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第4回 フリーランスか就職するか悩む、子持ち女性をコーチング!


相談者のプロフィール 田中 紀子さん(34歳)仮名
フリーの編集・ライター。今年離婚し、現在は3歳の息子と実の母と3人で暮らしている。
相談者の悩みごと 今年春、失業と離婚のダブルパンチに見舞われ、ほかにも細かなトラブルが続き、いろいろな意味で自信喪失。 仕事をフリーランスで続けるか、どこかに就職するかで悩んでいる。
本間 「この30〜40分で田中さんが手に入れたい、今日の目標って何かありますか?」
田中 「今日の目標……自信を取り戻すでしょうか。今年一年は本当にいろいろありました。前にいた会社をかなりひどい形で辞めさせられまして、そのショックがかなり大きかったです。しかもちょうどそのころ離婚するしないでグチャグチャしてまして。結局離婚は成立して、それはよかったと思っているんですが……」
本間 「あらまあ」
田中 「いままで編集やライターをやってきて……、以前はどちらかというと自信家というか、自分でできるんだと思って突っ走ってきたんですけど、この1年は、社会人としての自信とか、 職業人としての自信とか、離婚して家庭生活も失敗しちゃったなーとか……。仕事の場でもちょっとしたことでも、自信がなくなってしまって……」

いままでのことを考えるとできるはずなのに、できないんじゃないだろうか、と考えてしまう……。 それでイライラしたり、祖父のお葬式、妹の出産など、いいこと悪いことを含め、細かいことがたくさん重なって、落ち着かない状況が続いた、 という話が続く。

本間 「あのね、コーチングすれば、必ずしも自信を回復できるかは請け負えませーん」
田中 「あ、はい」
本間 「何ができるかというと、見方を変えるということ。例えばコップの中にお茶が「6割しか入ってない」と見るのか、「6割も入っている」と見るのか。いまはどっちかというと、“6割しか”入ってないというほうを見ているようにお見受けしたんですけど、どうかしら」
田中 「ああ……そうかもしれません」
本間 「がんばりやさんというのがすごく伝わってくるんですけど」
田中 「それがすごくがんばってないって思っちゃうんですけど……」
本間 「では、ちょっと事実確認したいんですけど……。お子さんはおいくつ?」

このあと、子どもの年齢や性別などを聞き、田中さんをリラックスさせる本間さん。
「3歳? うちと同じですね?」「やんちゃで大変だね?」などと話すうちに、だんだん田中さんにも笑いが見えるように。


本間 「見方を変えるとね、あの1年があったから、いまのわたしがあるのよねフッフッフ、という10年後がくるかも!」
田中 「10年後……来年のこともあまり考えていなかったので」
本間 「ここだけ見てると大変な一年じゃないですか。すると悲劇のヒロインになっちゃうんだけど、見方を変えると、これひょっとするとサクセスストーリーの序章かもしれないでしょう。いろんなことを清算する時期が集中的にあったんですね。日本経済もバブルの清算をしないからなかなか元気が出ない。どっかで清算を思い切ってすれば、そっから先はよくなるしかないんだもん」
田中 「ハードランディングしたってことでしょうか」
本間 「そうです! だからクリーンスタートが切れる」
田中 「ちょっと翼とか折れちゃったけど、また直せばいいってことでしょうか」
本間 「ううん。翼はまた生えてくるから。骨折しても、骨折した跡の骨の方が丈夫になるんですよ。本当に。」
田中 「でも、34歳でだいぶ遅いスタートで……」
本間 「ときどきね、そうやってまた消極的に考えちゃうときがあります。そんなときはどう考えたらいいと思います? “かわいいわたし!”って思うんですよ」
田中 「“かわいいわたし”ですか!?」
本間 「そう、またこんな見方してる。“かわいいわたし”!って。だって、第三者的に見るとね、まだ30代なのに“年を考えたら……”なんて言っている、お友達がいたら、なんだかちょっとかわいく見えない?」
田中 「そうかもしれません(笑)」
本間 「もうひとりの自分みたいなものからみて、“あ、かわいいわたし!”って。“いけない考えを持った”ではなくて“かわいいわたし”ですよ」

