2002年11月28日発行(毎週木曜日配信)
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女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』第54号
*** *** さて、今回の「ヴィーナスはぁと」は、とても長いです。
*****v***** 一部来週にまわそうかと悩みましたが、メルマガは速報性が
********* 魅力。1週間原稿をそのまま寝かせておくのも、もったいな
******* い気がして、やはり、一気に掲載することにしました。
*** 読者のみなさまは、1週間かけて、どうぞ、
* ゆっくり読んでください。。
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目次
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■ 「司法制度改革が具体化に」
千葉景子(参議院議員・民主党・神奈川)
■ 「ヴィーナスはぁと読者への返事」
吉川春子(参議院議員・共産党・比例)
■ 「“はぐれ雲”的生き方をする人の活躍が頼もしい」
広中和歌子(参議院議員・民主党・千葉)
■ 「与党女性議員をとりまく現状」
有村治子(参議院議員・自民党・比例)
■ 「住基ネットと“電子政府・電子自治体”構想について」
八田ひろ子(参議院議員・共産党・愛知)
■ 編集後記
■ 「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧
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松島みどり議員、小宮山洋子議員、八田ひろ子議員、福島瑞穂議員が
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「司法制度改革が具体化に」
千葉景子(参議院議員・民主党・神奈川)
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司法制度改革に関する法律整備の第1弾として、法科大学院(ロースクー
ル)関連法案の審議が今国会でなされています。今後、2003年の通常国
会では民事に関する法案が、2004年の通常国会では刑事に関する法案が
提出される予定になっており、21世紀の司法の新しい形がつくられていき
ます。
司法制度改革は、民主主義の再構築にかかわる諸改革の最後のかなめと位
置づけられます。政治改革、行政改革、地方分権の推進、経済構造改革が取
り組まれていますが、それらに共通するのは国民の一人ひとりが、自立した
社会的責任を負う主体として、互いに協力し、自由で公正な社会を築いてい
こうとする考え方であり、いわゆる護送船団といわれたもたれ合いと不透明
な無責任社会からの脱却を意味するものです。司法制度改革は、その基本と
なる法の支配を社会に浸透させるための方策を具体化させる取り組みなので
す。
国の三権(立法、行政、司法)のうち、自立した国民の意思をほとんど反
映してこなかったのが司法です。立法機関はその構成員を選挙という国民の
意思によって選びます(現実に様々な問題点があることは別として)。行政
は、地方自治体の首長を住民が選ぶこと等、住民参加の工夫がされてきまし
た。
それに対し司法は職業裁判官の専権事項の分野とされ、国民は裁判を受け
る側でしかありませんでした。司法制度改革は、司法も自立した社会の担い
手である市民が責任を負う分野であると考えるものなのです。
いずれ、裁判員制度の導入が論じられます。陪審員とは若干異なりますが、
裁判に国民も参加し、裁判官と共に国民の責任のあり方を審査することにな
ります。私はこの司法への国民参加が、民主主義を深化させ、成熟させるポ
イントになると確信しています。
今国会で成立が予定される法科大学院(ロースクール)法案は、司法制度
の担い手である法曹を質・量ともにいかに養成するかを問うものです。
概括的に言えば、従来のように司法試験という「点」ではなく、「プロセ
ス」として、社会のニーズに応え得る法曹を養成しようとするもので、その
中核としてプロフェッショナルスクールとして法科大学院を整備しようとす
るものです。
幅広い知識や論理的思考力を身につけ、人間の弱さや複雑な心理などにも
心をはせることができる法曹を育てることができるよう、法案の審議にあたっ
ていきたいと思います。
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「ヴィーナスはぁと読者への返事」
吉川春子(参議院議員・日本共産党・比例)
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読者の皆様の質問・意見にお答えします。返事が遅れてすみません。
