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ロゼッタストーン日記

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第21部 「鶴の里からの恩返し」


女編集長起業奮戦記
ロゼッタストーン日記
ついに書籍化!
「ロゼッタストーン日記」第1部(ロゼッタストーンは本当に創刊できるのか)が、
『女編集長起業奮戦記』という本になりました!
>>詳しくはこちら

いつもご愛読ありがとうございます。

今年はロゼッタストーン創立20周年の年。山口県の鶴の里、八代(やしろ)から初めて書籍を発行します。

昨年「世の中を逆に見る」をテーマにしたら、突然地元に帰ることになり、本当に視点が変わって地方から全国を眺める立場になりました。今年は「恩返し」をテーマにしたので、お世話になった方々への恩返しの始まりの年になるとよいな…と願っております。

本年も波瀾万丈のロゼッタストーン日記をどうぞよろしくお願いいたします。

ロゼッタストーン 弘中百合子


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◆「萌えサミット」と「山の中のクラフト展」…10月15日日記
こちらに戻ってきて初めて知ったのだが、周南市には他県からも来てくれるようなイベントがいくつかある。

今月13日には、周南市の徳山駅周辺で、「萌えサミット」が開催された。これは、アニメ、マンガ、ゲーム、コスプレなどの「萌え」が集まる集い。徳山が一日だけ東京の秋葉原のような街になるのである。

いったいどんな感じなのか、ちらっと見学に行ってみた。マニアが集合する濃いつどいには入ってみる勇気が出なかったが、駅や商店街を歩いてみたり、駅構内で開催されていた作家の室積光氏のトークショーを聴いたり、少しだけ萌え気分を味わった。

アニメのコスプレをした若者があちらこちらにたむろしている光景は新鮮だ。日頃、人通りの少ない商店街にも活気が出ている。どのぐらいが地元の人で、どのぐらいが他県から来た人かわからないけれど、イベントの力はすごいなあ。

13日、14日と、八代から車で10分くらいのところで「山の中のクラフト展」というのも開催されていた。こちらにもちらりと顔を出してみたが、色とりどりのテントの下に、ガラス製品や、食器、革製品、アクセサリーなど、さまざまな手作り品のショップが並んでいる。山口県内だけでなく、福岡や広島からの出店もある。緑に囲まれた広々した場所なので、歩くだけでも気持ちがいい。食べ物や飲み物などのお店も出ている。まさか、八代からこんなに近いところで、こんな大がかりなイベントが開催されていたとは! 

どちらのイベントも、最初に「やろう!」と思いついた一人の人物がいたはずだ。そのアイデアを形にし、多くの人を巻き込みながら、大イベントに育てた実行力に感心する。


◆あなたも出版プロデューサー…10月5日日記
10月から「あなたも出版プロデューサー」という企画を開始した。
http://www.rosetta.jp/topimg_new3/producer.pdf

「この著者なら同じ本を2冊でも買いたい」と思うくらいの熱狂的なファンが500人はいる、という本の企画を募集するのだ。賛同者が500人集まれば(あるいは合計1000冊の購読予約が入れば)、ロゼッタストーンが著者と交渉し、本を出版する。無事企画が実現したら、印税として2%(定価×発行部数×0.02)を企画提案者に支払う。(1500円の本なら1000部で3万円。もし、何度か増刷されて1万部発行したら30万円)

いまの時代、情報の収集力も発信力も、マスコミと一般の人々の差がなくなりつつある。ある特定の分野に関しては、マスコミ人はとても「その世界が大好きな方々」にはかなわない。

この企画は、一般の販売ルートにのせるほど著名ではないけれど、500人くらいは確実にファンがいる著者の本の発売を実現させようというもの。価値観が多様化した今、ニッチな市場にも書籍化の可能性を広げることをめざしている。

書籍の世界は、出版社の企画による出版か自費出版がほとんどだが、一般人でも気軽に本の企画を立て、出版流通を可能にする仕組みをつくれば、不況が続く出版業界も、少しは活性化するのではないだろうか。草の根出版が広がれば、もしかすると、その中から思わぬ大ヒットが生まれるかも……??

