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第8回テーマ : 専業主婦は年金を払うべきでしょうか


ページ : TOP 1 解説
(「専業主婦は年金を払うべきでしょうか」前文より)

専業主婦にとって、毎月の年金を払わなくていい、というメリットがある反面、 離婚すると遺族年金の権利がなくなるというリスクもあるいまの年金制度。 (もし、私の解釈が間違っていたら、誰か指摘してください)
独身女性にとっては、どうして一生懸命働いている自分たちだけ年金を払って、 夫の給料で暮らしている主婦は、年金を免除されるのか、納得がいかないようです。

20歳を過ぎれば、学生でも年金を徴収される時代 (でも、将来、本当に年金をもらえるのかどうかは不透明)
若い人にも、いろいろ言い分は、あるのではないでしょうか。

実質的に、主婦分の年金を自分が負担することになる夫たちだって、ひとこと言いたいのでは?


「びわこの狸」さんの意見(解説?)
専業主婦にとって、 毎月の年金を払わなくていい、というメリットがある反面...

専業主婦は毎月の年金を払わなくても良いではなく、国民年金の第2号被保険者の 被扶養配偶者は直接納付義務がないということです。

平たく言うと、サラリーマンの妻の事です。しかし、サラリーマンの妻とは書いて ませんので夫でもかまいません。いわゆる専業主夫ですね。また、専業主婦でも自営 業者の専業主婦や、厚生年金に加入していない事業所に努めている夫の専業主婦は該 当しません。

このような方々を国民年金第3号被保険者といいます。

第3号被保険者の保険料は厚生年金より基礎年金拠出金という形で、国民年金に送 られます。

従って、第3号被保険者の保険料が免除されているわけではなく、直接納付する義 務がないだけで、保険料を納付していることにはかわりありません。

では、何故このような制度になったのでしょうか?

昭和61年4月1日前は、サラリーマンの妻は国民年金に任意加入でした。つま り、国民年金に加入しても加入しなくてもどちらでも良かったのです。

その結果として、女性の方が将来老齢になった時点で、無年金となる方が続出しま した。

サラリーマンの収入は内助の功があってこそのサラリーマンであり、永年夫を支え てきた妻が無年金で夫は厚生年金と言う世帯が増えたわけです。つまり、現役時代の みならず、老後においても収入は夫に頼らざるをえない状態がサラリーマンの妻には 続くようになったわけです。言葉が悪くて申し訳ないのですが、妻が夫に経済的に従属せざるを得ない状態となるわけです。夫婦間の平等は経済的な問題ではなく愛情の 問題なのですが、やはり経済的な問題も無視できない一面もあり、改善が急務となり ました。

そこで、サラリーマンの妻は第3号被保険者として、保険料を直接納付せずに将来 年金が受けとれるシステムを開発したのです。国際的にも非常に良い制度だと思いま す。

ただ、この制度の弊害として、サラリーマンの妻がご自分の年金を受給し出すと夫 を見限って離婚するという高齢離婚が増えました。世のご主人方、老後になって奥さ んに見捨てられないように日頃から奥さんを大事にしましょう(笑)


離婚すると年金の権利がなくなるというリスクもあるいまの年金制度...

離婚と年金の受給権は関係ありません。前述したように関係ないからこそ高齢離婚 が続発しているわけです。但し、離婚の時期により年金額に差がでる場合があります ので、離婚の時期は慎重に決めて下さい(笑笑)


独身女性にとっては、どうして一生懸命働いている自分たちだけ年金を払って...

働いていると基本的には厚生年金の被保険者ですので、将来老齢厚生年金と老齢基 礎年金(国民年金)の両方が受給できます。やはり負担した保険料に応じた給付はあ ります。

これに対して、専業主婦は老齢基礎年金(国民年金)だけとなります。もちろん、 専業主婦の方が過去に厚生年金の被保険者だった期間があればその期間分の厚生年金 はでます。


20歳を過ぎれば、学生でも年金を徴収される時代...

平成3年4月1日前は学生も専業主婦と同様任意加入でした。この結果国民年金に 加入しない学生が続発しました。というより殆どの学生は加入しませんでした。そこ で、学生が交通事故等で障害者になったときなどに、加入していないが為に障害基礎 年金が受給できない事態が続発しました。また、大学院の学生は30才を超えてもま だ学生をしている人が沢山います。このような方々についても、将来の年金額のこと や万が一の事態に対する備えが必要となり、学生強制加入になりました。

しかし、急に強制加入に切り替えても保険料負担の問題がありますので、保険料免 除の制度を学生については手厚くしました。平たく言えば保険料免除を通りやすくし たわけです。

それでも、学生のご両親にとっては子供の学費・生活費(仕送り)・国民年金保険 料となると大変なので、平成12年4月1日より学生納付特例を実施しました。

学生は強制加入ですが、保険料負担がしんどいと感じたら、滞納せずに納付特例を 申請してください。平たく言えば、市役所か社会保険事務所に行って、「払えんから なんとかして!」と申し出てください。普通の学生なら納付特例が適用されます。


(でも、将来、本当に年金をもらえるのかどうかは不透明)

国民年金財政と厚生年金財政は単年度では黒字です。国民年金で3年分・厚生年金 で6年分の積立金があります。つまり、国民年金で3年間保険料収入が0円だったと しても年金給付は続けられると言うことです。

しかし、単年度で黒字だと行っても、今後少子高齢化が進行するといずれ赤字にな りますので、赤字になる前に対策を講じて、給付に支障をきたすことの内容にしよう というのが今回の年金改正の考え方です。

新聞・雑誌・テレビ等では今にも年金財政が破綻しそうな報道の仕方をしています が大きな誤りです。年金財政はどこかの国の国家財政よりよっぽど堅実です。

したがって、将来の年金給付も全く問題ありません。

このように日本の年金制度は非常に優れています。その中でも第3号被保険者の制 度は経済的な夫婦間の平等を実現する上でも必要な制度だと思いますので、第3号被 保険者の制度は現状のままでよいと思います。

[ペンネーム]社会保険労務士 びわこの狸(男・30代・自営業)


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