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         女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』 第91号

  ***   ***      みなさま、お盆休みはいかがお過ごしですか?
 *****v*****   梅雨が明けたといっても、なぜか雨が多い今年の夏。
  *********     なんだか、このまま秋に突入してしまいそうですね。
   *******    今号は4人のヴィーナス議員から原稿が届きました。
    ***   「100号イベントの告知」もありますので、長いけれど
      *      どうぞ最後まで読んでくださいね!

◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  目次
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆
■  「妊娠して感じること」
      有村治子(参議院議員・自民党・比例)

■  「第156通常国会をふりかえって」
      山口わか子(衆議院議員・社民党・北陸信越)

■  「核兵器のない戦争のない平和な地球を」
      井上美代(参議院議員・共産党・東京)

■  「少子化社会対策基本法案の質疑をふりかえって」
      岡崎トミ子(参議院議員・民主党・宮城)

■  編集後記(100号イベントのお知らせ)

■  「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧

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  ●大特集「ケンカ」
  フジ子・ヘミングさん、蓮池透さん、猪瀬直樹さんらに、それぞれの
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  近藤昭一議員による「未来総理」対談も!

  詳しくはWebページをご覧ください。http://www.rosetta.jp/

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■◇■==============================================================
 「妊娠して感じること」
                      有村治子(参議院議員・自民党・比例)
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 今日は、「ヴィーナスはぁと」を通して、私・有村治子の寄稿を読んで下
さっている皆様に、少しばかり改まってのご報告です。実はこの春、自分が
妊娠していることを知り、10月末に第一子の出産を予定しています。

 今回、妊娠が判ったと同時に、「流産しやすい体だ」と言うことも産婦人
科の先生から指摘され、妊娠初期・中期を通して、「いつか流産してしまう
のでは・・・」と冷や冷やしながら、日々の活動を続けてきました。幸い、
安定期に入り、おなかのふくらみも目を見張るようになったので、やっと少
し肩の力を抜いて、現状を皆さまにご報告できるようになりました。

 つわりで朝晩夜中に吐いてしまう時期が、3・4・5月だったので、国会内
外での仕事や春の統一地方選挙の応援は、ビニール袋を片手に潜ませながら、
全国に行っていました。妊娠初期につわりが最もひどいということを思い知
らされる一方、混んだ電車に乗りながら「途中で、もし吐いちゃったらどう
しよう・・・」という思いでつり革をつかんで出勤する「働く妊婦の通勤時
の不安」も、文字通り「体験学習」する中で、働く女性をとりまく妊娠・出
産・子育て環境などについて、改めて深く考えさせられています。以前から
全国の皆さまより、同様のテーマについて多くのご意見をいただいてきまし
たが、現在進行中の実体験を通して、ご指摘に心から共感する社会問題もあ
ります。

《妊娠したとたん、お腹は、パブリックなものに…!?》

 通常、お腹というものは、男女ともに、プライベートな体の部位です。普
段の社会生活を営んでいる限りは、初対面の人との会話に、取り立てて出す
べき話のネタでもありません。しかし妊娠が分かったとたん、そんな「プラ
イベート」なはずのお腹が、急に「極めてパブリック」なものに、されてし
まうのです。今まで面識がなかった男性が、「オメデタですかぁ〜」とか言
いながら、すかさず次の瞬間、私のお腹に手を回して上下にさわろうとして
くる経験など、1度や2度ではありません。

 もちろん純粋に妊娠に興味を示して下さる方も多くいらっしゃるのですが、
妊娠を良いことに、どう見てもハラスメントを働いているとしか思えない
「確信犯」もいます。男性が多い職場で働いたり、男性ばかりの酒宴で仕事
付き合いを進めねばならなかった経験も多々あり、いわゆる「セクシャル・
ハラスメント」に対しては、今までカリカリと目くじらを立てることもなく、
かつ自分を曲げて泣き寝入りすることもなく、ある程度の「社会的免疫・耐
性」を養ってきたつもりです。しかし「妊娠を共に喜ぶ善意」を逆手にとっ
たような「見え見え」のくどい芝居に、くやしい憤りを感じることもありま
す。

 私自身は、「男性vs女性」という男女拮抗の対立構図を煽るほうではなく、
むしろ女性の社会的な地位向上には、男性の本心からの理解・納得・協力が
得られるような環境作りが大事だと考えています。30歳代となって、わりと
おおらかに構えている私でさえ、このようなくやしい憤りを感じているくら
いですから、「妊婦特有のハラスメント」に一体どのくらいの人達が困って
いるのだろう…と思いを巡らせた時に、問題提起の1つとして、皆さまにご
報告しようと思うようになりました。

