日本人留学生が見たニューヨーク BACK

第2回 モザイクアートに平和を込めて祈る、モザイクマン

9月11日のテロ事件から1ヶ月経った。私が住むイーストビレッジからは事件前まではワールドトレードセンターが 凛とそびえ立つ姿が見えていた。毎日通学途中に見ていた風景がある日突然消えてしまったのが未だに信じられない。 この1ヶ月テロの恐ろしさ、戦争の恐ろしさをまざまざと目の前で見せられ、そして今も報復のニュースが絶えず流れている。 そんな中、ニューヨークには傷ついた人々をしっかりと支えようとしている人や、街の復興に努める人々も目立つ。 その1人、イーストビレッジのモザイクアーティスト、ジム・パワーを紹介しよう。


“NYPD”
“RIP”
事件から3週間が過ぎた頃、イーストビレッジの玄関でもあるアスタープレイス駅前の信号機は特別なモザイクか施された。 ジムは16年前にこの辺りの信号機や鉄柱にモザイクアートをはじめた。「この街を少しでも明るくきれいにしたかったのさ。」 94年、市の政策で警察がジムを取り締まる。そしてテロ事件後、彼は剥がれ落ちかけたモザイク信号に新たに「RIP」 (写真)Rest In Peace。(犠牲者の冥福を祈る…)「FDNY」(Fire Department of NY)、 「NYPD」(NY Police Department) の文字を貼り始めた。「オレ達は事件を決して忘れちゃいけないんだ。 だからその気持ちをここに残したい。そして世界中の人々がこのイーストビレッジに集まってモザイク作りが きっかけで楽しく平和な世界が築くことができればいいと思ってるんだ!それがオレの夢」

私が彼と話をした数分間にも彼のモザイクアートを絶賛する声が絶たなかった。
「この街を見渡してごらんよ。世界中から人々がイーストビレッジに集まってくる。まさにここは人種の坩堝なんだ。 だから1人でも多くの人にこの思いが伝わればと思ってる。」 (下写真・右がジム、彼のアートに興味をもつ人が次々と声を掛ける)

ジム 事件の犠牲者の冥福と、世界の平和をモザイクアートを通じで祈り続けるジム。 そんな彼を励まし支える市民。マンハッタンの人々は今、復興に向けてあつい絆で結ばれているのを感じる。


ジムのホームページはこちら。  http://www.eastvillage.com

10月12日
前田直子



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