━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2003年8月18日発行 ━
●━━ 若手国会議員メルマガ『未来総理』 第50号 ━━━━━━━━●
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8月とは思えない涼しい日々が続いています。こんなに夏らしくないお天気
も寂しいですね。お盆休みも、いつもと雰囲気が違ったのではないでしょう
か。さて、今回は「未来総理」も、いつもと少し毛色が違います。社民党の
植田議員は、政治家をめざす若者へのアドバイス、自民党の有村議員は、自
らの妊娠で感じたことを報告してくれました。
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目次
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◎「政治に対して、いかなる姿勢でのぞむべきか」
植田至紀(衆議院議員・社民党・比例近畿)
◎「妊娠して感じること」
有村治子(参議院議員・自民党・比例)
◎編集後記
◎次号予告
◎未来総理メンバーの紹介
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■「政治に対して、いかなる姿勢でのぞむべきか」
植田至紀(うえだむねのり・衆議院議員・社民党・比例近畿)
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私も若いつもりですがいまや37歳。30代後半なんですよね。社民党で
青年委員長を務めていますが、とりあえず議員の場合40歳まで青年扱いに
していただいているため、青年議員を名乗っている次第なのです。
が、やっぱり最近歳をとってきたなあ、と実感することが多くなりました。
若い世代が少ないと言われる社民党ですが、おっとどっこい元気な青年が頑
張っているのです。でもそんな世代と話をするとき、「最近の若いもんは!」
と思うことが実は結構あるのです。そんな気持ちになることはもはや青年で
はないのですよね。悲しいけれど。
ただ、政治の世界では若い部類に属するものとして、「最近の若いもん」
に相対的に言えば近い世代の者として、少し説教じみたことを述べてみたい
のです。『未来総理』の読者の年齢層まで承知していないので、若い読者が
少ないかもしれませんが‥‥‥。そのときはごめんなさい。
政治的な思想、信条がどうあれ、政治的に主体的に携わろうとする者が、
いかなる姿勢でのぞむべきかという点は普遍的なものだろうと思います。
20代前半から政治に関わってきた者として反省を込めて思いつくまま書き
連ねてみます。
まず、政治に携わるといっても、日々の活動は実に地味なことの積み重ね
だということです。例えば、ビラ配り、ポスター掲示、宛名書き、発送作業、
経理などなど庶務、力仕事の類がほとんどです。それをやるのが嫌だったり、
できなければ政治活動は最初からやめておくべきでしょう。
自信や自惚れはいい意味で若さの特権であることは確かです。しかし私の
経験から言えば、大言壮語する人や、例えば街頭でマイクを握ってカッコよ
くアジテーションをやるだけの人は長続きしません。いつのまにか活動から
遠ざかっている場合がほとんどです。
第二は、自らの理想を実現する手段として政治に携わるのであって、政治
的な地位を得ること自体が目的となってしまってはならないということです。
政治に関わる人は、多かれ少なかれ野心というか山っ気があるでしょう。
ズバリ言えば議員になりたいとかです。もちろん私もその一人だからこそい
まの仕事をやっているのです。しかし注意すべきは、世の中を変えようとい
う志が、自らの立身と重なり合わせてしか表現できなくなる危険があること
です。
コツコツ歩きながら、地域の様々な声に接し、それを政策に生かすべく努
めてきた議員を私はたくさん知っています。その一方で、議員になったとた
ん人が変わったような方々も同じくらい知っています。前者は必ず党派を超
えて信頼され、後者は身近な人々から真っ先に離れていきます。先輩のどん
な姿に学ぶのかは明らかだと思います。
第三は、二番目とも関連しますが、何によってモチベーションを高めてい
くかという点です。例えば、私は党の事務局にいたころ政策文書等をかなり
執筆しましたが、その文書には執筆者の固有名詞はどこにも出てきません。
