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第3回 上司との関係に悩む女性をコーチ!


相談者のプロフィール 池田 恵子さん(25歳)
Webデザインの仕事を始めて1年目。主にHPのコーディングやメンテナンスの仕事をしている。
相談者の悩みごと 仕事にも限らず何ごとにも後ろ向きに考えてしまう傾向がある。いつも最悪の事態を考えてしまうので、「どうせ……」というのが口癖になっていて、会社の人からも、「もっと前向きに考えられるように変わっていった方がいい」と言われている。そういう性格のせいか、上司との関係もうまくいかず、仕事がやりづらい。
本間 「例えばどんなことを後ろ向きに考える?」
池田 「会社でのことが多いんですけど、最近は会社の直属の上司との折り合いがうまくいかなくて、向こうはどう思っているかは分からないのだけれども、『向こうもどうせ自分の事をよく思ってないから、いいや適当にやっちゃえ』みたいになってしまって」
本間 「例えば『どうせ好かれてねぇよ』という風に思う、上司との関係性の中で最低最悪の結果というのはどういうこと? 例えばクビになるとか」
池田 「そうですね……自分にとってクビになるのはそんなに最悪じゃないと。やっぱり(ホームページの仕事をやっているんで)仕事がちゃんとできない、お客さんに迷惑をかける、ということですかね」
本間 「そうなっちゃったことってあんまりないんでしょ?」
池田 「そうですねぇ、結局最後はみんなの助けをかりてなんとかやっているんで。ただ、気分的に一緒に仕事をするのがいやだな〜、っていっつも思っちゃってるから……」
本間 「誰と?」
池田 「上司と。その上司は仕事できるし、結構周りの事も考えてくれてるんですけど、気分屋なんですよ」
本間 「なるほどぉ」
池田 「だから、いいときもあれば悪いときもある」
本間 「んで、気分の悪いときに当るとどんな風になっちゃうわけ?」
池田 「怒りだす……」
本間 「へっへっへっへっへ(苦笑) ちょっとまねしてまねして」
池田 「『あんた、なんでこんなことしたのよ!!』」
本間 「それで、そういうこと言われたときにはどんな風に答えるんですか?」
池田 「最初は『どうしてそんなことをしたのか』って聞かれると『自分はこれこれこう考えてこうしました』って言ってたんですけどぉ、(上司が)聞いてくることが結構核心をついてズバズバ言ってくるんで、自分としては言い返す気力もなくなっちゃって、『はい、分かりました、分かりました』って言ってるだけですね」
本間 「バッド・コーチングの典型みたいなやつですね。(笑)『お前どうしてそんなことしたのか?』っていうときには、だいたい言いたいメッセージとしては『あなたはこうすべきではなかった』、『ホントはもうちょっとこういう風にやってほしかったのよね』っていうのが多いんだよね」

池田さんと同じようにその上司が苦手な人もいるという話になる。しかし、他の人はその上司とずっと一緒にいなくても仕事ができるのに対して、 池田さんは絶対その上司とくっついていないと仕事ができない立場にいるということが大きな悩みになっているという。

本間 「例えば、その人と関係がよくなることが仮にあるとしたら、どんな関係かなぁ?」
池田 「今はお互いに気を遣いあっていいたいことをうまく伝えられない状況にあるから、もっと仕事をする上での信頼関係のようなものを築いてゆければ、と思います」

池田さんによると上司との関係は常に悪いというわけではなく、忙しくなっているときや締切りが近付いているときなどに悪化する傾向にあるという。普段は良くも悪くもない、取り立てて問題のない関係になっている。上司というのはそんなに急に変わらないものなので、それを受け取る側がコミュニケーションを取りながら両者の関係を変化させていくにはどうしたらよいのか、という話になっていく。

本間 「例えば、急ぎのときに、あなたがどういうことに困ったと感じているのかちょっと教えてくれますか?」
池田 「なにかすぐにやらなきゃいけないときに、その人のところへ仕事を持っていくと『ここも間違っている、ここを直しなさい』というようにドンドンドンドン言ってくることがあるんです」
本間 「なぁるほどなぁ……ホントはどうしてほしいわけ、そしたら?」
池田 「私が一言『私、今、これやっているんで、待ってください』って言えればいいんですけど。もしかしたら、後から(上司から)指摘されたことの方が優先順位が高いかもしれないと思っちゃって、何でも『はいはい分かりました』って答えちゃって……」
本間 「そしたら、例えば、『後から御指摘になった方が優先順位が高かったかもしれませんが、今、このことをやっていた方が能率は上がると思うんです。御指摘頂くのはこの時間帯に集中してくれませんか? 例えば朝いちとか仕事を始める前とか』そういう風に時間を指定することってできます?」

時間帯を指定して上司に仕事の要請をしてもらうという提案は、池田さんと上司との普段のコミュニケーションがうまくとれていないため難しいという。 他の人たちの中には上司とうまくやっている人もいるが、池田さんは上司を怖がってなかなかコミュニケーションが取れない状況にあるという。

