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女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』 第163号
*** *** 第162通常国会が始まりました。民主党の代表質問への
*****v***** 首相答弁をめぐって、民主党・社民党が一時退席するなど
********* なんだか最初から荒れ模様です。
******* さて、今回は社民党の福島みずほ党首、民主党の水島広子
*** 議員、広中和歌子議員から原稿が寄せられました。
* ヴィーナス議員たちは、今年、何をめざしているのでしょうか。
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目次
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■ 「政治権力のメディアへの介入問題について」
福島みずほ(参議院議員・社民党・比例)
■ 「韓国ではどうやって女性議員を増やしたか」
水島広子(衆議院議員・民主党・北関東)
■ 「女性が子育てと仕事を両立できる社会の仕組みを」
広中和歌子(参議院議員・民主党・千葉)
■ 「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧
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「政治権力のメディアへの介入問題について」
福島みずほ(参議院議員・社民党・比例)
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NHK問題といわれているけれどもそうでしょうか。確かにNHKの問題ではあ
るが、「政治権力のメディアへの介入問題」ととらえなければ、大変なこと
になります。私は、メディアが生きるか死ぬかということを決する問題だと
思います。
2001年1月〜2月にNHK教育テレビ「ETV2001」の特集で「戦争を
どう裁くか」の4回シリーズが放送されました。問題になったのは、1月
30日に放送された第2回「裁かれた戦時性暴力」の番組です。この番組は、
旧日本軍のいわゆる従軍慰安婦問題を審理し、判決を出すという「女性国際
戦犯法廷」を主に取材して構成されました。
「女性国際戦犯法廷」は、「法廷憲章」作成という手続きを踏んで、膨大
な証拠資料と証言に基づき、時の国際法を適用して裁いた民衆法廷です。5
大陸から選ばれた世界的に信頼の高い国際法の専門家や、旧ユーゴ国際刑事
法廷の裁判官がこの民衆法廷の裁判官をつとめました。「女性国際戦犯法廷」
がどのようなものであったか、ぜひ知ってもらいたいと思います。
「裁かれた戦時性暴力」の出演者である高橋哲哉東京大学大学院教授は、
2005年1月30日号の「サンデー毎日」のなかで次のように述べていま
す。
「番組の基本的な趣旨が維持されていると判断した私は、1月28日の追
加の撮影には応じた。しかし、最終段階の1月29日から30日にかけての番組
改変は明らかに異常だった」
高橋さんは、1月28日の追加撮影に応じ、1月28日には44分の番組がほぼ
完成しています。問題はこれからです。1月29日から放送日である30日に
かけて、番組の大改変が行われたのです。出演者や取材に協力した人々は、
放送された番組を見て、当初の企画とあまりに違っていたことに驚き、怒っ
たのです。
そもそも44分番組が、40分で放映されたことは、通常ありえないこと
です。
報道によれば、安倍晋三さんは、「公平公正にやってください」と言った
と述べています。安倍さんは当時、官房副長官です。与党の有力な政治家で
あると同時に「内閣」の枢要な位置を占めています。
ところで、憲法21条1項は、表現の自由を保障し、2項は「検閲はこれ
をしてはならない」と規定しています。表現行為に対して、事前に介入して
はならないのです。検閲は、絶対に許されません。
表現行為に対して、事前に介入したら、そもそもその「表現」は、表に出
ないか、ゆがめられてしまいます。人々は、「表現」されたもので判断して
いきます。そして、民意を形成し、民主主義を形づくっていきます。
メディアに対する政治権力の介入が許されれば、メディアは死んでいきま
す。それは、とりもなおさず民主主義が死んでいくということを意味します。
憲法21条2項が、「検閲はこれをしてはならない」と定めている意味は、
極めて大きいと考えます。
今回の行為は、事実上の検閲であり、表現の自由を侵害するものです。
安倍さんの発言を前提としても、立派な「介入」です。そして、大改変が
行われたのです。このような行為が「問題ない」として居直られたら大変だ
と思います。
日本のメディアの生き死に、そして、日本の民主主義の生き死にがかかっ
ていると思う理由です。