山口(長州)といえば、吉田松陰が草莽崛起(そうもうくっき)論で在野の人々の決起をうながし、高杉晋作が武士以外の人々も起用して奇兵隊をつくったお国柄。これぞ、出版界の草莽崛起じゃー(←おおげさ)。

ロゼッタストーンには時々、出版の相談もあるのだが、資金力のない小さな出版社ではリスクを負うのが難しく、期待に応えられないことがほとんどだった。でも、インターネット上で購読予約者を募るのなら、どんな人にもチャンスを与えてあげられる。著者自薦も受け付けるので、本を出したい方は、ぜひチャレンジしてみてくださいませ。(著者の原稿料は50万円。増刷時からは印税8%を予定)


◆美味しい「くまげ」♪…9月25日日記
昨日、熊毛地域での経済的な人的交流や特産品づくりなどをめざす「くまげ地域経済活性化実行委員会」というのに参加した。参加者は、 熊毛地域の農家や、農産物加工所の方、地元レストランの店主、地元高校の校長、中小企業診断士、地域の銀行支店長、日頃から地域活性化のために活動している方々など。

そこで出たお弁当とスイーツが、めちゃくちゃ美味しかった。「タベルナタベタ?」という地元のレストランが作った、地元の食材を使った創作料理なのだが、東京のデパ地下で売っている高級弁当よりも美味しいんじゃないかしら。いちじくのチーズケーキがまた絶品だった。こんなに美味しいチーズケーキは、滅多に食べられない。外食歴が長く、食いしん坊の私が言うんだから間違いない。

先月は、野菜ソムリエの西川満希子さん、吉田聡さんが開催した「ヤサイコト画」という展示会を見に行った。会場は熊毛の三丘温泉にある割烹旅館「三水園」で、希望者は野菜の会席料理をいただくことができた。こちらもシンプルに見えてかなり凝った創作料理で、とても美味しかった。

熊毛にはレストランというものが数えるほどしかないのだけど、存在するレストランのレベルが非常に高い。「四季音」というレストランも雰囲気がよくて美味しかったし、「ピッツェリア ヴェントゥーノ」というピザのお店は人気があって、私が行った日は満席で入れなかった。

昨日の参加者の一人が「熊毛の人は美味しいものを食べ慣れているから、美味しいことに気づかない」と言っていたけれど、 熊毛の食の偏差値はかなり高いと思うな。 摘みたての野菜や獲れたての魚を食べるのが普通だしね(だから太ってしまうのだが)。


◆秋はなにかと忙しい…9月15日日記
まだまだ暑い日が続いているが、畑ではトマトなどの夏野菜が終わり(ナスはまだ残っているが)、冬野菜を植える時期である。我が家の畑でも今月に入って種や苗を植えた大根、白菜、ほうれん草、カブ、春菊、ブロッコリーなどが順調に育っている。

あれからムカデは姿を見せず、時々部屋に遊びに来るのはコオロギだ。コオロギは襲ってこないので、見つけたらティッシュでつまんで外に出してやっている。野菜の苗を食べてしまいそうだから、本当は駆除しなくちゃいけないのかもしれないけど。

今日は採れたての新米が届いた。八代には梨・ぶどうをつくる農園が一軒あり、いまが最盛期だ。今年はサンマは不漁らしいけど、イワシは安くて美味しい。味覚の秋。うーむ。これ以上太らないように気をつけねば。

これまでは賃貸のアパートやマンションに住んでいたので「庭」というものに縁がなかったが、大した庭でなくても庭木があると「剪定」という作業が必要になる。今まで母親が自己流にやってきた作業を、最近私も時々手伝っている。

私がやるのは「剪定」というより「木の散髪」で、明らかに伸びすぎているような枝をカットするだけ。どの枝を残すとか、難しいことは全然わからない。ツツジや生け垣などは、大きなギザギザの刃が電動で動く剪定機を使って頭を平らにしていく。この剪定機は素人でも簡単に見た目が揃うので面白がってやっていたら、うっかり刃で電気のコードを切ってしまった(しかも2回目)。ああ……。私ってば作業をするたびに、何かを壊している気がするなあ。


◆ムカデとの対決again…9月5日日記
今年の春駆除業者に来てもらって以来、部屋の中でムカデの姿を見ない平穏な日々が続いていた。ただ、業者の人は「薬の効き目は3ヶ月」と言っていたので、若干の不安を感じていたところ……でたーっ!!