《世界で最も少子高齢社会が進む日本なのに、ファミリーフレンドリーでな
い集団意識》

 以前、新聞投稿欄で、滞米生活が長かった日本人男性が日本に「里帰り帰
国」した時に、電車の中で遭遇された経験が掲載されていました。いわく、
「小さい子どもを抱きかかえたお母さんや、お腹の大きい妊婦さんが目の前
に立っていても、誰も声をかけるわけでもなく、周囲の日本人は皆、見えな
いふりをして平気で椅子に座っている。私の祖国は、いつから、助け合う社
会的親切が常識として、通用しない社会になってしまったのだろう…」とい
う投稿です。

 子育て中の多くの先輩やら友人から、また産婦人科で「マタニティクラス」
を受講する私と同じ立場の妊婦さん達からも、同様の指摘を受けてきました
が、「優先席」の表示がある公共の席でも、同じようなことが日々起こって
います。そんな中で、妊娠初期の、お腹がまだ平らで「通常に見える」状態
の時こそ、最もつわりがひどく、立って揺られる電車やバス、人込みで気分
が悪くなっても周囲に理解してもらえない―――そんなつらい思いを少しで
も解消できるよう、妊娠していることを周囲にさりげなく伝えられるバッジ
が登場したのを皆さま、ご存知ですか?

 「BABY in ME (お腹に、赤ちゃんがいます)」という文言とイラストの描か
れたこのバッジは、横浜市在住の村松純子さん
( http://www.baby-in-me.com/ )が考案され、住民からの声によって千代田
区等では、自治体として、このバッジを配布し始めています。しかしこの動
きも、バッジに込められたコンセプト自体が、社会に広がらなければ、意味
がありません。私たちが住む日本の社会が、子育てフレンドリーな土壌を培
う一環として、この「静かなブーム」が広がることを応援したいと思ってい
ます。

 《「妊婦は、かくあるべき」との理想像と実態とのギャップ》

 最近痛感していることは、妊婦が身にまとうマタニティ服は、家庭着のよ
うなデザインが圧倒的に多いということです。レースのひらひらやゴムを寄
せたギャザーの「かわいい」服が多く、ビジネススーツとして活用できるシ
ンプルな服が驚くほど見当たりません。確かに、母体保護の観点から、妊娠
中に安静にすることは大事で、そのような社会的メッセージがある利点も理
解できます。しかし日に日に大きくなってくるお腹を抱えて、外に着ていく
服が見当たらない私は、「じゃぁ、『女性は妊娠したら外で働くなー』とい
うのが、社会が発する唯一のメッセージなのぉ〜…!?」と珍しく斜に構えて、
一人、何だかもどかしい気になったことも、正直なところありました。

 少子化の進む近年の日本でさえ、年間約115万人の新生児が産声をあげてい
ます。双子などの多胎妊娠を考慮しても、単純計算すれば、約110万人の妊婦
が毎年誕生し、110万通りの妊婦のライフスタイルが存在します。マタニティ
のビジネススーツ需要が顕在化しているのに、既製品の供給は驚くほどあり
ません。

 これは妊婦の動向に対する理想像と実態のギャップが生じているほんの一
事例ですが、通勤して働く女性が妊娠しても、ビジネスシーンで着られる服
が、もう少し市場に出回ってもよい時期ですし、「女性のライフステージに
見合った労働力の活用」を真剣に取り組んでいく社会的な制度設計にも、こ
のような変化を反映していくべき時期にきていると考えます。

 ・・・妊娠して以前ほど無理の効かない体になり、日々の仕事を全て終え
てから、夜中に原稿を一気に集中して仕上げるなどの、精力的な仕事量のス
ピードは、確かにスローダウンしました。今、働く女性の多くが妊娠・出産・
子育て・介護等によって感じるようなもどかしさを、正直なところ私自身も
共有し、感じていますが、その分、この妊娠・きたるべき出産と子育てとい
う初めての経験から得る視点や思いを、今後の政治活動に活かし、「しっか
りとした国家観と、地に足のついた生活観」を重視する若手として、政治的
な視点に幅を持たせていきたいと強く感じています。


■◇■==============================================================
 「第156通常国会をふりかえって」
                山口わか子(衆議院議員・社民党・北陸信越)
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 「改革なくして成長なし」「改革に痛みは伴うもの」「今改革の手を緩め
れば将来はもっと痛くなる」などといい続けて登場した小泉政権、すでに2
年経ちました。

 この間着実に変わったのは、中小企業の倒産が戦後最大になったこと、失
業率は増え続け、学校卒業後の就職率は最低、いつでも首を切れる使い捨て
フリーターが、なんと400万人を超えたこと、自殺者が増え続け、ホーム
レスが巷に溢れ、生活保護が確実に増え続けていることなど等、数え上げれ
ばきりがないほど、痛みが深刻となり、命を絶つという最悪の事態にさえなっ
ていることです。