私は内閣委員会理事、共生調査会理事、憲法調査会委員、加えて超党派の
パート・議連幹事長、「慰安婦」法案提案者、更にNPO優遇税制の野党法
案提案者と多忙を極めています。「仕事のやりすぎ」と夫のいうとおり腰痛
でダウンし医者から休めといわれましたが、国会は休むのが難しいところで
す。
さて何人かの方から私宛の質問は以下の2点です。
<「慰安婦」問題について>
日本の戦争責任でも「慰安婦」問題ほど国連など国際社会で批判、勧告を
何度もされているものはめずらしいのです。私は国会で何度も指摘してきま
したが歴代内閣はなんと言われようと無視しつづけています。条約無視は戦
前だけではなく、今日まで続いているのです。でもだんだん追い詰められて
きています。
例えば、国連の機関である国際労働機関(ILO)ではこれまで5回日本に
勧告・意見を表明しています。内容は、「『慰安婦』は日本が批准していた
強制労働条約違反。アジア女性基金以外の解決策を行なえ」というものです。
官房長官は「アジア女性基金以外のことは考えていない」と私に突っぱねま
した。来年夏「慰安婦」問題はILO総会の議題になりそうです。もっと日
本は追い詰められます。
国連社会権規約委員会でも昨年8月、同じような勧告が出ています。これは
日本のナショナルレポートに対するものですから4年後には返事を国連に出さ
なくてはなりません。「慰安婦」問題が知られてから12年になりますが、政
府がこんな態度を取っているのは、それでも選挙に負けないということなの
でしょうね。
そこが北朝鮮拉致問題と違うところです。
こんな人権感覚のない国を世界の人たちは尊敬するでしょうか。「真の友
人がない国」とドイツの首相に言われましたが、難問山積の日本に、近隣諸
国の信頼のないまま、乗り切ってゆけないのではありませんか。「慰安婦」
問題は日本の女性への人権感覚、戦争反省をはかるバロメーターだと思いま
す。
<拉致問題への共産党の対応について>
日本共産党は拉致問題に不熱心ではなかったのか、というご質問が寄せら
れましたが、北朝鮮による拉致の疑いがあると最初に認めさせたのは国会で
の共産党の質問でした。
日本共産党の橋本敦参議院議員が88年参議院予算委員会で新潟、福井、鹿
児島の海岸から三組の若い男女の行方不明事件を人命にかかわる重大事件と
して取り上げました。この時初めて政府として国家公安委員長が「北朝鮮に
よる拉致事件の疑いがある」と答弁したのです。更に、政府のこの問題の解
明が進まないので90年に諌山博議員が参議院地方行政委員会で更に追及し
ています。
横田めぐみさんのお母さんの著書『めぐみ、お母さんがきっと助けてあげ
る』でも政府に拉致問題を認めさせたのは橋本質問だった」と書いておられ
ます。この質問は赤旗で報道されただけで、マスコミはほとんど報道しませ
んでした。
ある学者が「国会で国家の治安の最高責任者が北朝鮮を犯罪人扱いしたこ
の答弁は歴史的なものだったがマスコミはまさにこの大ニュースを無視した。
読売、朝日、毎日はこの答弁について1行も書かず、書いた産経、日経も1
段べた扱いだった」と指摘しています。
日本共産党と北朝鮮との関係は1960年代後半までは友好関係が続いて
いました。この時期は国際的無法行為が現れていなかった時期です。しかし
70年代、金日成個人崇拝が顕著になり、また金日成の指示で「日本共産党
はマルクスレーニン主義の道から外れた。今後は日本共産党との関係を清算
して日本社会党との提携に転換しなくてはならない」との外交方針を採用し
ました。私達はこの国とは20年間も関係を絶っています。
87年11月、大韓航空機がビルマ上空で爆破されました。翌年1月韓国政府
は実行犯は北朝鮮の秘密工作員であると発表、1月22日共産党宮本議長が北
朝鮮の犯行である事は明らかだと厳しく批判しました。1月26日日本政府
も少し後れて北朝鮮の犯行と断定しました。それ以来、北朝鮮は漁船の拿捕、
テポドンなど国際ルールを無視した無法行為を繰り返しています。
国際ルールを守らない隣国と日本が何も話し合いのルートを持たないこと
は良くないので話し合いのルートを切り開くように、不破議長が国会質問で
政府に要求したことは以前にも書きました。
そういう経過の中で9月17日の日朝交渉再開の方向を我が党は支持した
のです。
この際公明党の共産党に対する攻撃について述べておきます。私は全国に
選挙応援に行きますが、公明党は自ら候補者を立てない選挙区でも、拉致問
題で共産党攻撃をしたビラを大量に撒いています。
公明党は72年の北朝鮮訪問団派遣など、金日成(金正日現総書記の前の
北朝鮮国家主席)を天まで持ち上げています。ごく最近まで親密な関係を保っ
てきながら、どうして共産党を批判するのか理解できません。
公明党が北朝鮮と仲良くしてきた間、共産党は無法ゆえに関係を断絶して
いるのですから。与党が1野党をこれほど執拗に、しかもウソの材料で攻撃
してくるのは何故でしょうか?