3日前の夜、寝ていると背中にチクリとした痛みを感じた。上手な看護師さんが打ってくれる注射くらいの痛みで大したことはなかったのだが、もしや…と布団をめくってみると、長さ3cmくらいのムカデの赤ちゃんが布団の上を歩いていた! すぐに駆除したが、赤ちゃんがいるってことは、親もいるっていうこと。このままじゃ安心して寝られないではないか。だけど、駆除業者に頼むと料金が高いし、11月になればムカデは冬眠するわけだし、あと2ヶ月の辛抱なのよね……。

よし、今回は自力でなんとかしようと、床下に「アース 虫コロリ霧タイプ」(くん煙剤)を入れてみることにした。翌日、ちょうど姉が親の様子を見にきたので、ムカデ退治に引っ張りこんだ。

駆除業者さんは、畳を1枚はがし、そこから床下に入って家全体に薬剤をまいてくれたのだが、今回は、とりあえずムカデがよく出没する私の寝室の下だけにくん煙剤を置くことにした。(なぜか母の部屋にはムカデが出ないのだ。母は、私が太っていておいしいのだろうと言っている。霜降りか!)

このくん煙剤は、足で踏むと一気に霧状の薬剤が広がっていくしくみ。畳をめくると、シートが張ってあり、シートをめくると、板が並んでいる。板を1枚めくって、床下にくん煙剤を置き、ペダルを押し、すぐに板をかぶせ、シートで覆い、その上に畳を置く。薬剤が部屋に充満しては肝心の床下に広がらないので、スピードが重要である。

姉が床下に置いたくん煙剤のペダルを長い棒で押した。たちまち白い霧が噴出する。「わーーっ」と騒ぎながら、2人で板をかぶせ、シートを敷き、畳を元に戻す。シートは多少よじれてしまったが、細かいことを言ってはいられない。女二人の共同作業、まあまあ短時間でできたんじゃないかな。

次の日の朝、私の寝室の横の廊下で、ムカデの赤ちゃんが1匹死んでいるのを発見。その後はムカデの姿を見ていない。ムカデは無事駆除できたのだろうか。

ただ、このくん煙剤の侵入防止効果は1か月とのこと。あと1回は、同じ作業が必要かなあ…。


◆ロゼッタストーン創立20周年!…8月28日日記
8月20日、ロゼッタストーンは創立20周年を迎えた。リニューアルした「ロゼッタストーンWEB」には、ロゼッタストーンとナベヅルを組み合わせた新しいロゴが掲載されている。「ロゼッタストーン」は、2000年以上も前に古代エジプトで刻まれた石碑。「鶴は千年亀は万年」と言われるぐらい、鶴は長寿の象徴。これからも、ながーく読まれる本を作っていきたいと思っている。

ちなみに、ロゴを作ってくださったのは、地元のデザイナーで岩亀さんという女性。鶴と亀だし、ストーンと岩だし、会うべくして会った最強の組合せなのである。

WEBリニューアルで、「5日、15日、25日更新」という縛りがなくなったので、日記はこれから不定期更新になる。なるべくこれまで通り更新したいと思っていたのだが、さっそく更新がずれてしまった。人間ってやっぱり弱いわね…(というより、私がだらしないのだが)。→ということで、また5日、15日、25日更新に戻すことにしました。

8月25日に東京大塚の中華料理店「同心居」で「ロゼッタストーン20周年記念食事会」を開催した。ロゼッタストーン関係者だけでなく、昔勤めていた会社の同僚や高校の同級生、太極拳仲間なども参加してくれた。「同心居」は、私の太極拳の先生(中国出身)のお勧めの店。美味しくてボリュームたっぷりだと好評だった。

ここで、『大腸がん』の本を監修してくださった都立駒込病院の高橋先生と私の太極拳仲間がなぜか意気投合。高橋先生が、近々太極拳教室に見学に行かれることになったという。人間の出会いって、どこで何があるかわからないのが面白いなあ。