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「韓国ではどうやって女性議員を増やしたか」
水島広子(衆議院議員・民主党・北関東)
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昨年の12月6〜8日に訪韓をし、昨年の総選挙で女性議員を倍以上に増
やした韓国の実態を見てまいりました。以下に、クオータ制の部分だけご報
告します。全体はとても字数に収まり切りませんので、私のホームページ
( http://www.mizu.cx/ )をご参照ください。
韓国で、クオータ制(割当制)への動きが明らかになってきたのは
1980年代の終わり頃からでした。1991年に地方自治が再開されるこ
とになったため、その選挙に向けてクオータ制への動きが焦点化されたので
す。
韓国女性開発院でも、クオータ制についてのレポートを出し、選挙の度、
政権が代わる度、各政党が少しずつ受け入れてきたということです。
1994年に「割当制導入のための女性連帯」が結成されました。
1995年の地方選挙に向け、女性議員が全体の20%に達することを目指
しました。
結果として、女性比率は伸びたものの目標には届きませんでした。
(1991年地方選挙では0.9%、1995年は2.2%)金大中政権になっ
て、女性発展基本法(1996年施行、公務員のクオータ制、女性団体への
支援などを規定)が制定され、2000年には女性部(省)も設置されまし
た。
2000年には政党法が改正され、国会議員・地方議員の比例代表の女性
候補者を3割以上にするという努力義務が規定されました。努力義務だったこ
とと、3割であれば順位には条件がなかったため、2000年総選挙での効
果は限定的でした。
2002年が韓国では「女性政治元年」と呼ばれていますが、政党法が改
正され、地方議会の比例代表候補を5割に引き上げる、名簿順位は男女交互に
する、比率に違反すると候補者登録無効、地方議会の選挙区で女性候補者を
3割以上にした政党には補助金を追加支給、ということが規定されました。
この結果、2002年の地方選挙では、比例代表の当選者のうち女性が
67.2%を占めました。
2004年に政党法が改正され、地方議会と同様の改正が国会においても
行われ、さらに、政党補助金の10%を女性政治発展のために使うことが義
務づけられました。
クオータ制導入に向けて一貫して原動力になってきたのが、女性団体でし
た。女性団体の粘り強い運動があったため、選挙のたびにより本質的なクオー
タ制が導入されてきたのです。
現在、女性団体の主張は、「比例の割合を30%から50%に増やすこと」
だそうです。比例の割合は全議席の30%なので、その半数を女性にする現
行法には自ずと限界があります。
このほか、2004年の政党法改正では、女性専用選挙区の新設も議論さ
れたそうです。また、選挙区で女性候補者を3割以上にした政党には現在でも
追加の補助金が出ますが、これを義務づけるという議論もあるそうです。日
本では考えられないような議論が自由に、かつ真剣に行われている様子は羨
ましい限りです。
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「女性が子育てと仕事を両立できる社会の仕組みを」
広中和歌子(参議院議員・民主党・千葉)
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昨年一年、日本を含め世界各地で多発した自然災害の激しさを考えると、
人間の存在そのものが大自然の前でいかに無力であることかと思う。人は他
の生物同様、この地球で生かされているに過ぎないのに、我が物顔で振る舞
い、自然や他の生物を傷つけてきた。科学、技術を過信し、何事も人間の意
のままになると思うようになっている。こうした人間の傲慢さに改めて鉄槌
を加えたのが昨年の異常気象による台風や地震、大津波ではなかったのか。
オスとメスが対となって子を生み、子孫をふやしていく生物としての自然
のいとなみを拒めば、その種は確実に絶滅する。人間とて例外ではない。し
かし、今の日本では経済的な理由、あるいは仕事や楽しみの邪魔になるとい
うことで、子供を生まない夫婦、出産を先延ばしにする人々が増えていると
いう。中には欲しくとも産めないケースも少なからずあるのだが。
一昔前には5人6人の出産子育ても当たり前だった。貧しさの中で育ち、分
かち合うことを学んだ人たちが大人になり、自分達の子供には、経済的な苦
労はさせたくないと一生懸命働いた結果、その子供たちの多くは与えられる
ことを当然と思い、次の世代へ与えることを学んでいない。それが豊かな先
進国日本の現実だとしたら、そうした国はやがて滅びてしまう。
2005年の正月、マスコミの話題はスマトラ島沖地震の津波被害と日本
の少子化、人口減少が大きなテーマであった。自然災害には不可抗力の面が
あるが、人口減少のような社会現象は避けようと思えば避けることができる。