当然ながら党という組織の責任で発表しているのですから、誰が書いたのか
ということはまったく意味がないのです。
若い方々には、自分の名前が入っているかどうかとか自身に対する周囲の
評価によってではなく、仕事の達成感そのものに次の課題に取り組むヤル気
を見出して欲しいのです。付け加えておくと、政治という業界であっても、
自分の名前で仕事をするにはそれなりの蓄積が必要なのは言うまでもありま
せん。
第四は、若いということの良さを生かして欲しいということです。そのた
めには既存の政治家がダメだからといって、じゃあ若ければ誰でもいいのか
ということではないという自明のことを理解して欲しいのです。
若さの良さは、政治の世界の悪弊因習に染まっていないということに尽き
ます。それを生かすためにはいわゆる政局にこだわるより個別具体的な政策
課題にこだわることが必要だと思います。誰をリーダーとすべきかといった
話などに余り関心を持ちすぎると肝心のことを忘れがちになってしまいます。
あくまで政治は、私たちの暮らしをよりよくするための手段だということ
を忘れてはなりません。
同時に手段としての政治に関わる姿勢にとって重要なのは、社会に対する
澄んだ眼と献身性をいかに持ち続けるかです。これは一度失ってしまうと二
度と取り戻すことができないものだけに、自身の感性が摩耗していないか、
堕落していないかを常に検証することが肝要です。
誰かへのメッセージというよりは、自身のあり方を見つめなおすような気
持ちで、自身に言い聞かせるつもりで、おそらくはこのメールマガジンのな
かでは趣のことなる一文をしたためてみました。
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■「妊娠して感じること」
有村治子(ありむらはるこ・参議院議員・自民党・比例)
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今日は、「未来総理」を通して、私・有村治子の寄稿を読んで下さってい
る皆様に、少しばかり改まってのご報告です。実はこの春、自分が妊娠して
いることを知り、10月末に第一子の出産を予定しています。今回、妊娠が判っ
たと同時に、「流産しやすい体だ」と言うことも産婦人科の先生から指摘さ
れ、妊娠初期・中期を通して、「いつか流産してしまうのでは・・・」と冷
や冷やしながら、日々の活動を続けてきました。幸い、安定期に入り、おな
かのふくらみも目を見張るようになったので、やっと少し肩の力を抜いて、
現状を皆さまにご報告できるようになりました。
つわりで朝晩夜中に吐いてしまう時期が、3・4・5月だったので、国会内
外での仕事や春の統一地方選挙の応援は、ビニール袋を片手に潜ませながら、
全国に行っていました。妊娠初期につわりが最もひどいということを思い知
らされる一方、混んだ電車に乗りながら「途中で、もし吐いちゃったらどう
しよう・・・」という思いでつり革をつかんで出勤する「働く妊婦の通勤時
の不安」も、文字通り「体験学習」する中で、働く女性をとりまく妊娠・出
産・子育て環境などについて、改めて深く考えさせられています。以前から
全国の皆さまより、同様のテーマについて多くのご意見をいただいてきまし
たが、現在進行中の実体験を通して、ご指摘に心から共感する社会問題もあ
ります。
《妊娠したとたん、お腹は、パブリックなものに…!?》
通常、お腹というものは、男女ともに、プライベートな体の部位です。普
段の社会生活を営んでいる限りは、初対面の人との会話に、取り立てて出す
べき話のネタでもありません。しかし妊娠が分かったとたん、そんな「プラ
イベート」なはずのお腹が、急に「極めてパブリック」なものに、されてし
まうのです。今まで面識がなかった男性が、「オメデタですかぁ〜」とか言
いながら、すかさず次の瞬間、私のお腹に手を回して上下にさわろうとして
くる経験など、1度や2度ではありません。
もちろん純粋に妊娠に興味を示して下さる方も多くいらっしゃるのですが、
妊娠を良いことに、どう見てもハラスメントを働いているとしか思えない
「確信犯」もいます。男性が多い職場で働いたり、男性ばかりの酒宴で仕事
付き合いを進めねばならなかった経験も多々あり、いわゆる「セクシャル・
ハラスメント」に対しては、今までカリカリと目くじらを立てることもなく、
かつ自分を曲げて泣き寝入りすることもなく、ある程度の「社会的免疫・耐
