●先人の知恵がヒントをくれる
まず、応募して下さった中学・高校生の皆さんに、心からお礼申し上げます。私は日ごろ教えている生徒の文章は読みますが、接点のない皆さんの文章は読む機会がありません。皆さんが、どのような気持ちで本を読み、そして、感想文を書いてくれたのか、皆さんの思いを少しでもくみ取ろうと、私も真剣に感想文に向きあいました。大変、楽しく充実した時間でした。
皆さんはまだ子どもですが、いずれ大人になり、社会人として活躍できる未来が待っています。そのためには、今は「大人になるための準備」が大事です。それは、勉強、スポーツなど、日常で経験することすべてですし、また、「誰かに何かをしてほしい」と待っているだけではなく、「自分だったらどうするか」と考えて生き、行動していくことでもあります。
その皆さんにはまだ、選挙権がありません。投票したくてもできない、でも、世間を見れば、大人の中には選挙権を行使しない人もいます。ここからくる怒りや、また、政治不信などに対し、自分だったらどうするか、という意見が、感想文には多く書かれていました。私も、皆さんと同じ時期に、やはり、似たような怒り、また、大人たちへ言いたいことを山のように抱えていました。そのように考えるのは、大変良いことです。
ただ、そのエネルギーを、ただの不満や怒りで終えてしまっては、世の中は変わりませんし、聞いてくれる人も少ないと思います。「こういう風に変えたい」など、自分なりに提案できることを伴うと、聞いてくれる人が増えるのではないでしょうか。
そのためには、多くの人と接し、また、多くの経験をして下さい。精いっぱい、誠実に生きることで、人は多くのものを受け取り、また、周囲にも良い影響を与え、何倍にも成長していくことができます。これは、今はもちろん、大人になってからもずっと重要なことです。
そして、もちろん、読書や本・インターネットなどでの調べ物も大事です。先人の知恵は、現代に生きる私たちにも大きなヒントをくれるはずです。『独立のすすめ』をじっくり読んだ皆さんなら、そのことが実感できていると思います。
この知恵を生かし、多くのさまざまな経験を重ねた結果、強く、そして、簡単に折れない心を持った大人になってくれることを、心から願っています。
*「感想文の書き方」に関して、ロゼッタストーンWEB『つきのみどりの教育カフェテリア』第70回で、注意すべきことを書いています。併せてご覧下さい。
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