要は個々人も、社会も、その意志があるかどうかということだ。
日本の出生率1.29、それが今後変わらず続くとなると、今世紀末の2100年
には、人口は4000万人に減少するという。その過程でこの国の経済・産業・
雇用に与える影響は計り知れない、家庭や地域社会にも質的変化がもたされ
るだろう。
戦争中の「生めよ増やせよ」の時代には戻りたくはない。「女性よ家庭に
戻れ」という復古調も困る。社会の中で思う存分自らを活かして働きたいの
は、男も女も変わりはない。子供をもつ女性が働けるよう託児所など もっ
と子育て支援を、という声もあるが、そうした支援を得ても、せいぜい子供
の数は一人、多くて二人、それ以上では仕事を続けることは不可能だ。
しかし、人生八十年といわれる中で子育ての期間はせいぜい十年、長くて
二十年である。女性にとって家庭と仕事をバランスよく両立させるための社
会の仕組みを、もっと柔軟に工夫できないものか。女性にとって出産適齢期
が人生のある時期に限られている以上、男性とは異なる女性の働き方があっ
てもよい筈だ。
これまでの日本の雇用慣行、年功序列終身雇用制度は、男性にとっては好
ましい人生設計であろうが、女性の視点では必ずしもそうではない。、人生
八十年の中に子育て期間を安心して組み込める働き方、子育て以後の再出発
が可能な社会、出産、育児が女性のその後の人生のハンディにならない柔軟
な雇用対策を作ることが大切だと思う。
幸か不幸か最近経済のグローバル化や不況、リストラ等の影響で、“日本
的”雇用形態がゆらぎ始めている。その先に女性が子育てと仕事の両立を、
時差をつけて行える社会が出現することもそう遠いことではないことを期待
したい。
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編集後記 ロゼッタストーン・弘中百合子
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前回、前々回とご紹介した「暴力的なアダルトビデオ規制問題」ですが、
その後、関係者の方からも意見が寄せられました。今回は長くなるので、ま
た次週ご紹介したいと思います。
水島議員の報告によれば、韓国のクオータ制は着実に効果をあげているよ
うです。韓国では、いったん方向が決まると、何に対しても、日本より実現
のスピードが速い気がします。ちょっとうらやましいですね。
女性議員が増えた結果、韓国の政治はどのように変わったのでしょうか。
韓国事情に詳しい方がいらっしゃいましたら、そのあたりのことをぜひ教え
てください。
※「ヴィーナスはぁと」へのご意見、ご質問は vheart@rosetta.jp まで
お願いします。
お手数ですが、お寄せいただくご意見に
1)「掲載可」か「掲載不可」か
掲載してもよい方は
2)「匿名希望」か「実名可」か
3)「事前連絡必要」か「事前連絡不必要」か
をお書き添えいただけると、大変助かります。
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「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧
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◇衆議院
小宮山洋子(民主党・東京) 武山百合子(民主党・北関東)
水島広子 (民主党・北関東)
◇参議院
有村治子 (自民党・比例) 岡崎トミ子(民主党・宮城)
千葉景子 (民主党・神奈川) 広中和歌子(民主党・千葉)
福島瑞穂 (社民党・比例) 円より子 (民主党・比例)
吉川春子 (共産党・比例)
◇都道府県議会
石坂千穂(長野県・共産党) 京野公子(秋田県・いぶき)
高村京子(長野県・共産党) 仁ノ平尚子(山梨県・無所属)
平野みどり(熊本県・県民クラブ)遊佐美由紀(宮城県・民主党)
渡辺智子(香川県・無所属)
詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーン
WEBページで公開しています。⇒ ヴィーナスはぁとプロフィール
各議員のWebページにもリンクしています。
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■次号予告
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次回の発行は、2月3日です。
千葉景子議員(民主党) 有村治子議員(自民党)
岡崎トミ子議員(民主党) が登場する予定です。
※登場する議員は、変更になる場合もあります。ご了承ください。
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発行人・編集人:弘中百合子
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