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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2004年3月29日発行 ━

●━━ 若手国会議員メルマガ『未来総理』 第81号  ━━━━━━━━●

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 この週末、お花見に出かけた人も多かったのではないでしょうか。もうすっ
かり「春」ですね!
 今回は民主党の長島議員、鈴木議員と、自民党の有村議員から原稿が届き
ました。
「台湾の総統選挙」や「FTA」などのタイムリーな話題や、「国会の質問
力」についてなど、読みごたえがある内容です。みなさまも、「未来総理」
たちと一緒に、日本の未来を考えてみてください。

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  目次
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■ 「日本の生命線、台湾。その総統選を視察して(1)」
   長島昭久(衆議院議員・民主党・東京)

■ 「FTAの推進」
  鈴木康友(衆議院議員・民主党・比例東海)

■ 「議会人として問われる質問力」
   有村治子(参議院議員・自民党・比例)

◎編集後記
◎次号予告
◎未来総理メンバーの紹介

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 ■ 「日本の生命線、台湾。その総統選を視察して(1)」
           長島昭久(ながしまあきひさ・衆議院議員・民主党・東京)
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 私は去る3月20日、台湾で行われた総統(大統領に相当)選挙を視察しまし
た。ご承知の通り、結果は約3万票、率にして0.228%という僅差ながらも4年
前に初当選した民進党の陳水扁総統が再選され、また選挙自体も陳総統が選
挙戦最終日に暗殺未遂事件に遭遇したこともあり、世界的な注目を集めまし
た。

 この選挙結果に最も大きな影響を受ける国のひとつが日本です。しかしな
がら、そうした観点からの国内報道は残念ながら極めて少ないのが現状です。
私はこれまで、衆議院予算委員会等で総統選を控えた台湾に対する日本の外
交政策に関し、繰り返し川口外相や石破防衛庁長官に対して質疑を行ってき
ました。そこで今回は、この総統選の視察体験をもとに、日本にとっての台
湾の戦略的重要性について考えてみたいと思います。

 今回の選挙の候補者は、現職の陳水扁氏(民進党、台北市長等を歴任)と
かつて連戦氏(国民党、李登輝政権時の副総統)でした。国民党は1945年以
来台湾を一党独裁の下統治してきた政党、対する民進党は独裁に反対し、民
主主義と台湾独立を求めて抵抗運動を続けてきた政党です。

 4年前の総統選で初めて民進党が国民党を破り、政権交代が起きました。戦
後約50年にわたり、政権を保持してきた政党が破れたのですから、これは一
大事件だったわけです。

 そもそも台湾は長い植民地支配の下にあり、1895年には日清戦争に勝利し
た結果、清国から日本が統治権を得て先の大戦で負けるまで、およそ50年に
亘って台湾を日本の統治下に置きました。日本の敗戦後、中国大陸での共産
党との内戦に敗れた蒋介石軍(国民党軍)が台湾に逃れ落ち、ここに「中華
民国」政府を置いて台湾を統治、中国大陸への「反攻」の拠点と位置づけた
のです。

 この時以来、蒋介石率いる国民党が台湾を統治する長い歴史が始まり、事
実上「国民党=国家」という体制が定まりました。しかしそもそも蒋介石・
国民党に率いられて台湾に来た人々(外省人)は、以前から台湾に住んでい
た人々(本省人)から見れば侵略者でありよそ者です。

 以後、台湾の民主化を求め国民党独裁に反対する運動は以後勢いを増し、
1996年、遂に当時の李登輝総統(国民党)の下で総統選への直接選挙が導入
され、次回2000年の総統選で民進党・陳水扁氏の勝利となったわけです。

 ではなぜ台湾の総統選が日本に多大な影響を及ぼすのかを考えてみましょ
う。端的に言えば、それは日本への物資の海上輸送ルート(シーレーン)が
台湾本土の両側の二つの海峡(台湾海峡・バシー海峡)を通っており、日本
の物資輸入が台湾の安全次第で大きな影響を受けること、そして中国が台湾
を自国の領土の一部と主張して武力統一の方針を掲げ、更に東シナ海一帯の
海底・海洋調査を頻繁に行って日本の海上権益に大きな脅威を与えつつある
からです。

 今回の選挙で、陳水扁総統は中国の脅威に対して台湾の安全を守る姿勢を
強く打ち出しました。対する連戦候補は中国との交流の進展を通して、将来
の平和的な「統一」に含みをもたせました。陳水扁総統が勝利した結果、台
湾は「中華民国」という国名の変更、「中華民国」憲法の改正など、民族ア
イデンティティーを一層明確にする方向に舵を切っていくことでしょう。そ
してその方向性に、中国が激しい批判と圧力を今後かけ続けるであろうこと
は間違いありません。

 では、日本はこうした情勢を踏まえて、国益が密接に関係するこの問題に
どのような戦略で臨むべきなのでしょうか。次回はその点に関して考察を巡
らせたいと思います。


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 ■ 「FTAの推進」
           鈴木康友(すずきやすとも・衆議院議員・民主党・比例東海)
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 FTAという言葉を最近よく耳にします。特に直近ではメキシコとのFTA
交渉が、基本的に合意などというニュースも流れました。