北朝鮮と戦争も辞さない等、石原都知事の恐ろしい発言も飛び出していま
す。北朝鮮問題を有事法制の根拠にしたいタカ派の思惑もみえがくれしてい
ます。しかし、政治的に利用してはなりません。
国交回復交渉の場で話し合いを続けて行くことが何よりも必要ではないで
しょうか。拉致された方々のご家族の気持ちをわが身に重ねて、本当に胸が
つぶれる思いがします。拉致について北朝鮮に実行行為者の処罰、謝罪、補
償、調査をきちんと要求しましょう。全面解明に力を尽くす決意です。
(赤旗・11月17日,18日,23日、24日等参照してください)
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「“はぐれ雲”的生き方をする人の活躍が頼もしい」
広中和歌子(参議院議員・民主党・千葉)
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昨年に引き続き、今年は日本人のノーベル賞受賞者が、一人ならず二人も
選ばれた。その喜びに国中が湧いている中、日米野球が開催され、7試合中
なんと3試合続けて日本選抜チームが勝ってしまった。
アメリカ側はその後何とか挽回したものの、日本野球の強さが目立った日
米親善野球試合であった。野茂やイチローなどが、アメリカ大リーグで大活
躍しているのも、来シーズンに向け、松井秀喜がスカウトされるのも納得の
いくことである。
そう思って周囲を見回すと、文化、学術、スポーツなどの分野で世界を舞
台に活躍している日本人は実に多い。
これまでも指揮者小澤征爾や映画監督の黒沢明、デザイナーのイッセイ・
ミヤケ等はあまりにも有名だが、最近では「もののけ姫」の大ヒット、よし
もとばななの小説翻訳がヨーロッパで超ベストセラーになっている。
その他漫画やテレビゲーム、映画ストーリーの翻案など、文化の輸出が行
われている。作品の優秀さやオリジナリティが評価されてのことである。し
かもそのほとんどが、いわゆる学校教育のメイン・ストリームからはずれた
分野であることも興味あることである。
私はかねてから、いわゆる“はぐれ雲”的人生の選択、生き方に関心があっ
たが、戦後50余年、日本が経済成長を中心課題に社会の仕組みも教育も組み
立てられている中で、そうした中に組み込まれずに文化、学術、スポーツの
分野でこんなにも多くの日本人が活躍し、世界に認知されていることは意外
といえば意外であり、又、実に嬉しいことでもある。
国や社会や親がいくら画一教育を施そうとしても、自分が本当にやりたい
ことを知り、人と違うことを恐れず、真剣に努力してきた個性的な人達がわ
が国にも少なからず存在しているということ。経済大国を誇っていたわが国
が現在意気消沈している中だけに、そんな人々の活躍が頼もしい今日この頃
である。
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「与党女性議員をとりまく現状」
有村治子(参議院議員・自民党・比例)
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≪うぁっ! 与党からは、私一人になっちゃいました≫
読者の皆さま、こんにちは!有村はるこです。この超党派の女性議員によ
る「ヴィーナスはぁと」に参加している与党議員は2人いたのですが、先日
気が付いたら、松島みどり議員(自民)しばらくお休みされることになりま
した。自民党としても、自民・公明・保守の与党三党を入れても、私一人に
なってしまいました。
「情報を共有しよう」と、与党の立場からこのメールマガジンで皆さまに
報告しようと努める仲間が他にいないのは、正直なところ残念ですし心細い
ですが、それと同時に、こういう事態になってしまった背景に思いを馳せる
と、与党の女性議員の参加が進まない理由も、理解できます。このこと自体、
日本政治の一面を反映していると思いますので、今日は私なりに、その背景
を考えてみたいと思います。
理由その(1) 女性議員がまだまだ少ない
永田町に飛び込んで1年がたち、自民党に身を置いて実感するのですが、政
権政党には日本社会の縮図のような側面があると感じます。真のイコールパー
トナーとしての女性の社会参画を実現するには、まだまだ課題が残る日本に
あって、やはりその文化的影響を強く受ける与党(特にその大多数をなす自
民党)には、残念ながら女性議員がまだ多くありません。
理由その(2) 「バラ色の」政策が提示しにくい
政権政党は、その役割からして、すべての領域の問題について、何らかの
意思決定をしていかねばならず、与党議員には、「限られた財源の中で、現
実にどう折り合いをつけていくか」という命題が常につきまとい、良くも悪
くも、社会情勢と大きくかけ離れた《派手に目を引く》プランを描きにくい