この後、「一番やりたい仕事は?」との本間さんの問いかけから、本格的なコーチングが開始!  やりたいことを迷っている--という田中さん。34歳という年齢が「収入と安定を考えると他の仕事にもチャレンジできるかな」と迷うが、 具体的に何がやりたいというものがあるというわけでもないという。

田中 「フリーでやっていくのか、編集などで会社に入っていくのか、または違う仕事をやろうか……迷いますね」
本間 「なるほどなあ。そこは今日はっきりさせるのにすごくいいテーマですね。就職を目指すのかフリーでやるのか……。就職を目指しても、縁がない場合もあるから、思ったとおりにならない可能性もあるね」
田中 「ええ」
本間 「例えば、就職するとしたら、どんな仕事に?」
田中 「いままでやってきたので、やはり編集などに。でも出版社に入るのがどうなんだろうかと。前の会社の失敗で、いま会社に入ることにすごく自信がないです。直球ばかり投げて、変化球が投げられないとよく言われます」
本間 「じゃあ今日は黒板があるので、メリットデメリット考えてみましょう。こっちがフリーランスでこっちが就職する、と」

フリーランスと会社員、それぞれの長所と短所を聞きながら、本間さんは次々にわかりやすく表にして書き出していく。時間の制約、人間関係、収入の安定度、通勤時間、など。 「フリーだと不安定だが、今の所は仕事が来ている」というような場合は、短所の枠に書きこみつつも、「butー」と注意書きを添える。

本間 「仕事場なんかはどうですか?」
田中 「それは……就職したほうがきちんと確保できますね。あとフリーだと備品とかも全部、自分持ちになります」
本間 「フリーだと自宅兼仕事場。あと備品とか。それから作業スペース、環境とかかな。こういう環境だと仕事がしやすいというのはあります? イスとか机とか……フリーの場合に」
田中 「理想的には、自宅と別で一部屋借りるとかで、自宅とは別にしたいです。現在は生活の場の中にあるので……。作業スペースとしての境界があいまいです」
本間 「なら、可能性として、模様替えとか、家具の配置の仕方で、今お住まいの物件の中でも、ここは仕事の場、ここは生活の場とアレンジしなおすことはできますか」
田中 「多少は……できます」
本間 「あと、就職の短所。これは就職活動しなくちゃなりませんが、かなり時間がかかりますけど、時間はあります?」
田中 「いまは……あまりないです」
本間 「就職の長所には、老後、保険とかもあるね。あとは何かあるかな?」
田中 「フリーは仕事が選べる。会社に入ると、やりたくないこともやらなきゃならないですね」
本間 「そうね。そりゃあありますよね。(びっしり書き込んだ表を示しながら)さて、メリットデメリット、どっちを取りますかねえ」
田中 「……やっぱりフリーランスかな。という気がしてきました」
本間 「僕ね、さっきお話聞いてて、なんかフリーが向いてるような気がしたの。さっきの直球の話とか。なんか変化球投げてコミュニケーションを婉曲にとらなきゃということに気を遣うよりは、わたしはこの仕事という、やりたいことをやっているほうが、直球勝負の人には向いている気がしたんですけどね」
田中 「ああ、直球がそういうところに、役に立つんですね」
本間 「これは僕が決めることじゃないんだけどね。やりたいことをバチッと決めると、その仕事は田中さんのところへやってきますよ。あとね、作業環境を変化させるというのは、すごくいい心理的効果があると思います。よく、失恋した人が髪切ったり、部屋の模様替えをするというじゃないですか。あれですよ」
田中 「ほとんどそういうことをやったことがなかったです。模様替えとか特に……。精神的にいいんですか」
本間 「空間が変わると、気持ちがずいぶん変わります。部屋ってホント数万円の投資でで、見栄えがコロッと変わります。布をこうかけてみたりとか……。そしてここに入ったら、もう仕事の空間というのを作っちゃう。会社の設備にはかなわないけど、逆にいうとBGMだのアロマだの、個人的な趣味の環境、そういう"わたしの仕事場"というのを作るのは、会社ではできないでしょう」

家の棚はいまどうなってる? などと現状のスペースに対する質問が続く。徐々に、田中さんの仕事スペースがあまり整理されていないことが判明した。 これを整理するといい、と本間さん。