性」を養ってきたつもりです。しかし「妊娠を共に喜ぶ善意」を逆手にとっ
たような「見え見え」のくどい芝居に、くやしい憤りを感じることもありま
す。
私自身は、「男性vs女性」という男女拮抗の対立構図を煽るほうではなく、
むしろ女性の社会的な地位向上には、男性の本心からの理解・納得・協力が
得られるような環境作りが大事だと考えています。30歳代となって、わりと
おおらかに構えている私でさえ、このようなくやしい憤りを感じているくら
いですから、「妊婦特有のハラスメント」に一体どのくらいの人達が困って
いるのだろう…と思いを巡らせた時に、問題提起の1つとして、皆さまにご
報告しようと思うようになりました。
《世界で最も少子高齢社会が進む日本なのに、ファミリーフレンドリーでな
い集団意識》
以前、新聞投稿欄で、滞米生活が長かった日本人男性が日本に「里帰り帰
国」した時に、電車の中で遭遇された経験が掲載されていました。いわく、
「小さい子どもを抱きかかえたお母さんや、お腹の大きい妊婦さんが目の前
に立っていても、誰も声をかけるわけでもなく、周囲の日本人は皆、見えな
いふりをして平気で椅子に座っている。私の祖国は、いつから、助け合う社
会的親切が常識として、通用しない社会になってしまったのだろう…」とい
う投稿です。
子育て中の多くの先輩やら友人から、また産婦人科で「マタニティクラス」
を受講する私と同じ立場の妊婦さん達からも、同様の指摘を受けてきました
が、「優先席」の表示がある公共の席でも、同じようなことが日々起こって
います。そんな中で、妊娠初期の、お腹がまだ平らで「通常に見える」状態
の時こそ、最もつわりがひどく、立って揺られる電車やバス、人込みで気分
が悪くなっても周囲に理解してもらえない―――そんなつらい思いを少しで
も解消できるよう、妊娠していることを周囲にさりげなく伝えられるバッジ
が登場したのを皆さま、ご存知ですか?
「BABY in ME (お腹に、赤ちゃんがいます)」という文言とイラストの描かれ
たこのバッジは、横浜市在住の村松純子さん( http://www.baby-in-me.com/ )
が考案され、住民からの声によって千代田区等では、自治体として、このバッ
ジを配布し始めています。しかしこの動きも、バッジに込められたコンセプ
ト自体が、社会に広がらなければ、意味がありません。私たちが住む日本の
社会が、子育てフレンドリーな土壌を培う一環として、この「静かなブーム」
が広がることを応援したいと思っています。
《「妊婦は、かくあるべき」との理想像と実態とのギャップ》
最近痛感していることは、妊婦が身にまとうマタニティ服は、家庭着のよ
うなデザインが圧倒的に多いということです。レースのひらひらやゴムを寄
せたギャザーの「かわいい」服が多く、ビジネススーツとして活用できるシ
ンプルな服が驚くほど見当たりません。確かに、母体保護の観点から、妊娠
中に安静にすることは大事で、そのような社会的メッセージがある利点も理
解できます。しかし日に日に大きくなってくるお腹を抱えて、外に着ていく
服が見当たらない私は、「じゃぁ、『女性は妊娠したら外で働くなー』とい
うのが、社会が発する唯一のメッセージなのぉ〜…!?」と珍しく斜に構えて、
一人、何だかもどかしい気になったことも、正直なところありました。
少子化の進む近年の日本でさえ、年間約115万人の新生児が産声をあげてい
ます。双子などの多胎妊娠を考慮しても、単純計算すれば、約110万人の妊婦
が毎年誕生し、110万通りの妊婦のライフスタイルが存在します。マタニティ
のビジネススーツ需要が顕在化しているのに、既製品の供給は驚くほどあり
ません。これは妊婦の動向に対する理想像と実態のギャップが生じているほ
んの一事例ですが、通勤して働く女性が妊娠しても、ビジネスシーンで着ら
れる服が、もう少し市場に出回ってもよい時期ですし、「女性のライフステー
ジに見合った労働力の活用」を真剣に取り組んでいく社会的な制度設計にも、
このような変化を反映していくべき時期にきていると考えます。
・・・妊娠して以前ほど無理の効かない体になり、日々の仕事を全て終え
てから、夜中に原稿を一気に集中して仕上げるなどの、精力的な仕事量のス
ピードは、確かにスローダウンしました。今、働く女性の多くが妊娠・出産・
子育て・介護等によって感じるようなもどかしさを、正直なところ私自身も
共有し、感じていますが、その分、この妊娠・きたるべき出産と子育てとい
