「ヴィーナスはぁと」バックナンバー バックナンバー一覧

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2001年12月6日発行(毎週木曜日配信)
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          女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはあと』 第4号

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  ***   ***  「ヴィーナスはぁと」は超党派の女性国会議員19人が集まり、
 *****v*****  情報を発信していくメールマガジンです。
 ***********  今月から、いよいよ、それぞれの議員に一番力を入れて
  *********  いる政策を語ってもらいます。
   *******  「あの話題はまだ?」とイライラしながら待っている方。
     ***   来月は、読者からのご質問、ご要望に答える予定です。
      *  どうぞ、ヴィーナス議員へのご質問をどしどしお寄せください。



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  目次
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 ■私がいちばん力を入れている政策

  福島瑞穂(社民党)  有村治子(自民党)
  吉川春子(共産党)  小宮山洋子議員(民主党)

 ■「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧

 ■編集後記

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  私がいちばん力を入れている政策
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 政治家の人たちは、みんないろんな政策に取り組んでいますが、今回はあ
えて「いちばん力を入れている政策」を教えてほしい、とお願いしました。
そのほうがより具体的な話が聞けると思ったからです。今回も、議員の本気
が感じられる、とても熱い文章が寄せられました。


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  福島瑞穂(社民党・参議院・比例)
  「なんといっても、弁護士時代から取り組んできた民法改正。
  女性、子ども、人権、環境、平和に力を入れています」
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 国会議員は、3人公設秘書が持てます。私は、3年前に国会議員になった
ときに、1人の人に女性、もう1人の人には人権、さらにもう1人の人には
環境と平和のテーマを担当してもらうことにしました。それぞれNGOから来て
もらったのです。経済政策にも今取り組んでいるけれど、やっぱり女性、子
ども、人権、環境、平和は最も取り組んでいる、やりたいテーマです。

1)男女平等問題

 なんといっても民法改正。選択的夫婦別姓の導入と婚外子差別撤廃の問題
です。衆議院と参議院の両方に、野党は議員立法として提出しています。国
会のなかの雰囲気もずいぶん変わってきています。でも「夫婦別姓は家族を
崩壊させる」「子どもがかわいそう」という意見もあり、もう一息、あと二
息というところでしょうか。これは、自分の問題でもあり(わたしも事実婚
でやっていて、子どもがいます)、弁護士になりたてのころからがんばって
きたことであり、今もやっぱりがんばっているところです。
 年金(女性と年金の問題)や税金における世帯単位の個人単位への問題、
女性と健康の問題などに今取り組んでいます。
 また、成立した児童虐待防止法やドメスティック・バイオレンス防止法の
フォローをしています。全国各地に行くと、NGO活動などが活発になっていて
嬉しくなってしまいます。
2)平和

 テロ対策特別措置法、自衛隊法改正、海上保安庁法改正法の3つの法律が
国会で成立し、自衛隊が戦後初めての戦時海外派遣へ出かけていってしまい
ました。通常国会では、憲法に保障された基本的人権を含む国民の権利を制
限する有事法制がでてくるとも言われています。

 私は参議院の憲法調査会のメンバーです。2000年1月に設置された憲
法調査会は、5年をめどに結論を出すということが合意事項です。数年後
(3年後くらいか)にバァーッと憲法9条も含めた憲法改正がされるのではと
危機感を持っています。
非軍事的貢献でがんばろうと平和外交やODAの見直しなどをやっています。
ODAにはいっぱい問題があるよ。21世紀を本当に平和の世紀にすべく今、取
り組んでいるところです。
3)環境

 塩ビのおもちゃをなくす法律をつくろうとしています。
 また、自然エネルギー(太陽光、バイオマス、風力など)促進法案を作り
ました。脱原子力発電の運動もしています。

4)人権

 国会に上程されている個人情報保護法案(実は個人管理法なので)に反対
しています。
 人種差別禁止法案を作ろうとしています。外国人や受刑者(刑務所にはいっ
ている人)などの人権問題などにも取り組んでいます。

 私は1ヶ月前に幹事長になりました。NGOや会社のマネジメントみたい。社
民党は、本部に全国連合があって(会社の本店みたい)、各地の都道府県連
があって(支店みたい)、そのまた下に総支部があって(出張所みたい)と
いう感じ。新しい経験ですが、オン・ザ・ジョブトレーニングでがんばりま
す。


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  有村治子(自民党・参議院・比例)
  「次世代を育むことに希望が持てる社会をめざしたい。
  子育てや介護と仕事の両立ができる環境整備を」
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今取り組んでいる政策について、今日は3項目、報告します。

「もう一人産んでもいいかな」と思える社会の実現

 日本における女性の出産率は、2.13人。世界でも類がないスピードで少
子高齢化が進む日本で、「もう一人産んでも良いかな」と、次世代を育むこ
とに希望が持てる社会をめざしています。少子化をとりまく住宅や労働、教
育問題にとりくむことによって、子育てや介護と仕事の両立ができる環境整
備を徐々に進めていきたいです。

