話をなさっているのですか?
北川 親は一緒に暮らしていいといってくれていますが、私は絶対に親に頼って生計を立てるようなことはしたくないです。
本間 だったら、なおのこと、くじけたら駄目ですね。この世界に、北川さんと全く同じプロセスで人生を歩んでいる人はいなんです。 そのプロセスに価値を見出してくれる人はいるはずです。 結果ご両親と暮らすことになったとしても、それが逃げた結果か、やりつくして駄目だった結果かによってその後の人生のクオリティーも大きく違ってくるのです。
北川 はい。やっぱり私は、情報が欲しい人に必要な情報を与えることがしたいです。
本間 そうですか。やってみましょう。確かに本の話をしているときの北川さんが一番生き生きとしていますよ。 300あるうちの1当たればいいという心持で。 そのためにはやっぱり体力が勝負の決め手になると思います。週に一回、歩いてみるというのはどうでしょうか?
北川 でも年をとってしまって。自分でも手ごたえを感じられる目標がないとなかなか頑張れません。 たまの休みくらい、何もせず部屋で一人で本を読んでいたい。

そこで本間さんは説明した。一週間は168時間あって、そのうち40時間が仕事だとする。 残りの128時間の色を明るくする、そういう作業をしてみたらどうか?視線を変えると街が変わってみえることある。 もう少し胸を張っていきてみてはどうか?例えば、自身の決断力の無さをマイナスに考えてるようだが、それは強みなので無理に変える必要はない。 決断力のあるなしというのは、決断力を有るという立場をとるか、無いという立場をとるかの違いだけで、みな何かしら決断して生きている。

北川 そうか・・自分の弱い声を無視して頑張るには、やっぱり体力ですね!!
本間 そうですね。やっぱり体力は大事です。一週間に一時間、外に出てウォーキングをする習慣を身につけてはどうでしょう?
北川 心がけます。でもこれから寒くもなるし・・・。
本間 もし、弱い心がでてきたなと思ったら、それをフッとふいちゃうおまじないをやって見るのも一つの方法です。 慎重もいいですが、ブレーキもずっと踏み続けていると、前に進んで変化することができないですから。


処方箋 ○自分の長所を武器にする
○300あるうちの1当たればいいという心持でのぞむ
○一週間のうち、仕事以外の残りの128時間の色を明るくする
○体力をつけるために、1週間に1回は外に出てウォーキング
感想 コーチングというのがどういうものか分かりました。納得がいかない部分もありますが、勉強になりました。ありがとうございました。
コーチからの一言 「目標が見えない」「何をやってもうまくいかない」という気持ちになること、ありますよね。 そんな時に、頭で考え続けるだけでは、同じ思考パターンから抜け出せません。 そういう場合は、体を動かしたり、自然と一体感を感じたり、リフレッシュする体験の中から、自分の進むべき方向性がパッと見えてくることがあります。 北川さんは、素晴らしい資質と実績を持っているのに、そのことを認めようとすると、ついブレーキを踏む癖がありました。 普段よりはだいぶ後押しするコーチングになりましたが、ブレーキの効きが強かったので、私もパワーを出した、という感じです。(本間正人)
著者プロフィール
本間 正人(ほんま まさと) : NPO法人学習学協会代表理事、帝塚山学院大学客員教授(ビジネスコミュニケーション担当)、NPO法人日本コーチ協会理事、国際コーチ連盟(ICF)プロフェッショナル認定コーチ(PCC)。 1959年東京生まれ。東京大学文学部社会学科、ミネソタ大学大学院修了(成人教育学博士、Ph.D.)。ミネソタ州政府貿易局日本室長、松下政経塾研究部門責任者などを歴任し、教育学に代わる「学習学」の構築を目指して、研究・ 講演活動を展開している。主なテーマは、学習学、コーチングの他、キャプテンシップ(プレーヤーとしてのリーダーシップ)、ライフ・アンド・ワーク・ハーモニー、など多岐にわたる。2002年4月〜9月 NHK教育テレビ「英語ビジネスワールド」講師。週刊TVガイドなどにコラム連載中。主な著書に 「入門ビジネス・コーチング」(PHP)、「コーチングに強くなる本」(PHP)、「TOEICTESTプログレッシブ単語力」(共著、小学館)、「よい政治家の見分け方」(ディスカヴァー21)、「英語で鍛えるロジカルシンキング」(日経BP)、「人を育てる叱りの技術」(ダイヤモンド社)など多数。

http://www.homma.com/ (本間正人個人ホームページ)
http://www.learnology.org/ (学習学協会ホームページ)
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