う初めての経験から得る視点や思いを、今後の政治活動に活かし、「しっか
りとした国家観と、地に足のついた生活観」を重視する若手として、政治的
な視点に幅を持たせていきたいと強く感じています。
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編集後記 弘中百合子(ロゼッタストーン)
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「未来総理」は、今回でちょうど第50号となりました。一足先にスター
トした女性国会議員メルマガ「ヴィーナスはぁと」は、この秋100号を迎えま
す。ロゼッタストーンでは、「ヴィーナスはぁと」100号を記念して、
10月8日にヴィーナス議員と読者の交流パーティを開催することにいたし
ました。「未来総理」と両方に参加している議員もいますので、よろしかっ
たら、みなさまもどうぞご参加ください。詳細は下記の通りです。
「ヴィーナスはぁと」100号記念パーティ
●日時 10月8日(水)午後6時会場。午後6時半〜8時半
●場所 日本外国特派員協会 メディアルーム
(千代田区有楽町1−7−1 有楽町電気ビル北館20F)
●参加費 3,000円 (食事・飲み物つき・バイキング方式の立食パーティ)
●参加人数 先着70名様
日本外国特派員協会というのは、「時の人」を招いた記者会見でおなじみ
のところです。最近だと、水泳で金メダルをとった北島選手の記者会見をやっ
ていました。有楽町駅のすぐそばで、見晴らしがよく、お料理もおいしいの
です。
当日は、各ヴィーナス議員のスピーチ&質疑応答を予定しています。堅苦
しくない雰囲気で、ヴィーナス議員と読者の皆様との交流ができればいいな
と思っています。
※ヴィーナス議員がどれだけ参加してくれるかは、まだ未定です。選挙とぶ
つからなければよいのですが。
人数制限がありますので、お早めにお申し込みください。
参加ご希望の方は、
1)住所
2)氏名
3)電話番号
4)参加人数
5)ヴィーナス議員に聞いてみたいこと を明記して、
vheart@rosetta.jp までお申し込みください。
件名に「100号記念イベント参加希望」と書いてください。
「未来総理」への感想もお待ちしております。
ご意見、ご質問は souri@rosetta.jp までお気軽にどうぞ。
※掲載を希望されない方、実名をご紹介してもかまわない方は、ひとこ
とお書き添えいただけると助かります。また、ご意見を紹介してもよ
い場合は、年齢、職業なども書いておいていただくと、参考になりま
す。ご協力、よろしくお願いいたします。
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次号予告
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次週は、上田 勇議員(公明党) 春名直章議員(共産党)
鈴木康友議員(民主党) が登場します。
※登場する議員は、変更する場合もあります。ご了承ください。
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未来総理メンバーの紹介
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「未来総理」に参加してくださったのは、次の19名の方々です。(敬称略)
◇衆議院
石破 茂(自民党・鳥取) 上田 勇(公明党・比例南関東)
植田至紀(社民党・比例近畿) 大村秀章(自民党・愛知)
近藤昭一(民主党・愛知) 鈴木康友(民主党・静岡)
達増拓也(自由党・岩手) 樽床伸二(民主党・大阪)
野田佳彦(民主党・千葉) 春名直章(共産党・比例四国)
細野豪志(民主党・静岡) 丸谷佳織(公明党・比例北海道)
山井和則(民主党・比例近畿) 山村 健(無所属・比例東海)
◇参議院
荒木清寛(公明党・比例) 有村治子(自民党・比例)
小池 晃(共産党・比例) 福島瑞穂(社民党・比例)
宮本岳志(共産党・大阪)
詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーン
WEBページで公開しています。⇒ http://www.rosetta.jp/
各議員のホームページにもリンクしています。
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