という制約が加わります。
理由その(3) 与党に対する制約・批判が集中する
例えば、さきの医療制度改革・一部負担金(自己負担額)の見直しの際な
ど、自民党内で「やむなし!」VS「大反対!」の唾が飛ぶような激論を闘わ
せていても、日本が世界に誇る国民皆保険の制度を破綻させないためには、
たとえ国民感情と乖離することがわかっていても、長期的な展望に立って必
要な政策を、政府与党案として主張していかねばならない時があります。
このような場合には、結果として有権者や野党から一斉に非難を受け、一
所属議員としても《与党》という一くくりの中で、その非難を免れません。
政府・与党案に対して連日、数え切れないほどいただくお叱りや不満に対し
て、感覚的な抽象論で「世論をかわす」ことが適切ではないと考える与党の
議員は、政府・与党として予算的・日程的・政治的な制約を受ける中で、説
得力を持ってかつ誠実に応対しようとすればするほど、その狭間で悩みます。
また、匿名性の高い一方的なお叱りや不満・脅迫に対する対応は、莫大な
労力がかかる割には、不毛な議論に終わることが多く、がっくりしている議
員も、少なくありません。
理由その(4) 与党としての時間的な拘束が多い
国会での質問の機会を得る順番は、所属の議員数が少ない野党が早いこと
もありますが、与党議員は、選挙区での現場の声を共有するだけにとどまら
ず、その対話をカタチにしていくことに存在意義があるため、「じゃ、どう
すれば前に進むのか」という現実的な議論を各省庁と重ね、政策として実効
力を高めるための折衝を年間を通して進めていくので、優先順位を明確にし
て、日々の政治活動にメリハリをつけていかねば、たちまち政治活動が立ち
行かなくなるほど、時間的にも拘束されます。(特に来年度の予算の配分と、
税制の改正案をまとめる夏から年末に向けての政治的攻防戦を目の当たりに
すると、与党議員の忙しさを実感します)
≪「そこまでおっしゃらなくても・・・」と言ってみたくなることも≫
以上のような諸事情を考えると、与党女性議員が、匿名性の高いコミュニ
ケーション媒体に参加することに慎重になる理由も、一理あるような気もし
ます。実際、この「ヴィーナスはぁと」でも、「私が書いた文章に対して」
というよりは、「(有村が)自民党に所属している議員だから」という理由
で、匿名でのお叱りや非難のメッセージをいただくことがあり、特に世論を
二分するような政府案が出されたときに、このようなメッセージが急増する
ことが、この1年の国会活動でわかってきました。
もちろん、与党に所属する議員ですから、(一議員として直接的な影響力
が及ばないことに対していただく非難も)仕方がないと自分には言い聞かせ
てもみますが、与野党を問わず他の多くの先輩・同僚議員と同じように、睡
眠時間を「ほじくりだして」なんとか原稿を仕上げている者の一人としては、
やはり言われなき批判に「へこむ」ことも正直あります。
≪政権政党から声を出していくこと≫
確かに、若い世代や女性の声を、野党から政治に反映していくことも大事
だと思います。しかしその一方で、政権政党においてこそ、女性や若い世代
が積極的に議席を勝ち取っていって、(今までなかなか入り込めなかった日
本政治の意思決定がなされる中枢の現場に)私たちの声を反映させていかな
ければ、私たちにとって住みやすい国にしていくための、私たちにとって魅
力のある政策が、政府・与党案としてなかなか出てこないという現実があり
ます。
この点を考えると、与党議員をバッシングするだけではなく、たとえ意見
や信念が異なるとしても、与党とのコミュニケーションルートを設けておい
て、通常から情報交換の場を確保するための信頼関係を築いておくことが、
日本の政治にとっても、コミュニケーション媒体であるメディアにとっても、
重要なことではないでしょうか。
与野党に所属する女性議員がボランタリーに、さまざまな切り口から異な
る意見を発し、読者の皆さまがその対比を感じ取れることが、この「ヴィー
ナスはぁと」の醍醐味であり、魅力だと考えます。その意味で、私はこれか
らも可能な限り、この「ヴィーナスはぁと」に参加して、与党議員ならでは
の情報を皆さまと共有したいですし、新鮮な情報を創っていくためには日々
どんな議員活動をすればよいのか、迷いながら考えていくプロセスも、皆さ
まに報告して、共に学んでいきたいと思っています。
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「個人情報はなおざり〜住基ネットと“電子政府・電子自治体”構想」
八田ひろ子(参議院議員・日本共産党・愛知)
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私は、11月21日の参議院総務委員会で住基ネット(住民基本台帳ネットワー
