2002年5月9日発行(毎週木曜日配信)
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女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』第25号
*** *** みなさま、GWはいかがでしたか? 私は新幹線で田舎に
*****v***** 帰ったのですが、いつもとくらべて、ちっとも混んでいな
*********** いのに驚きました。やっぱり不況なのだ、と思う一方で、テ
********* レビで海外からの帰国ラッシュのようすを見ると、景気が回
******* 復しているような気にもなったり……。お金がある人とない人
*** と、二分化しているのかもしれませんね。
* さて、今回も前回にひきつづき、「法」がらみのテーマです。
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目次
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■ 憲法改正について
■ 有事法制について
■ いわゆるメディア規制法について
以上 回答:吉川春子(共産党)
■ 女性の天皇について
回答:小宮山洋子(民主党) 吉川春子(共産党)
■ 読者の意見
■ 「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧
■ 編集後記
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今回閣議決定された有事法制についてどう思いますか?
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中谷防衛庁長官は、当面、日本が直接武力攻撃を受ける危険はないと言っ
ています。それなのに、今有事法制を制定するのは、政府も認めるように、
新日米ガイドラインの取り決めを実行するためです。
三年前、新日米ガイドラインの具体化として、周辺事態法が強行され、ア
ジアでの戦争シナリオ、日米共同作戦計画もつくられてきました。この作戦
に国民をどのように動員するかが課題となり、有事法制が作成されたのです。
したがって今回の法案では、日本が武力攻撃される「おそれ」がある段階、
「予測される」段階でも国民動員条項が発動されるとしており、それは周辺
事態法の「日本への武力攻撃に至るおそれ」がある事態と重なることになる
のです。
これでは「備えあれば憂いなし」どころか、有事立法という「備え」は、
アメリカが引き起こす戦争に日本国民を動員する「憂い」=危険性をつくり
だすものです。
この戦争のために国民の権利を無視して強制動員する事が法案の基本的中
味です。これは戦争を放棄した憲法9条と基本的人権をじゅうりんするもの
であり、絶対に認めることはできません。
私たち日本国民は、この半世紀以上にわたり、日本を二度と戦争を起こす
国にしてはならないと固く誓ってきました。人権抑圧が戦争に結びついてき
た戦前の痛苦の教訓の上に立って、国民一人ひとりの人権、自由が大切にさ
れる社会をつくることを共通の理想としてきました。
私は、この立場で、有事立法を何としても廃案に追い込みたいと思います。
(参議院議員・共産党・吉川春子)
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憲法改正についてロゼッタストーンでアンケートをとったところ、
改憲賛成が6割でした。憲法改正についてどう思いますか
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ロゼッタストーンのアンケートの結果では、憲法改正に賛成する方は第何
条について「改正せよ」といっているのでしょうか。それを見た上で詳しく
お答えした方がいいかもしれませんね。
ともかく私は「憲法改正」に反対です。今自民党などが改憲をねらってい
るのは戦争放棄の第9条です。しかし憲法9条こそは、平和な21世紀のた
めに地球上の全ての国の規範となるべき先進的な条文です。イスラエルやア
ラブ諸国が日本憲法の9条をもっていたら、あのような血で血を洗う戦争に
はならなかったのではないでしょうか。
国民の知る権利、プライバシー権、環境権等の規定がないとの理由で改憲
に着手しても行き着くところは「戦争のできる国造り」の憲法に変えること
にあるからです。しかもそういう権利は現憲法で読めますし、法律で具体化
すればいいのです。 (吉川春子)
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個人情報保護法案などメディア規制3法について、どう思いますか
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個人情報保護法案の最大の問題点は表現・報道の自由を脅かす危険をもっ
ている危険な法案です。まず「基本原則」には、個人情報は「適正な方法で
取得する」「情報取扱本人が関与できるようにする」事が定められています
が、これは政治家が本人の情報の開示や訂正、取材源開示を要求できます。
今国会で、鈴木宗男議員、井上裕参院議長、加藤紘一元自民党幹事長など
政治家の疑惑が次々明らかになっていますがもし法律が通れば、こうした報
道や追及が出来にくくなる恐れがあり、それこそが本法案の狙いではないか
とさえ言われています。
そもそも本法案は名前のように「個人情報の保護」のために準備されたも
のです。個人情報が業者間で勝手に取引され、私たちの情報が勝手に利用さ
れている現実をたださなくてはなりません。
しかし今回の法案は、個人のプライバシー保護にとってもきわめて不十分
です。自分の情報開示を求めても業者は「業務の実施に著しい支障がある場
合」には開示しなくてもよいなど「情報の自己コントロール権」もきわめて
不十分です。個人情報保護のOECDなど国際基準に照らしても不十分です。
憲法の表現の自由を踏みにじるなどきわめて危険な法案です。私は内閣委
員会理事ですので、他の野党の皆さんと力を合わせ四党で抜本的な対案を出
