━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2004年11月29日発行 ━
●━━ 若手国会議員メルマガ『未来総理』 第113号 ━━━━━━━━●
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今年も残り1カ月ちょっとになりました。国会の会期は12月3日まで。
「未来総理」たちも、なにかと慌しい毎日を送っているようです。「小学
生女児殺人事件」が解決しないうちに、先週は2件の「両親殺害事件」が
ありました。ゆがんだ形でストレスをためている日本人が増えているよう
に思えます。「未来総理」たちは、明るい未来をつくりだすことができる
でしょうか。
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目次
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■ 「景気の先行きをどう判断するか」
上田 勇(衆議院議員・公明党・神奈川)
■ 「国会の理想と現実」
細野豪志(衆議院議員・民主党・静岡)
■ 「地方分権の道のり」
福島 豊(衆議院議員・公明党・大阪)
◎編集後記
◎次号予告
◎未来総理メンバーの紹介
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■ 「景気の先行きをどう判断するか」
上田 勇(うえだ いさむ・衆議院議員・公明党・神奈川)
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我が国のGDPは、2002年以降企業収益が改善し、海外経済の好調に
よる輸出と積極的な設備投資に支えられて回復を続けてきました。そんな中、
中小企業や地方経済を取り巻く厳しい環境が続き、雇用者所得の減少なども
あり、景況感は必ずしも改善しない状況が続いてきました。
ここにきて、個人消費も安定的に増加を続けており、雇用環境も一時に比
べてかなり改善してきました。こうした状況のもとで、政府・日銀とも「景
気は回復している」との一致した認識を示しています。
しかし、ここにきて景気の現状及び先行きに対する懸念が広まっています。
本年7−9月期の実質GDP成長率が+0.1%(連鎖方式GDPデフレー
ターを使った参考値では▲0.0%)に減少しました。これは、輸出の伸び
悩みや設備投資の停滞などが主原因でありますが、一時的な調整局面との見
方が有力で、2005年以降の景気は回復し続けるとの見方が有力です。た
だ、原油価格の上昇、ドル安・円高の為替変動、過熱気味の中国経済の調整
など不安定なリスクもあり、景気動向を注意深く見ていかなければならない
のは事実です。
もう少し中長期的な課題として考えなければならないのが、悪化してしまっ
た財政の再建です。このままの状態を放置しておけば、日本の財政は危機的
な状態に陥ることになるのは明らかです。財政再建のためには、国・地方を
通じた徹底的な行政事務のスリム化を図って支出を抑えていくのが最優先で
す。
そのためにこれまで公共投資の縮減のほか一般支出の合理化に努めてきま
したが、増大する年金・医療・介護などの社会保障支出の伸びを抑制する改
革も必要です。しかし、少子高齢化に伴う社会保障給付の増加などを考える
と歳出改革だけで対応するのは無理であり、増税や社会保険料の引き上げも
含めた、収入・支出両面からの財政構造改革の実行が必要になっています。
財政がさらに悪化すると、将来の税や保険料の負担増や社会保障サービス
の低下に対する不安から消費や投資の減退が起こる危険性が指摘されていま
す。また、金利水準の上昇によって国債の発行コストが高まり、さらに財政
を悪化させる悪循環も心配されます。こうしたことを考えると早期に財政再
建の道筋を明確にしていくことが必要です。
景気対策と財政再建は短期的には矛盾した財政政策が求められることにな
ります。従来は、景気対策を優先して、所得税・法人税など減税や公共事業
の追加などを行ってきましたが、その結果、財政の不均衡がここまで拡大し
てしまいました。
これから景気に一時的にせよ停滞感が広まることも予想される中で、当面
の経済運営、財政政策の判断はこれまで以上に重要になっていると認識して
います。
私は、長期的な視点に立って日本経済を再生していくためには、財政の立
て直しが必須の課題であると考えています。そのためには、社会保障の持続
可能な制度への改革、国・地方の支出の抑制、適切な税収を確保するための
税制改正といった財政構造改革方針を堅持し、それに沿った政策実行を継続
するべきだと考えています。
しかし、景気変動にもきめ細かく配慮しながら、支出削減や収入増加策の
実施幅やタイミングについては慎重に対処することが必要になっています。
しっかりとした現状掌握と綿密な分析・検討がこれまでになく重要になりま
す。
★上田 勇ホームページ http://www.isamu-u.com/index.html
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■ 「国会の理想と現実」
細野豪志(ほその ごうし・衆議院議員・民主党・静岡)
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■2004年の国会
読者の皆さん、お久しぶりです。早いもので師走も目前。国会も12月3
日で幕を閉じます。今回は、1年間の激動の国会を振返ってみたいと思います。
通常国会で成立した法律(国会の採決が必要な予算、条約を含む。以下、