 このFTAとは何か。日本語では、自由貿易協定と言います。簡単に言え
ば、FTAを締結した国の間では、関税などの障害を排除し、貿易を促進し
ようという約束です。今世界中でこのFTAが花盛りです。

 こうした二国間の交渉ではなく、大きな枠組としては、WTOという交渉
の枠組があります。しかし、WTOは多くの国々が参加しているので、あま
りにも各国の利害対立が激しく遅々として進んでいません。そこで経済連携
が可能な国々が個別に進める枠組としてFTAは急速に広がってきました。

 日本もFTAの流れに乗り遅れてはならないとして、前述のメキシコやア
セアン各国、韓国などとのFTA交渉を進めています。

 では、なぜFTAを推進しなければならないのか。ご存知の通り資源の乏
しい日本は、加工貿易により今の経済大国の地位を築いてきました。日本が
経済発展を続けるためには、世界との交易は絶対条件です。しかし、日本が
FTAで遅れをとると、不利な立場に置かれてしまいます。

 例えば、メキシコの場合、既に米国やEUとはFTAを結んでいます。す
ると米国やEUの企業は、日本企業に比べ、貿易条件が圧倒的に有利になり
ます。おのずと日本企業は淘汰され、経済的利益を失ないます。日本経団連
の試算によれば、メキシコと日本の間にFTAがないばかりに日本が被った
経済的損失は年間4000億円にのぼるということです。従って、日本もFTA
を推進しなければならないというわけです。

 ただ簡単に事は運びません。日本は工業製品を輸出したいわけですが、逆
に日本の相手国からは農業製品をもっと日本に輸出したいというケースが多
くなります。すると打撃を受ける日本の農業団体や農業関係者などは、どう
してもFTAに対して否定的になってしまいます。すべて日本の都合のいい
ようにというわけにはいきませんから、交渉で知恵を絞り、しのぎを削ると
いうことになります。

 確かに農業は、極めて重要な分野です。食料自給率が40%の日本にとって、
せめて60%程度、できれば80%くらいまで自給率を上げるのは、食料安全保
障にとって必要です。しかしこれまで日本は農業に多くのお金を使いました
が、決して有効な政策を行ってきたとはいえません。今後は、所得補償を中
心に、もっと有効な手立てを講じなければなりません。幸いFTAの議論の
中で、農業政策見直しの議論も大きくなってきました。いい機会だと思いま
す。

 アセアン各国とのFTA交渉が始まると、農業に加え人の受け入れの問題
も発生します。フィリピンやタイには、日本に労働力を送りこみたいという
ニーズがあります。これを全く無視してFTA交渉を進めることはできませ
ん。しかし日本人の雇用問題、治安の問題などを考えると慎重にならざるを
えません。

 日本は既にシンガポールとFTAを結びましたが、農業問題も労働市場開
放問題もないシンガポールは、数学でいえば公式をあてはめればすぐ答の出
る例題中の例題であったといえます。これから日本は複雑で高度な応用問題
を解いていかなければなりません。


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 ■ 「議会人として問われる質問力」
            有村治子(ありむらはるこ・参議院議員・自民党・比例)
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 皆さまこんにちは!有村はるこです。生まれてきた子供の首もようやくす
わり、毎晩おそってくる(!?)夜泣きと授乳も、体力にモノを言わせて、随分
と慣れてきました。さて今日は、常々私が痛感している「質問力」について、
書いてみようと思います。

《言わせたい答弁を引き出し、記録に載せることの意義》

 議会人には、本会議や委員会など、公式な場で質問する権限と責任が与え
られています。限られた時間の中で、効果的な質問を出し、相手の答弁をう
けてすぐに切り返しをして、実効性のある関連質問を続けられるかどうかは、
いかに周到に事前調査や質問内容の精査ができているかにかかっています。

 私達が出す質問は、通常、政府に向けられ、例えば内閣総理大臣をはじめ
とする各大臣・副大臣等や、行政実務にあたる各省庁の官僚幹部(事務次官
や審議官・局長など)が答弁に立たれます。この質問・応答のやりとりは、
複数の速記人によって一語一句必ず記録され、活字になって公開されます。

 この公開答弁が論拠となって、その後の行政のあり方や指針に、大きな影
響を及ぼしていく過程を、何度も目の当たりにしてきました。重要な案件に
対する質問と答弁が記録に残り、その後の議論をリードしていくのです。こ
の意味では、質問は、今後の行政方針を決定していく一里塚にも、なりえる
のですね。核心をついた質問は、行政や他の議員の賛同や理解を拡げていく
ための問題提起であり、質問という形をとった「弁論」だと感じています。