クシステム)の利用を現在の93事務から新たに171事務を追加・拡大し
ようという「行政手続オンライン化関連3法案」について、反対の立場から
質問しました。
住基ネットは、すべての国民の住民票に11桁のコード番号(住民票コー
ド)を付け、氏名・住所・生年月日など6項目の個人情報(「本人確認情
報」)を市町村から都道府県を経由し、さらに総務省の外郭団体である財団
法人地方自治情報センターに送り、一元的に管理するものです。
日本共産党は、一貫して11桁の番号の付与に国民の合意がないこと、プ
ライバシー権の保障・個人情報保護がなされないこと、中央集権化の情報一
元化を意図したものであることなど問題点を指摘し、反対の態度をとってき
ました。
国民の批判や国会の審議によって、小渕首相(当時)は、「住基ネットが
稼動するようになるまでに、個人情報保護に万全の措置を講じる」と繰り返
し答弁し、「民間部門をも対象にした個人情報保護に関する法整備を含めた
システムを速やかに整えることが前提」(1999年6月10日衆議院地方
行政委員)と言わざるを得なくなりました。
そして住基法附則1条2項に「この法律の施行に当たっては、政府は、個
人情報の保護に万全を期するため、速やかに、所要の措置を講ずるものとす
る」という規定が加えられるに至ったのです。
参議院では、当時私が所属していた地方行政・警察委員会で全会派一致し
て審議が進んでいたのに、突然委員会から法案を取り上げる「中間報告」と
いう議会制民主主義を踏みにじるやり方で本会議にかけられ、自民・自由
(当時)・公明によって盗聴法とセットで住基法「改正」案の採決が強行、
可決されました。私たちは、問責決議を提出し、討論を行い、牛歩など、で
きる限りの抵抗をし、国民世論に訴えました。
2002年8月5日、政府は、自らの約束、法さえ守らないまま、個人情
報保護の万全の措置も包括的個人情報保護法もないなかで住基ネットの第一
次稼動をスタートさせ、行政機関への「本人確認情報」の提供が開始されま
した。
政府の言い分は、「法律を国会に出すまでが政府の所要の措置。後でどう
するのかは国会の権限」(片山虎之助総務大臣)などと、自らの公約違反に
たいし、責任逃れをしているのです。現在国会に提出されている個人情報保
護法案では、本当に国民の個人情報保護が図られないからこそ、政府の出し
た個人情報保護法案が通らないのではありませんか。そもそも国民すべてに
番号を付け、個人情報を一元管理すること自体が、個人情報漏えいの危険性
をさらに高め、人権侵害なのです。本当に許せません。
住民の個人情報が守れないと不参加を決めた自治体も出てきています。訴
訟も全国で起こされています。私たち日本共産党は、「いまからでも見直し・
中止を」とアピールし、皆さんと力を合わせがんばっています。
2003年8月には、第2次稼動として住民票の写しの広域交付、転入転
出特例、住民基本台帳カード(ICカード)の交付がなされる予定です(法
律では、「交付の日から起算して五年を超えない範囲内において政令で定め
る日」までに住基カードが交付されなければならないこととなっています。
交付の日から5年とは、2004年8月までとなります)。
11月21日の質問では、住基ネット稼動によって、市区町村が住民基本
台帳の個人情報を不当な目的で使われないようチェックしていた権限を、住
基ネットによって奪われたこと、住基ネットの本人確認情報を管理する地方
自治情報センターに対し、市区町村が調査に入ったり、報告をさせる権限も
なく、個人情報を守るすべを失ったことを明らかにしました。そうした中で、
住民の個人情報を守るため市区町村が苦渋の選択で、住基ネット離脱を考え
ることは理解できる訳です。
片山虎之助総務大臣は、住基ネットに含まれる住所などの4情報について、
「もれたら天地がひっくりかえるような権利侵害が出るということは考えら
れない。もともとは公開情報だ」「公開情報なんだから、かりに漏れてもつ
かいものにならない」というのです。
私は、「DV被害者の住所は教えないのが当然。(大臣の)認識がおかし
い」と批判しましたが、こんな認識の大臣のもとでは、私たちの個人情報を
本当に守ることができるのか大変不安になります。
住基ネットをめぐっての政府のやり方は、一貫して国民を欺くものでした。
たとえ行政保有の個人情報保護法案が成立しても、システムなどの不備、
人的被害による個人情報漏洩の危険はなくなっていない。不正利用を第3者
がチェックするシステムもない。だからこそ1億2000万人ひとりひとり
に番号をふって個人情報を一元管理するのはやめてほしい、と国民の声が出
ているのです。国に国民が番号によって管理される国民総背番号制への道に
さらに踏み出す今回の住基ネット利用拡大はもってのほか。住基ネットは、
即時中止すべきです。