 「愛情のある家庭の実現」というテーマの中で、今、緊急の課題として取
り組んでいるのが、家族(特に両親)による幼児・児童虐待問題。関連記事
や、専門家の論文を読んで理解を深めると共に、虐待に取り組んでいる地方
行政の実務者、弁護士、小児科の先生からヒアリングを受けています。虐待
を受けた児童を保護しているケアセンターの現場に行って、虐待で心身とも
に傷ついたこどもたちを救うために、また将来にわたって「声なき声」をか
き消すことがないようにするためには、一体何が必要とされているのか、今
後2週間以内に、自主的な現地調査を進める予定でいます。
「理論と実践のバランス」をとり、事実に基づいた、説得力のある提言をし
ていきたいです。

海外のパートナーと対等に議論し、国際社会で発信しつづける日本に

 夏の参議院当選後、希望通り文教委員となり、文部科学を専門にすること
になりました。「美しい日本語」とともに「使える英語」を普及させ、海外
のパートナーと対等に渉りあえるコミュニケーション能力を高め、日本人と
しての自覚と誇りが持てる真の国際人教育・生涯学習を推進していきたいで
す。

 義務教育、高等教育だけではなく、社会人にとっても、本人の能力や意欲
に応じて専門知識を学んでいけるような社会環境を創っていきたいです。そ
して人が本来持っている「知識欲、学びたいこころ」が、日本の国際競争力
の維持・強化に結びつくよう、産業と学問をしっかりリンクさせたいです。
これは教育者単独では成し得ず、経済界のみの働きかけでも実現しない、ま
さに政治主導のビジョンが不可欠な分野だと私は考えています。もっと大胆
な言い方をすれば、21世紀のスピードに対応できる私たち若い世代にしか、
達成しえない課題だと感じています。

知識は力なり。正確な情報を、必要なときに、自分で探し出せる力を

 私自身、親が失職中で、経済力が充分に無かった学生時代に、奨学金制度
の存在を知ることによって、念願の大学進学や留学を実現することができま
した。すべての人が、自分の自立に必要な情報を、自ら検索する能力を高め
られる社会を導き、自分の人生に関わる選択について、自己責任の主体性と
自信が持てる社会をめざしていきます。的確な情報を持ち得なかった人が、
結果的にこうむってしまう、不利益の縮小に努めます。


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  吉川春子(共産党・参議院・比例)
  「『従軍慰安婦』の問題に、10年間、取り組んできました。
  苦しく辛い人生を送った人への謝罪と個人補償を求めたい」
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 11月14日民主、社民と共同で「従軍慰安婦問題解決法案」を参議院に
提出しました。私は「従軍慰安婦」問題に10年取り組んでいますが、国連
や関係諸国の要求にもかかわらず、日本政府はいまだに被害者に直接補償も
謝罪も行いません。7つの判決もすべてサンフランシスコ条約等で解決済み
として敗訴です。しかし侵略戦争の痛ましい犠牲者を放置しては日本の民主
主義も女性の権利も守られないし、アジアでの信頼も得られないのです。

 11月22日、中国人「従軍慰安婦」劉面換さんが、弁護士さんと支援者
の方と国会の議員会館を訪れました。劉さんは日本政府に補償を求めて提訴
しましたが、今年3月、東京地裁では敗訴し、現在は東京高裁に控訴中です。
この度、裁判で意見陳述のため中国山西省より訪日したついでに寄ったので
す。以下は劉さんの証言(要旨)です。

 「私は中国山西省羊泉村から来ました。数えで16才の時日本軍は私を進
圭村に連行し、昼は兵士たちが、夜は隊長が毎日強姦しました。父は私を取
り戻そうと必死で財産を売って羊80頭と銀元を日本軍に渡しました。父は
地面に頭をすりつけて『娘の体を治してまた連れてくるからと』と懇願し、
ようやく家に戻れました。私は寝たきりの状態で陰部からの出血は半月も続
きました。日本軍は私を連れ戻しにきましたが、父は私を芋を保管する地下
室に紐で縛り付けるなどして隠し通しました。日本軍は腹いせに私の家を焼
き家財も壊しました。

 私には何の責任がないのに、村では「もうまともな結婚はできない」と言
われ、父は私の結婚相手を捜して村の人に頼みましたが、言下に「あなたの
娘は無理」といわれ、結局10才年上の再婚の人と一緒になりました。父は
一人娘が傷物にされたと怒って悔しがり、私の結婚の翌年亡くなりました。

張先生から裁判をすすめられた時、村の人はこんな恥ずかしいことは自分
から言うべきではない、娘や息子に恥をかかせるべきではないと言いました。
私はどうしても日本軍がやったということを、私の恥ではないということを
認めて私の名誉を回復してもらいたいのです。」

 私は自分の著書で次の献辞を記しました。「女性たちが名乗り出たことで
侵略戦争の犯罪性が改めて告発され、女性への暴力撤廃・人権尊重の思想を
大きく発展させた。身を犠牲にして大きな貢献をした。この本を苦しく辛い
人生を送った人にささげたい」(「従軍慰安婦 新資料による国会論戦」)。
「従軍慰安婦」の闘いで私自身も大きく成長させられました。