し、本法案を廃案に追い込むため全力をつくします。 (吉川春子)
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女性が天皇になることについてどう思いますか
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このテーマについては、吉川議員のほか、民主党の小宮山洋子議員からも
回答が寄せられました。
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「ヨーロッパ各国の王室は、男女双方の継承を認めています」
小宮山洋子(参議院議員・民主党・比例)
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「皇太子妃雅子さまに、さらに男の子をという声には、後継ぎの出産のプレッ
シャーの中で何年も過ごされやっと女のお子さんを授かったというのに、年
齢を考えても酷なことですし、リプロの視点からも問題だと思います。
海外の王室を調べてみると、ヨーロッパ各国の王室は男女双方の継承を認
めています。そのうち、後から産まれても男子優先なのがイギリス、スペイ
ン、デンマーク。年長優先で先に産まれた子が王位につくのがオランダ、ス
ウェーデン、ノルウェー、ベルギーです。男女平等の観点からノルウェーや
ベルギーなどでは1990年代に法律を改正して、女性も王位を継げるよう
にしています。
日本でも、これまでに8人10代の女性天皇が存在しています。(8人
10代というのは、2人の女性天皇が天皇位を退いた後、再び天皇になって
いるからです)
女性が天皇になるためには、結婚の相手を自由に選んでよいのか、「女系」
を認めるか、皇族の範囲をどこまで認めるかなど、議論しなければならない
課題があります。
憲法を変えなくても、皇室典範の改正でよいと、国会でも答弁されていま
すので、是非、広く議論をしていきたいと思っています。
「婦人公論」(2002.3.7号)に「時代は女性天皇を求めている」
を書いていますので、関心をお持ちの方はお読みいただければと思います。
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「女性にも皇位継承権を認めることは当然です」
吉川春子(参議院議員・共産党・比例)
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将来的には天皇制はなくなるという立場ですが、その上で言います。日本
国憲法は性による差別を禁じており、憲法に反する法律は認められません。
皇室典範も法律の一つですので女性の天皇を認める事は法的には当然のこと
だと思います。
従って個人的見解ですが、女性にも皇位継承権を認めることは当然であろ
うと考えます。
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読者の意見より
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「ヴィーナスはぁと」に寄せられる読者の声は、ある程度まとまった段階
で、ヴィーナス議員に送っています。真剣な意見が多いので、いくつかこの
場を借りて、ご紹介します。
「憲法改正」についての意見は、なぜか男性からが多いようです。男性のほ
うが関心が高いということなのでしょうか。「ロゼッタストーン」ホームペー
ジでも、憲法改正についての読者意見を紹介しているので、関心がおありの
方は、ご覧ください。(http://www.rosetta.jp)
●有事法制・憲法改正について本気で考えよう
どちらも日本国民が本気で考えなければならない時期に来ているのではな
いだろうか。ハッキリ言って今の憲法上では、自衛隊の存在自体が違憲であ
るのに、それを拡大解釈して、真剣に議論しないままPKOの派遣や米軍の
後方支援をしていることは問題だと思う。
選挙の際にも、立候補者がこの2つについてどう思うかということは獲得
票数にひびくと考えるからか、誰もハッキリした意思・意見を述べていない
(特に自民党議員)。野党にしても「9条の改正には反対。」「自衛隊は憲
法違反。」と声高に言ってはいるが、「では、他国から爆撃を受け、侵略さ
れそうになった時、日本はどうするのか?」という疑問に対しては、曖昧模
糊とした発言ばかり。野党は、爆撃されても侵略されても日本としては反撃
せず、話し合いによって解決するまで何百万人犠牲者を出してもされるがま
まになっておくというのだろうか? そうして米軍や国連軍が助けてくれる
まで待つのだろうか? (匿名希望)
●憲法にも信任投票が必要
先ず皆さんに考えて欲しいのは‘法律はどうして守らなきゃいけないの’
ということです。法律を守らなければいけないのは‘自分たちで決めた事は
守る’ということです。そういう意味で憲法だけでなく、成立から数十年経っ
ている法律は信任投票のようなものが有ってしかるべきだと思います。その
事が法律を守るという意思を持たせる事につながると思います。
特に第九条に関してとてもおかしいと思うのは軍隊を持つと軍国主義にな
るという意見です。この理屈でいえば日本以外のほとんどの国が軍国主義国
家になるでしょう。(アメリカ、中国、韓国を含む。)
問題は軍隊を持つかどうかではなくて、政府を国民がコントロールできる
かどうかです。日本国憲法の理念の素晴らしさを誇る前に、国民の意向に沿
わない政策をする可能性のある政治家を選んでいる日本国民を恥じるべきで
はないでしょうか。(30代男性)
●辻元氏の辞職について
辻元さんが秘書の名義借りや秘書給与のつけかえを行っていたことは間違
いないことでしょうし、確かにそれは法律違反なのだと思います。しかし、
それは辻元さんもいうように、永田町では多くの議員が多かれ少なかれ行っ
ていることなのではないでしょうか。マスコミの論調はたとえ他の議員がやっ
ていることであっても、法律違反は 法律違反なのだから責任をとるのは当た
り前、という感じですが、わたしはそうは思いません。