同様)は167本です。参議院選挙が行なわれた関係で、今年は延長無しの
150日で終了しましたので、例年と比較すると少なめです。
参議院選挙後には、参議院の人事に関わる短い臨時国会が開かれましたが、
ここでは議決案件はありませんでした。そして、12月3日に閉会を控える
今回の臨時国会では11月26日時点で16本の法律が成立しています。合
計184本。最終週であと何本か成立すると思われますので、200本近い
法律が成立することになります。
■民主党は抵抗勢力か
さて、ここで問題です。184本の中で私の所属する民主党が賛成した法
律は何本あるでしょうか。ちなみに、賛成法案には、春に成立した国民保護
法、反対法案には年金法、予算などがあります。
答えは139本。76%に賛成していることになります。50%以上を予
想した方は少なかったのではないでしょうか。メディアでは、予算や年金な
ど、与野党が対立している場面がクローズアップされますので、民主党は反
対ばかりしているという印象が強いようです。
ほとんど報道はされませんが、各委員会で与野党間で法案の修正や共同提
案が行なわれている例は少なくありません。139本という数は、決して政
府の意見を丸飲みしたり、全否定したりせず、それぞれ我々が悩んだ末に結
論を出した苦労の結晶なのです。
■議員立法
184本の法律のうち、議員立法は17本で、残りは政府(役所)が提出
した法案です。立法機関の出した法案がわずか1割というのは実に寂しい数
字です。
実は、民主党は100本以上の議員立法を国会に提出しています。提出数
と比較して成立法案が極端に少ないのは、与党に阻止されるからです。成立
した17本の議員立法は、与党提出か、与野党によって共同提案されたもの
ばかりです。
それでも民主党が議員立法を出し続ける理由は二つあります。一つは、政
権を取った際に、役所に頼らずに政策をつくる能力を養成するためです。民
主党が提出した議員立法の山は、民主党が政権を取った時に実現する法律集
と言ってもよいと思います。もう一つの理由は、民主党が法案を提出するこ
とによって、それがやがて政府の法案に反映される可能性があるからです。
■日本の保証制度
今国会で成立した法案の中に、保証人を保護するための民法の改正案があ
ります。
ピンと来ない方も多いと思いますので、若干説明します。日本では、中小
企業が資金を借りる時、多くの場合、経営者の個人保証が必要です。家屋敷
などの個人の財産を担保に入れないと、金を貸してもらえません。
更に、経営者の保証能力には限界がありますので、親戚や知人の第三者の
保証人を求めるケースがほとんどです。企業が倒産した場合に、夜逃げや自
殺が横行する背景には、この保証制度があります。中でも、保証人に過度の
負担を課す根保証制度は、多くの悲劇を生み出して来ました。
今回の改正で、保証制度に、限度額の明示、保証期間の限定、書面の作成
などが義務付けれることになりました。これにより、野放図に責任が追及さ
れてきた個人保証人が救われ、再起の可能性が広がりました。
■ネコババ法案
民主党は個人保証をなくす運動を展開してきました。ただ、金融機関が土
地担保主義を取っている現状で、個人保証を全廃すると、中小企業に資金が
まわらなくなる可能があります。少なくとも、個人の人生をボロボロにする
保証制度の改革を一日も早く実現すべきであると訴えてきました。
実は、民主党は毎年のように同趣旨の法案を国会に提出しているのですが、
すでに三度、ほとんど審議されることもなしに、与党によって葬り去られて
います。今回、政府が提出した改正案は、民主党のアイデアを流用したもの
です。
法案を提出し続けたことの成果が出たと喜びながら、一方で、手柄を取ら
れたことに歯軋りしつつ、民主党はネコババ法案に賛成することになります。
国会での法案の作成や審議は、地味な作業の連続なのです。
■独占禁止法
地道な作業の一端を見ていただけるのが国会審議です。今国会では継続審
議となった独占禁止法の質疑で、中小企業の立場に立って、11月24日に
経済産業委員会で質問しました。国会のページから
( http://www.shugiintv.jp/video-check.cfm )、お時間のある方はご覧く
ださい。
独占禁止法案では、民主党は独自案を出しています。中小企業への配慮、
官製談合排除の観点から、何らかの成果(できれば修正)を取れるように、
通常国会でも頑張りたいと思います。
★細野豪志ホームページ http://www.goshi.org/index2.htm
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■ 「地方分権の道のり」
福島 豊(ふくしま ゆたか・衆議院議員・公明党・大阪)
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現在、与党と政府では三位一体改革の議論がもっぱら話題の中心である。
昨年1兆円の補助金を削減し、本年は3兆円の削減が目標である。
8月に出された地方六団体の提案に対して、各省庁が対案を出し、両者は
全く平行線をたどっている。対案の中身は、補助金削減の総量を維持し他の
補助金を削減するというものから、削減そのものが困難であり、可能なのは
これだけだという提案まで違いがあるが、地方六団体の意向も踏まえこれか
らどのように合意形成を図っていくのかいよいよ正念場を迎える(今日明日
が正念場)。
※編集部注:この原稿は、23日に寄せられました。
しかし新聞等でこうした議論が報道されても、国民はなかなかわかりにく
いのではないかと私は思っている。そもそも三位一体の補助金の見直し(廃
止)、地方交付税の改革、税源移譲の三者を一体的に進めるということであ