「これからは地方の時代だから、地方で頑張れ」とたくさんの人に励ましてもらった。地方ならではのメリットを最大限に生かし、今後は地元に根差した出版社として歩んでいくつもりだ。

秋には、参加者のなかから希望者を募って、「山口ツアー」を開催することも決定した。 ナベヅルが毎年八代を訪れてくれるように、たくさんの「渡り鳥人間」を呼び寄せることは私の今後の目標の一つ。「ながーく続くロングセラー」と「渡り鳥人間の渡来地」を目標に、30周年に向けて頑張ろう!


◆「肩をすくめるアトラス」…8月15日日記
知人に教えてもらって『肩をすくめるアトラス』(アイン・ランド著・アトランティス発行)という本を読んでいる。文庫本で3冊。1冊が550ページから750ページぐらいある大作である。いま3冊目(第三部)の途中まで読んだところ。真偽は不明だが、帯に「アメリカで聖書の次に読まれていると言われているアイン・ランド」と書いてあるだけあって、いかにもアメリカ的な本である。

この本では、頭がよく才能も勇気も決断力もお金を稼ぐ能力もあり、自分の行動に責任を持つタイプの少数派と、才能がなくろくに働きもしないのに分け前だけを望むような人々との闘いが描かれている。才能がなくても権力を持つ人たちは、コネクションによって法律をつくり、「公共のために」「弱者のために」「公正のために」と、仕事ができる人たちの取引や生産量を制限し、実力では勝てない自分たちの組織へと利益を誘導する。

物語として読む分には非常に面白く、容姿端麗で才能もあるヒロインや有能な人々に肩入れしたくなる。「公共のために」と言いながら、一部の人が私腹を肥やすのは人間社会ではよくある話だ。実際に、「正義」の名のもとに、金持ちや知識人を攻撃したり吊し上げた革命もある。自分よりも恵まれた者を妬む気持ちが、時として暴走することは事実だろう。

物語は「他者のために」という欺瞞を暴き、「自分のために」働くことの正当性を説く。理不尽な仕打ちに立ち向かうヒロインを応援していると、「才能のある一部の人だけが富を独占するのは不公平だ」とか「人の役に立つ仕事を」と思っている自分の価値観が揺さぶられる。

でもね…、と、ふと現実に戻って考える。才能がなくても真面目に働く人がちゃんと報われることは必要だし、困っている人には手をさしのべるべきだと思う。物語に出て来る有能な人たちと同じ価値観に立つのには抵抗がある。私はやっぱり「和をもって貴しとなす」DNAが沁みこんだ日本人なのかな(ヒロインのように容姿端麗で飛びぬけた才能があるわけではないから、同じ土俵に立ちようがないんだけど)。

先日の哲学カフェのテーマは「自由と平等」だったが、この本は「自由と平等」を考えるのにぴったりだ。

いまの時点で、ヒロインの心はまだ、理想の資本主義の世界と欠点だらけの現実の世界の間で揺れ動いている。どんな結末を迎えるのか、さて、先を読まなくちゃ。


◆小川仁志先生の「哲学カフェ」は大盛況でした!…8月5日日記
8月3日、ロゼッタストーンと同じ旧熊毛町地区にある「三丘文庫」で、小川仁志先生を招いて「哲学カフェ」を開催した。「三丘文庫」は、元周南市の中央図書館長、徳永豊さんが開設されたフリースペース。壁にたくさんの本が並んでいる知的な雰囲気が、「哲学カフェ」にはぴったりの場所だった。

参加者の募集を開始した当初はあまり反応がなく、定員30名が集まるかどうか不安だったが、最終的には43名の方が来場してくださり大盛況だった。広島からも3名の参加者があった。三丘文庫は熊毛インターチェンジから近いので、高速道路を使うと、広島から1時間程度で来られるようだ。

広島からの参加者の一人は、私の大学時代の友人。人が集まりそうにないからと一人で駆けつけてくれた。その彼女が「街から離れた場所で、けっこう年配の方も多いのに、人が集まって哲学的な議論がされているのに驚いた」という。