《質問力で査定される議会人の弁論》

 議員による『質問の内容』を聞いていれば、その人が、どのくらいの専門
性や情熱を持って、当該案件に取り組んでいるか、おおよその見当がつきま
す。と同時に、『質問の仕方』を見ていると、その人が、当該案件を前に進
めるために、どのような戦略やビジョンを描き、どの程度の準備を重ねてき
たか(あるいは逆に「手抜き」をしてきたか)が、会議場ですぐに伝わりま
す。

 与野党も含めて、各党派の議員がいる中では、お互いすぐに、「質問の力
量」について、「○○党の□□氏は、質問が的確で、さすがよく勉強してい
る」とか「△△党の☆☆さんは、現場に足を運ばずに感覚でモノを言ってい
るから、やけどするんだ。あんな簡単な質問は、事前に自分で調べればいい。
手抜きだ」などと、お互いに求めてもいないのに、寸評がついてまわります。
ある意味、当然のことなのですが…怖いですね。

《数分の勝負に凝縮される、様々な駆け引きと事前調査》

 先日、聾学校に通う聴覚障害を持ったお子さんのための特別支援教育につ
いて、質問に立ちました。私に許された質問時間は9分。結果的にこの質問
は、答弁に立たれた文部科学副大臣の他にも、厚生労働副大臣、公明党議員、
社民党議員、無所属議員からも理解や支持表明の「援護射撃」をいただき、
一定の成果は出せたと思っています。しかし聴覚障害児の学校現場における、
手話の実態を知らなかった私が、行政の不備をただすべく一定の認識を持っ
て、質問を簡潔にまとめるためには、基本的な文献調査と当事者の方々への
面談・報道記録の確認・文部科学省への聞き取りなど、その準備に、質問時
間の100倍以上の莫大な時間がかかりました。

 適切な行政のあり方を求めて、効果的な質問がなされた場合には、たとえ
党派が違ってイデオロギー的には異なる立場にあっても、一定の敬意が持た
れます。言論の府にあって、質問と言う形で持論を展開する技量を磨いてい
く大切さを、痛感しています。


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  編集後記              弘中百合子(ロゼッタストーン)
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  先日、2004年度の予算が成立しました。これは、史上4番目の早期成
立だそうです。夏の参議院選挙を控えているというのに、国会はいまひとつ
盛り上がりを欠いているようです。争えばいいってものでもありませんが、
大事な問題をいろいろ抱えているのに、国民の関心が一向に高まらない状況
が気になります。

 さらに、インターネットでニュースを見ていると、山形県の選挙管理委員
会が実施した調査では、20代の4割以上が「政治に関心がない」と答えた
そうです。ちょっと寂しいですね。

 有権者の関心が高くなればなるほど、政治の質は上がっていくはずです。
若者たちが政治に希望を見出せるように、「未来総理」たちには、ぜひ、頑
張ってほしいと思います。

 ご意見、ご質問は souri@rosetta.jp までお気軽にどうぞ。

 ※掲載を希望されない方、実名をご紹介してもかまわない方は、ひとこ
   とお書き添えいただけると助かります。また、ご意見を紹介してもよ
   い場合は、年齢、職業なども書いておいていただくと、参考になりま
   す。ご協力、よろしくお願いいたします。

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  次号予告
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 次週の配信は、4月5日です。

 宮本岳志議員(共産党) 小林 温議員(自民党)
 吉良州司議員(無所属)  近藤洋介議員(民主党)
 武正公一議員(民主党)

 が登場する予定です。

  ※登場する議員は、変更する場合もあります。ご了承ください。

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  未来総理メンバーの紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆
  「未来総理」には、超党派の30名が参加しています。
   (敬称略・※が新メンバー)

 ◇衆議院
  石破 茂(自民党・鳥取)     上田 勇(公明党・神奈川)
  大村秀章(自民党・愛知)    吉良州司(無所属・大分)※
  楠田大蔵(民主党・比例九州)※ 近藤昭一(民主党・愛知)
  近藤洋介(民主党・比例東北)※  鈴木康友(民主党・比例東海)
  武正公一(民主党・埼玉)※    達増拓也(民主党・岩手)
  樽井良和(民主党・比例近畿)※  樽床伸二(民主党・大阪)
  手塚仁雄(民主党・東京)※    中塚一宏(民主党・神奈川)※
  中根康浩(民主党・比例東海)※ 長島昭久(民主党・東京)※
  西村康稔(自民党・兵庫)※    野田佳彦(民主党・千葉)
  福島 豊(公明党・大阪)※   三日月大造(民主党・滋賀)※
  細野豪志(民主党・静岡)     丸谷佳織(公明党・比例北海道)
  山井和則(民主党・京都)

 ◇参議院
  荒木清寛(公明党・比例)     有村治子(自民党・比例)
  小池 晃(共産党・比例)    小林 温(自民党・神奈川)※
   櫻井 充(民主党・宮城)※    福島瑞穂(社民党・比例)
  宮本岳志(共産党・大阪)


詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーン
WEBページで公開しています。⇒ http://www.rosetta.jp/
各議員のホームページにもリンクしています。


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発行人・編集人:弘中百合子
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