田中 「整理が下手と言うか……」
本間 「あ、またそういう考えになった。“かわいいわたし!”。えっと、“かわいい紀子ちゃん”にしようか。そういうふうに、ちょろっと消極的な言葉を口ばしったときに、“かわいい紀子ちゃん”と自分で言うのがすごくいいですよ」
田中 「“かわいい紀子ちゃん”ですか(笑)」
本間 「そう。でね、今ある家具や棚なんかで部屋を仕切ったりすると、比較的仕事場の空間ができそう? それともこういう家具があったほうがやりやすい? というのはある?」
田中 「今、死んでる棚を生かして何かで仕切って……とすると、2畳くらいは何とかなるかも」
本間 「なるほど。では色! 何色好き? 今日は黒着てるけど」
田中 「……赤でしょうか。黄色とか」
本間 「どっか目に入るところに、好きな色が入るだけで、全然気分が変わりますよ。いま机の周りモノトーンじゃないですか?」
田中 「そのとおりです。それで少し乱雑で……」
本間 「少しカラフルにするのどうですか。人間は環境に影響されるから、書類入れるボックスを、ピンクや赤のボックスにするだけでも全然違いますよ。それだけで、仕事の活力が違ってくる。100円ショップなんかもありますから、ミニマムな投資でも結構いけます。いくらくらい予算をかけられる? 部屋の模様替えプロジェクトですよ!」
田中 「2〜3万ですかねえ」
本間 「じゃあ2万5000円で、部屋を思い切りカラフルにするプロジェクト! 集中できる空間を作るプロジェクトです」
田中 「そうか、布かけるだけでもいいんですね」
本間 「例えば仕事をしているときは、タンスの前に布かけるとか。いまかける布で、イメージわいたのあります?」
田中 「なんか水玉とか花柄とか、思い切ってポップなヤツを」
本間 「おー! 布かけて重し置いて、それだけで雰囲気大分変わりますよ。そして予算書と平面図と備品リストの3つを考えるんです」
田中 「そうやって具体的に考えていけば部屋もきれいになるんですね……」
本間 「予算2万5000円、間取りを書いた平面図、買う物品リスト、そして余ったらごほうびをあげるというのはどう? 「模様替えプロジェクト達成記念お祝いイベント」!そこに友達でビアパーティ! お祝いするっていうのは、すごく大事。これはフレッシュスタートというのを高らかに宣言することになるから」
田中 「そうか……やってみます。新しいスタートですもんね。いつもやると1日2日かかりそうな気がしてやらなかったんですが」
本間 「直球で、気合入れてやれば半日でできる! 目標6時間でやるとかにして、5時間で終わったらビール、とかね。タイムトライアルでやるのはいい方法です。何月何日にやるってばしっと決めて、その日にでもお祝いしちゃう。すると、夕方、友達が来るじゃない。やらないわけにいかないですよね。これもひとつの手ですよ」
田中 「はい、チャレンジしてみます。そうだ、“かわいい紀子ちゃん”も忘れずに!」
処方箋 ・ネガティブに考えてしまったときは“かわいい紀子ちゃん”と言う
・生活空間と境界があいまいだったモノトーンの仕事スペースを、整理してカラフルに。題して“模様替えプロジェクト”
・日にちや時間を決めて、気合でやる。できたらお祝いをしてフレッシュスタートを切る
感想 何をしてもつい、ネガティブに考えてしまいがちでしたが、“かわいい紀子ちゃん”は思いも寄らない言葉で、インパクトがありました。一日何回言うんだろう? 
模様替えは、いままでただただ面倒! と思っていたけど、イベントにして、ぱーっとやったら楽しいかもと、初めて思いました。
がんばります!
コーチからの一言 困難に直面した時に「このままじゃいけない、何とかしなければ」と思うのは当然の気持ち。
しかし気持ちを変えようと思えば思うほど、同じパターンにはまる場合があります。
そんな時には、何でも良いので、何か具体的行動を起こすことが大切です。
アクションをおこすと見方が変わり見方が変わると気持ちも変わるという風に好循環が生まれるのです。
紀子さんが、新しく明るくなった部屋で、直球勝負の仕事に打ち込む姿がイメージできるセッションでした。(本間正人)
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