今回のテーマは、弊社発行の小川先生の著書『自由の国平等の国』にちなんで「自由と平等」。「自由とは何か」「平等とは何か」「究極の選択でどちらかを選ぶならどちらを選ぶか」など、日常の会話では出てこない抽象的な話題なのに、次々と発言が相次いだ。アンケートの回収率も約84%と高く、熱心な回答が寄せられていた。人間にとって、考えることは、実は楽しいことなのだと思う。

小川先生が途中『自由の国平等の国』についてたびたび言及し、終了後サインにも応じてくださったので、本もよく売れた。ありがたやありがたや。

ただ、主催者としてのロゼッタストーン(つまり私だが)は、相変わらずバタバタだった。当日になって釣り銭を用意するために、コンビニをまわって1万円札を崩したり、自動販売機で小銭をつくったり…(土曜日なので金融機関が休みなのだ)。受付に挨拶に参加者への飲み物サービスに先生への対応に本の販売…、私一人で大丈夫かしらと不安だったが、こういう頼りない人間の周りでは、それをフォローするように仕事のできる人たちがきびきび動いてくれるのだ。

開始45分前に現地に到着したときには、すでに放送局時代の先輩、池内博子さんが自発的に受付を始めてくれていた。駐車場の整理や飲み物サービス、音響関係は三丘文庫の関係者が対応してくださった。司会進行やサイン会は小川先生自ら仕切ってくださった。というわけで、「哲学カフェ」は周りの人に助けられ、滞りなくスムーズに終わったのである。

ところが私ときたら、小川先生のテレビ番組や新刊の紹介もしなかったし、次回のイベント(池内博子さんに中原中也の朗読会をやってもらおうと思っている。日程は未定)のPRをするのも忘れていたし、まったく何をやっているんだか…。

博子さんは私を見た瞬間、「どうしてそんなに太ったの!」と絶叫していた。課題の多い夏である。とほほ。


◆反社会的な精神障害者による犯罪について…7月25日日記
「京都アニメーション放火」は、なんともやりきれない事件だった。普通に仕事をしていて、突然職場にガソリンをまかれて火をつけられるなんて、誰が予想できるだろう。若い人たちがたくさん犠牲になったことが気の毒でならない。

NHKのニュースで、「犯人は生活保護を受けていて精神的な疾患がある」と報道されていた。過去にコンビニ強盗の前科があり、近隣トラブルもあったようだ。

それを聞いて、私は過去に裁判で争った「書籍料金未払い常習犯」のことを思いだした。後払いの形を取っている出版社を狙い、料金を払わずに書籍を取り寄せ転売を繰り返していたのだ。弊社だけでなく、調べただけでも十社以上の被害が確認できたので、「このままのさばらせてはいけない」と、他社の協力を得ながら、民事裁判で彼を訴えた。

いろいろ調べるうちに、彼は生活保護で暮らしており、市役所でも「生活保護費を早く寄越せ」などとしばしば大声で騒ぎ立て、担当者たちを悩ませている厄介な人物だとわかった。民事裁判はもちろん弊社が勝ったが、お金が支払われることはなかった。相手の弁護士から「彼は統合失調症で、これから治療をしますので…」というような連絡があり、それ以上の打つ手はなかった(それ以降、同一人物の未払いの話は聞いていないので、裁判をした効果が多少はあったのだろうけど)。計画的な行動ができる反社会的な精神障害者への対処方法は、本当に難しいと感じたものだ。

精神障害者の犯罪率は健常者よりも低く、反社会的な行動を取る人はごく一部だ。さらに、同じ患者でも、調子がよいときもあれば悪いときもある。「精神障害者」とひとくくりにして非難することは絶対避けなければいけないが、「精神障害者」というだけで問題行動を見て見ぬふりをすることもよくないと思う。

弊社は13年前、精神障害者による通り魔事件で死亡した矢野真木人さんの事件をご両親がつづった『凶刃』という本を出版したことがある。出版のきっかけは、「このままでは息子が殺された状況が何も明らかにされないまま、犯人が不起訴になってしまう」というご両親、矢野夫妻の悲痛な訴えだった。犯人は精神科に入院中で、一時外出中に真木人さんを襲ったのだ。