たとえ法律違反になることがわかっていても、システム的にそうせざるを
得ないことというのはどの業界にもあることだと思います。たとえば科学研
究の分野では、研究費の一部を適当な名目で納入業者に払った形にして預け、
それを後で別の品物を購入するのに使う、といったことははっきり言って日
本中の研究室で行われています。もちろん厳密に言えば法律違反になるので
しょうが、そんなことを言っていたら研究を継続的に行うことなどできない
のです。研究費は毎月・毎年均等に得られるわけではないし、厚生省の科研
費などは国の予算が通るまで執行されないのですから、もし正直に研究費を
執行しようとしたら、お金がない間は研究を完全停止して、お金ができたら
再開するなどという非現実的なことをしなければならず、日本の科学研究は
すべてダメになってしまうでしょう。
秘書の給与もきっと同じ様なことなのだと思うのです。おかしいと思うな
ら、システムを変えるべきで、たまたまやり玉にあがった人を叩いてそれで
終わり、というのでは何の解決にもなりません。それよりも、今回、なぜこ
のタイミングで多くの議員が行っているであろう「不正」を辻元さんについ
て報道されたのか、こそが問題なのではないですか。(匿名希望)
●医療改革について
医療改革ですが、私の考えでは、増税を伴うものの、カナダ型の医療制度
導入を目指すべきです。州により若干差があるものの、基本的には、カナダ
連邦健康法の下で、各州政府の財政で実施されています。
1)医療費は、入院時の一人部屋、歯科、薬代、指圧、急患ヘリコプター空
輸など、カナダ連邦健康法の対象外のものを除けば、原則は、全額、州
政府負担。
2)除外項目(入院時の一人部屋、歯科、薬代、指圧など)に該当する場合
は、自己負担、あるいは、別途、民間の保険に加入して、これを利用す
る。
3)州政府の公的医療保険の掛け金は、オンタリオ州は無料、ブリティッ
シュ・コロンビア州では 年間428カナダ・ドル(近日、650カナ
ダ・ドル程度に値上がりします。)
※1カナダ・ドルは80円〜85円
4)民間の保険に加入する場合は、年間1,200カナダ・ドルも払えば、歯科の
Major Restorationを除く、治療を一通りはカバーできます。
正直言って、アメリカ型の医療制度導入では、日本の平均寿命は20年程度
落ちるでしょう。加入している保険による制約が厳しくて、Family Doctorす
らも選択の自由がない場合が多いです。
カナダの場合も、専門医となると、Family Doctorの紹介により決まりますが、
患者による選択の余地もあります。実際、私も30代でリンパ腺癌にかかりま
したが、専門医は自分で選びました。(その代わり自宅から110km離れた、
トロント市中心部のマウント・サイナイ病院まで通院することになりまし
た。)自分で選んだ場合も、Family Doctorは、快く紹介状を書いてくれま
す。(カナダ在住のピカチュウ)
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「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧
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「ヴィーナスはぁと」に参加してくださったのは、次の16名の方々です。
詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーン
ホームページで公開しています。⇒ http://www.rosetta.jp/
◇衆議院
川田悦子 (無所属・東京) 瀬古由起子(共産党・東海)
武山百合子(自由党・北関東) 松島みどり(自民党・東京)
水島広子 (民主党・栃木) 山内惠子 (社民党・北海道)
山口わか子(社民党・北陸信越)
◇参議院
有村治子 (自民党・比例) 井上美代 (共産党・東京)
岡崎トミ子(民主党・宮城) 小宮山洋子(民主党・比例)
千葉景子 (民主党・神奈川) 八田ひろ子(共産党・愛知)
広中和歌子(民主党・千葉) 福島瑞穂 (社民党・比例)
吉川春子 (共産党・比例)
計16名(敬称略)
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編集後記
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今回、読者の方の意見を少し長めに紹介してみたのですが、いかがでしょ
うか。ここでは、なるべくヴィーナス議員とは違う視点からの意見を選んで
みました。
「有事法制」にしても、いわゆる「メディア規正法」にしても、なんだか、
唐突にでてきたような印象があります。こういう大きな法案に関しては、選
挙前にはっきり公約するなど、国民にも選択の機会を与えてほしい気がしま
す。 それとも、公約には掲げられていたのに、こちらがあまり関心を払って
いなかったのでしょうか。
いずれにせよ、国会での論議がどう展開するのか、今後を見守っていきた
いと思います。
(ロゼッタストーン・弘中百合子)
ご意見、ご質問は
vheart@rosetta.jpまでお願いします。
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■次号予告
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次回は「環境問題」についてお届けします。
ご意見、ご質問、お待ちしております。
◆広中和歌子(民主党)
◆岡崎トミ子(民主党)
◆八田ひろ子(共産党)
※回答議員は変更になる場合もあります。
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女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』
編集長:ロゼッタストーン 弘中百合子
発行 :株式会社ロゼッタストーン
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