るが、これも国民に十分に理解していただいているのか、そんな思いもする
し、さらには、こうしたことは一体何のために議論しているのかと思われる
方も多いのではないかと思う。
地方分権ということが叫ばれ、地方分権推進一括法が成立し、様々な改革
が進んできたが未だ道半ばである。地方自治体が、みずからの提供する住民
サービスを自ら決定し、その負担は住民合意のもとに住民が負担していく構
造へ転換するというのが一つの柱であろう。しかし、自ら利用する住民サー
ビスについて自らの負担でこれを行うのだという意識はどれだけ定着してい
るのであろうか?国というおおきなどんぶりの中からどれだけもらってくる
かという話になりがちである。
またどのようなサービスが本当に必要なのか、負担に値するのかという議
論がどれだけ地方の議会で行われているのか、こうしたことも大切である。
あとわずかで一定の結論に達するであろうが、単に数字を合わせるのでは
なく、今後の国と地方の関係についての協議をどのようにルールとして定着
させていくのかが大切である。今回の結論は昨年と同様一里塚にすぎない。
目の前には、かつてないレベルに達した国地方の債務の問題がある。国と地
方が同時に財政再建にむけての確かなレールを引かなければならない。その
中で私は改めて日本の民主主義がさらに深化する契機があるのではないかと
思っている。
★福島 豊ホームページ http://homepage3.nifty.com/fukushima-yutaka/
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●大特集「命が与えてくれたもの」
田原総一朗さん、絵門ゆう子さん、高遠菜穂子さん、河野義行
さんなど、「命」に真剣に向き合ってきた方々にインタビュー。
カリスマ教師による「いのちの授業」、各国で効果をあげている
「心の教育」レポートなど、教育に関心のある人は必見!
荒木清寛議員、桜井充議員、小池晃議員の「いのちの政策」も
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編集後記 弘中百合子(ロゼッタストーン)
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民主党が184本中139本の法案に賛成していたというのは、確かに意
外な数字でした。「全会一致」で可決される法案もあるわけだから、ほかの
政党の賛成率も、わたしたちが考えているよりは多いのかもしれません。
先週は「三位一体改革」が大きな話題になっていました。速度や程度はと
もかくとして、地方分権はこれから確実に進んでいくようです。ということ
は、今後は地域によってかなり個性が生まれてくるはず。自分の住む地域を
どんなふうにしていくのか、選んだ政治家によって、方向性がまったく変わっ
てくるかもしれません。
いまの政治への無関心は「誰を選んでも何も変わらない」という虚しさか
ら出てきていると思います。地方分権が進んで、有権者の声で生活が変わる
ようになれば、もっと政治を楽しめるかもしれませんね。(意見の分かれた
住民同士の対立が深まる…なんてこともあるかもしれませんが)
「未来総理」へのご意見、ご質問は souri@rosetta.jp までお気軽にどうぞ。
※掲載を希望されない方、実名をご紹介してもかまわない方は、ひとこ
とお書き添えいただけると助かります。また、ご意見を紹介してもよ
い場合は、年齢、職業なども書いておいていただくと、参考になりま
す。ご協力、よろしくお願いいたします。
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次号予告
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次回の配信は、12月6日です。
大村秀章議員(自民党) 丸谷佳織議員(公明党)
山井和則議員(民主党) 長島昭久議員(民主党)
中根康浩議員(民主党)
が登場する予定です。
※登場する議員は、変更する場合もあります。ご了承ください。
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未来総理メンバーの紹介
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「未来総理」には、超党派の29名が参加しています。 (敬称略)
◇衆議院
石破 茂(自民党・鳥取) 上田 勇(公明党・神奈川)
大村秀章(自民党・愛知) 吉良州司(無所属・大分)
楠田大蔵(民主党・比例九州) 近藤昭一(民主党・愛知)
近藤洋介(民主党・比例東北) 鈴木康友(民主党・比例東海)
達増拓也(民主党・岩手) 樽井良和(民主党・比例近畿)
樽床伸二(民主党・大阪) 手塚仁雄(民主党・東京)
中塚一宏(民主党・神奈川) 中根康浩(民主党・比例東海)
長島昭久(民主党・東京) 西村康稔(自民党・兵庫)
福島 豊(公明党・大阪) 三日月大造(民主党・滋賀)
細野豪志(民主党・静岡) 丸谷佳織(公明党・比例北海道)
山井和則(民主党・京都)
◇参議院
荒木清寛(公明党・比例) 有村治子(自民党・比例)
小池 晃(共産党・比例) 小林 温(自民党・神奈川)
桜井 充(民主党・宮城) 福島瑞穂(社民党・比例)
藤末健三(民主党・比例) 松下新平(無所属・宮崎)
詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、
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