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  小宮山洋子(民主党・参議院・比例)
  「20人にひとりが命にかかわる暴力を受けているという実態。
  女性に対する暴力を防止するために、今後も力をそそぎたい」
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 いろいろな政策に携わっているので、一番力を入れている政策とひとつに
しぼるのはむずかしいのですが、あえて選べば、女性に対する暴力を防止す
る政策です。今年の4月に、3年がかりで「配偶者からの暴力の防止及び被
害者の保護に関する法律」、いわゆるDV防止法を作りあげました。10月
13日に施行され、そのフォローと、予算をともなう部分は来年4月施行な
ので、各地方自治体が実施に向けて準備中で、省庁とシェルターをしている
NGOの皆さんの話し合いの場を設定したりのお手伝いをしています。

 女性に対する暴力、特に家庭の中での夫からの暴力は、警察もとりあわず、
実態も知られていませんでした。しかし、国連の人権会議、女性会議などで
人権侵害なので各国でしっかり取り組もうという合意があり、日本でも、当
時の総理府の調査で20人に1人が命にかかわる暴力を受けているという実
態がわかり、早急な取り組みが求められていました。

 国会では、初めて参議院の共生社会調査会(調査会は超党派で3年かけて
ひとつのテーマに取り組めます)で、‘98年から取り組みはじめ、’00
年4月からプロジェクトチームで1年がかりで法律を作りました。いつでも
相談、カウンセリング、一時保護などがうけられる配偶者暴力支援センター
を作ること(婦人相談所の機能を拡充など)と、命を守るため6ケ月の接近
禁止、2週間の住居からの退去を命じることができる保護命令を罰則つきで
盛り込むことができました。日本の法律は民事と刑事が分かれていて罰則つ
きの保護命令は無理といわれていましたが、30回に及ぶプロジェクトの会
合に、関係省庁の担当者にも周りで聞いて意見も求めるという参加型の討議
をしていった結果、官僚の中にも省庁の壁を超えてこの法律を作るために力
を尽くしてくれる人たちが現れ、超党派の女性議員の粘りと関係者の努力で
法律ができました。

 実現させたい政策というより、やってきたことではないかと思われるかも
しれませんが、法律ができたのはスタートで、しっかりと実施されるようフォ
ローすること、まだまだ不充分な点は3年後に見直しをすることにしてある
ので、その作業も責任をもってしていく必要があり、かかわりをもって育て
ていかなければならないのです。

 子どもがこの法律では守られないこと、不法滞在の場合、加害者の更正プ
ログラムなど課題は、たくさんあります。でも、施行1ケ月で、相談は1.5
倍に増えました。保護命令も1ケ月の間に41件出され、早く出されるかど
うかが懸念されていたのですが、平均1週間で出されています。女性への暴
力は犯罪だという予防効果も含めて、法律が働き始めているにはちがいない
と思っています。


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  「ヴィーナスはあと」参加議員一覧
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「ヴィーナスはあと」に参加してくださったのは、次の19名の方々です。詳しいプ
ロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーンホームページで公
開しています。⇒ http://www.rosetta.jp/

●衆議院
  石井郁子(共産党・近畿)  川田悦子(無所属・東京)
  瀬古由起子(共産党・東海)  武山百合子(自由党・北関東)
  中林よし子(共産党・中国)  松島みどり(自民党・東京)
  水島広子(民主党・栃木)  山内惠子(社民党・北海道)
  山口わか子(社民党・北陸信越)

●参議院
  有村治子(自民党・比例)  井上美代(共産党・東京)
  岡崎トミ子(民主党・宮城)  小宮山洋子(民主党・比例)
  千葉景子(民主党・神奈川)  西山とき子(共産党・京都)
  八田ひろ子(共産党・愛知)  広中和歌子(民主党・千葉)
  福島瑞穂(社民党・比例)  吉川春子(共産党・比例)

            計19名(敬称略)


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  編集後記
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 ヴィーナス議員の方たちは、やる気のある人が多いので、文章も予定より
長くなりがちです。 ただ、あまり長いメルマガは、読者の方が辛いかなあ
という気もしています。といって、せっかくの超党派マガジンなのに、1回
の配信に掲載されるのが、ひとつかふたつの政党の人の意見だけでは物足り
ないかもしれません。いっそ、週2回の発行にしようか、ということも考え
ています。
 どんな形が読みやすいか、どうぞみなさんの御意見をお聞かせください。

 御意見、ご要望はこちらまでお願いします。vheart@rosetta.jp

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■次号予告
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次回は、12月13日(木曜日)発行。執筆者は

  川田悦子議員(無所属)  瀬古由起子議員(共産党)
  水島広子議員(民主党)  武山百合子議員(自由党)
  石井郁子議員(共産党)  の5名です。



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女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』
 編集長:ロゼッタストーン 弘中百合子
 発行 :株式会社ロゼッタストーン
     (〒171-0021 東京都豊島区西池袋5ー27ー9ー101)
Copyright(C)ロゼッタストーン 許可無く転載することを禁じます

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