ご両親が世間に懸命に訴えた効果があったのか、犯人は起訴され、懲役25年の刑が確定した。その後、矢野夫妻は、猛勉強し調査を重ね、犯人が入院していた病院のずさんな治療や管理体制こそが問題だったのではないかと、今度は病院を民事裁判で訴えた。長い長い闘いの始まりである。

矢野夫妻の闘いの経過は、ロゼッタストーンweb「『凶刃』のその後、裁判レポート」に逐一報告されている。

結果は、一審二審とも敗訴、最高裁は上告を棄却した。高裁の判決文は、加害者の母親と被害者の母親を間違えるなどお粗末なもので、矢野夫妻の身を削るような闘いと、裁判所のいい加減さが対照的だった。

長年の心労がたたって、ご主人の啓司さんは、2016年2月脳出血で倒れ、同年10月永眠された。今回、奥様の千恵さんが「最終報告」を書いてくれている。
http://www.rosetta.jp/kyojin/report97.html

“何の落ち度も無く路上で28歳の若さで命を奪われた真木人に、「おまえは礎にすらなれなかった。ごめんね」と報告するしかありませんでした”という千恵さんの言葉が哀しい。ずっとご夫妻の闘いを見てきた私だが、結局何の力にもなれなかった。

「京都アニメーション放火」の容疑者は、何の病気でどんな治療を受けていたのだろう。「精神障害者に対する差別・偏見を助長しかねない」という懸念からか、そこに踏み込む報道はほとんど見られない。精神障害者を危険視することも、病院に責任を問うことも慎重であるべきだと思うけど、凶悪な犯罪を犯した精神障害者の治療については、情報共有してよりよい治療方法を見つけていけるといいのに……と心から思う。


◆「周ニャン市」構想はなぜ頓挫したのか?…7月15日日記
最近テレビの全国放送で周南市の野犬がよく取り上げられている。「緑地公園」という広い公園に、野犬が群れをつくって暮らしているというのだ。

日刊新周南によれば、周南市の昨年度の犬の捕獲頭数は1032頭だとか!住民が犬にかまれる被害も時々発生しているらしい。そんなこと聞いたら、公園を散歩なんて怖くてできないじゃないの!

捕獲した犬のうち894匹は里親が見つかったというから、市の担当者も捕まえたり、引き取り手を探したり、頑張ってくれている。それでも、犬の繁殖に市の対策が追いつかないようだ。公園で犬に餌をやる人がいるのも、野犬が増える原因になっている。犬に罪はないから餌をあげたくなる気持ちもわかるけど、野犬を野放しにしておくのは、やっぱり危ないと思う。

周南市は前市長のとき「ネコのように自由にのびのびと、みんなが居心地よく暮らせるまち」をめざす「周ニャン市」構想をかかげて、オリジナルグッズをつくるなど、市の知名度アップをめざしていた。ふるさと納税が増えるなど、それなりのPR効果はあげていたようだが、先日の市長選で「周ニャン市反対」を前面に打ち出した現市長が当選し、周ニャン市構想はこのまま消えて行きそうである。

ネコ好きの知人によれば、「周南市って猫の殺処分数がけっこう多いんですよね。だから『周ニャン市』って言われても、けっこう冷めた目で見ていました。殺処分ゼロをめざして保護センターをつくるとかいう構想だったら、寄付してでも応援したいぐらいですけど」とのこと。名前だけで実態がなければ、共感を呼ばないのかもしれないな。

捕獲=殺処分というイメージがあるから、動物好きの人は餌をやってしまうけど、捕獲されたほうが犬が幸せになれるということを実証できれば、みんな捕獲に協力してくれるのではないかしら。

周南市はよくも悪くも猫と犬で注目されたわけだから、いっそ「殺処分ゼロ宣言」をして、緑地公園の一角に「わんにゃんセンター」をつくり、全国の犬猫好きが遊びに来れるような町をめざしたらどうだろう。

あちこちから捨て犬、捨て猫が集まって大変なことになってしまうかなあ……。


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