今回の「オンライン化関連3法案」では、住基ネットの他にも問題が山積
みです。この法案は、申請や届出などのほぼすべての行政手続をオンライン
上で、つまりコンピューター、インターネットを使って自宅や会社に居なが
らにしてできるようにしようというものです。
一見便利そうに聞こえますが、全く個人情報保護策が不十分なまま、強行
しようというのです。
質問では、電子申請、届出などの基盤となり、政府が「行政専用のネット
ワーク」と述べている総合行政ネットワークの問題を取り上げました。この
ネットワークを基盤として行政手続に必要な戸籍や所得などの取り扱いを厳
重に注意しなければならない個人情報が、時には番号付きで、管理、審議さ
れることになります。
この総合行政ネットワークは、全地方自治体を結ぶもので、法的根拠は全
くありません。
私は、「管理を自治体が民間営利企業に丸投げした場合、民間企業がネッ
トに接続できる仕組みになっている」ことを指摘。総合行政ネットワークで
は民間委託について孫請け業者を排除する基準もなく、個人情報保護の法的
措置もないことが答弁で明らかになりました。私は、個人情報保護の仕組み
が全く不十分であると述べ、せめて孫請けを禁止するなど措置をとるべきだ
と要求しました。
大野慎一政策統括官は、「自治体間を結ぶシステムで、国の法律でしばる
べきものでない」と個人情報保護をなおざりにする態度をとりました。
私は、行政を国民の利益にかなうように効率化すること、その手段として
IT化を図ることには賛成です。
しかし、今回の3法案は、まさに日弁連が言っている「『電子政府』『電
子自治体』としてコンピュータの利便性と普及の必要性のみが強調され、個
人の尊厳が奪われる危険が看過されている」状態であり、国民の個人情報保
護が全くなっていません。
こうした拙速な法案は、白紙に戻し、行政の情報公開をよりすすめるなど
民主主義や人権を守る方向での電子政府、電子自治体構築が必要なのではな
いでしょうか。
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編集後記 ロゼッタストーン・弘中百合子
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今回、有村議員は、率直にいまの思いを語ってくれました。唯一の与党議
員として、これからも熱い原稿を送ってくれると思います。
みなさまからいただいたご意見は、間違いなくヴィーナス議員に送ってい
ます。最近、お便りが少し減ってきたので、いまご意見をいただけば、強く
印象に残るかも。どうぞ、発言することで、国政に参加してください。
ご意見、ご質問は
vheart@rosetta.jpまでお願いします。
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「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧
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「ヴィーナスはぁと」に参加してくださったのは、次の15名(敬称略)の
方々です。
◇衆議院
川田悦子 (無所属・東京) 瀬古由起子(共産党・東海)
武山百合子(自由党・北関東) 水島広子 (民主党・栃木)
山内惠子 (社民党・北海道) 山口わか子(社民党・北陸信越)
◇参議院
有村治子 (自民党・比例) 井上美代 (共産党・東京)
岡崎トミ子(民主党・宮城) 小宮山洋子(民主党・比例)
千葉景子 (民主党・神奈川) 八田ひろ子(共産党・愛知)
広中和歌子(民主党・千葉) 福島瑞穂 (社民党・比例)
吉川春子 (共産党・比例)
詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーン
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各議員のWebページにもリンクしています。
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■次号予告
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次回は、川田悦子議員(無所属) 瀬古由起子議員(共産党)、
山内惠子議員(社民党)、水島広子議員(民主党)が登場します。
※登場する議員の顔ぶれは、変更する場合もあります。ご了承ください。
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発行人・編集人:弘中百合子
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