本間 「ところであなたが一番いきいきしているときって、どんなときかなぁ?」
池田 「仕事では、なにか案を考えているとき。自分が自信をもってやっているときはいいんだけど、自信がないとき、忙しくてやっつけ仕事になっているときにはなにか指摘されると、ダメ……」
本間 「なるほどなぁ。まぁ、あらゆる仕事に会心の出来ができるとはなかなかならないよなぁ。その打率が高いにはいいことはいいけどねぇ。だから、全体をみて考えてみると、うまくいかなかったことだけを考えると暗い気分になる。そういうときには『あっ、ここもうまくいってたな、そこもうまくいってたな、あれもうまくいってたぞ』というのを考えてみる。『自分の才能に酔う』という言葉についてどう思う? いいこと、いけないこと?」
池田 「どちらかというとあつかましい……」
本間 「……あのね、自分の才能に酔うことはとてもいいことだから。それはいけないことでもあつかましいことでもないし、自分の才能に酔ったような仕事をしたときにいいものができるし、それが新しい自信に繋がっていくから」
池田 「自分がこの分野は得意だというのはあるんですよ」
本間 「何が得意なの?」
池田 「ホームページで、アニメーションをつくる仕事があるんですよ。それが好きだったんですけど、最近はまわってこない」
本間 「上司はあなたがアニメーションの仕事をやりたいってことは知っているかな」
池田 「知っているとは思うんですけど、わたしはまだかけ出しなので、いろんな仕事させてと思っているのかも」
本間 「デザイナーの世界やアーティストの世界は駆け出しもへったくれもありません。会社全体としてはアニメの仕事は来るの?」
池田 「アニメといってもほんのちょっとですけど、来てもわたしは自分の仕事で精一杯だから他の人にまわされちゃって」
本間 「そういうとき、独り言をいうのはどう?『アニメの仕事やりたいなぁ』とか『このアニメかわいいなぁ』とか。そうやって上司の潜在意識に刷り込むように『なんかこの人はアニメ、アニメって呟いてるなぁ』って意識させるの。これはやれそうな感じ、それともそれもちょっと厳しそう?」
池田 「やってみてもいいかなと思うんですけど、うまくいくかは分からない」
本間 「とりあえずやってみようよ。……ところで上司は何が好き?」
池田 「一緒に食事に行くのは好きみたいですけど。食べ物の土産を買ってきたりすると機嫌がいい。職場にいる人はそんなにテンション高くないんですけど、その人だけテンション高め」
本間 「それじゃ、ちょっと浮いててちょっと寂しい思いしてるかな」
池田 「たぶん」
本間 「その上司の人は一人ひとりが熱心に仕事をしている中で寂しい思いをしているんじゃないかと思う。だから仕事中はあなたは仕事のことに集中してていいと思う。ただ、食べ物に弱い人であれば旅行に行くときにその人の好きそうなものを買ってくる。お土産とかは買ってきたことある?」
池田 「はい」
本間 「その時上司はどんな顔する?」
池田 「まぁ機嫌はよさそう」
本間 「あのね、食べ物につられる人に悪い人はいないから(笑)。そんなに高くなくてその人が喜びそうなものを数百円の予算でいいから」
池田 「そうなんですか?」
本間 「だから、仕事以外の時に月に一回くらい、『これ』なんていって渡す。機嫌を取るというといじましい感じがするけれども、関係を良くするために」
本間 「とりあえず話を整理すると、
1、 ミーティング時間の設定というのをあらかじめすること。これは様子を見ながら声をかけやすいときにやってみる。
2、 『このアニメ、かわいい』と呟くのを続けてみる。
3、 『こんなの買ってきたんですけど』と食べ物で関係の改善を図る。
3つ並べてみたけど、僕の提案はおそらくこういうことなんだな。人とコミュニケーションを取ることは多少は面倒臭さが伴う。ただその中で一番面倒臭くない方法と面倒臭くないタイミングでコミュニケーションの量を増やしておいた方が、自分の仕事に打ち込めないよりはいいんじゃないかな」
処方箋 ・上司からの指示を聞く時間をまとめてもらうように促す。
・自分のやりたい仕事がまわってくるようにそれとなく伝えていく。
・上司の好きなことを負担にならない程度に率先してやってみる。関係改善のための多少の経費は出し惜しまない。
感想 「〜しなければならい」という脅迫観念が、「〜してみてもいいかな」と、少し前向きになれました。先生に「あなたのキャラはそれでいい」と言っていただいたのが自信になった気がします。
コーチからの一言 自分の中の輝きは、自分の目ではなかなか見ることができません。コーチは、クライアントの鏡。 だから、クライアントの持っている光やエネルギーを見つけると、それを伝えます。 上司を思い通りにコントロールすることはできませんが、毎日の仕事や暮らしの中で自分らしさを発揮することは、どんな環境でも可能です。 そんな方法を、池田さんと一緒に考えることができた1時間でした。

(お知らせ)
本間さんが、2002年4月からNHK教育テレビの「英語ビジネスワールド」講師として登場します。 9月までの全体テーマは「これならできる、今からできるビジネス英語」で、毎月、「約束する」「主張する」など、 具体的で即、役に立つビジネス・フレーズ満載です。さらに「学習法のツボ」など新コーナーもめじろ押し。 また、英語はあまり得意でないと言うアシスタントの堤あきこさんの英語力の上達ぶりも注目してください。
放送時間は、毎週水曜日、朝7:10〜7:30で、再放送は、水曜日お昼の12:30〜12:50と、木曜深夜(金曜早朝)の 24:00〜24:20とのことです。
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