■もし1億円あっても

 今の世の中働かなければ生きていけません。十数年前「バブル」の頃、働
く人たちの夢は、何とかしてマイホームを手に入れたいということでした。
「もし1億円のお金があったら」、年に5%の利息であれば、500万円が手に入
りましたから宝くじが当たればと、まんざら実現できない夢ではなかったの
です。今銀行の定期預金などで安定的に運用したら、年間500万円の利息収入
になる預金金額は、少なくとも60億円なければ収入になりません。

 この10年間で、60億円の金融資産を持つ人と、年間500万円の収入
のある人とが経済的には同じ価値しかないということになります。つまり、
金融資産が利息を生まないだけでなく、土地などの不動産や株の値下がりで
資産の目減りは著しく、日本は総貧困化に拍車をかけていることになります。

■正規社員は減りつづけ、フリーターという低賃金無権利労働者の著しい増加

 誰でも義務教育が終われば、働かなければ生きていけません。高校や大学
を卒業してもちゃんと就職できる人は、5〜7割程度で、後はフリーターと
呼ばれる低賃金、不安定労働で働いています。フリーターの実態は400万
人を超え、月収8万円から10万円で働いて、ほとんどボーナスも無く、退
職金や社会保険もつかず、雇用保険さえ入らない会社が多いか、もしあった
としても3ヶ月の定額の失業保険しかありません。勿論フリーターは能力開
発のための社内研修も受けられず、昇進もありませんから身分不安定のまま
単純労働に置き換えられます。もっとも待遇は最低でありながら、店長を任
せられ、ノルマを課せられ達成することが至上命令、残業などは勿論つかな
いというひどい状況もでてきていると聞きます。

 働く者の間に「会社が基幹社員として育成する人材」と「つかいすてのフ
リーター」という階層分化が進み、しかもその間には階層の移動はありえな
いという決定的な差別化がますます深刻化しているのが、小泉内閣の政策で
す。

 失業とリストラが深刻化すると、働く場所があるだけでありがたいという
ことになり、最近では、猛烈に働かされ、残業時間は増える一方でありなが
ら、残業手当さえも支払わないというひどい状況が問題にされています。そ
の上労働基準法で有給休暇がありながら、休めない、その結果うつ病や、慢
性疾患が急増しています。病気休暇があっても休めない、当然仕事が続けら
れない、結局辞職という名の失業となってしまうのがあたり前という深刻な
状況となっています。

 失業とは、収入がなくなるだけでなく、社会から「貴方は不必要な人間だ」
と宣言され、排除され、孤立することを意味します。それは人間の否定であ
り、生き甲斐の喪失にもつながる。・・暉峻淑子さんの言葉です。

■夢も希望も持てなくなった高齢者や女性

 この頃、お年寄りの皆さんに会うと、「たった6万円の年金で、医療保険
料や介護保険料を払うと、病気の治療費も払えない。だから病院へも行かず
に家でじっと我慢している」「食料は毎晩7時過ぎにスーパーへ行き、半額
セールで済ませている」「楽しみにしていた旅行もできない」「この先どう
やって生きて言ったらいいのか、もし寝たきりになったら、お金がなくて介
護も受けられない」と口々に不安を漏らす声が最近は怒りとなって「何とか
ならないの?」と政治への不満をあらわにすることが日常の会話になってい
るのです。

 子育て中のお母さんは、夫の収入が減るばかり、何とか補いたいとパート
で就職を探してみるけど、子どものことで2日も休めば辞めさせられ、無理
をして働いても日給は6〜7000円、単身で働く女性は、1日に2度も働
く場所を渡り歩いてもアパート代を払えば、わずかな生活費しか手に入らな
い上、子どもの顔さえ見ることができないと、深刻な不安を抱えています。

 その上、医療保険の保険料、介護保険料共に大幅に引き上げられ、国民年
金の保険料は毎月1万3千円も払わなければなりません。若い人たちは、賃金
は10万円程度が大半ですから、10%以上にもなる保険料は払えないのがあた
り前です。

 国民年金の保険料を払わない人が35%を越えているなかで、将来本当に
年金がもらえるのだろうかと不安を持っている人は多くいます。年金改革が
今後どうなるのか、小泉改革はこの辺もはっきりしていません。

 社民党は、基礎年金は最低でも10万円、国の負担は2分の1、残りの2
分の1は企業の負担と低い保険料で運営していける仕組みを考えていきます。
また、社会の最も弱い立場の労働者や高齢者、子どもや障害者、女性が、生
きていけるための保障が無い限り、景気もよくならないのですから、ここを
最重要課題として予算を要求していきます。そのための財源は、無駄な公共
事業の削減、特殊法人や公益法人の整理統合、天下りの廃止、防衛費の削減
などで賄います。

 働く場所の確保と同時に、フリーターやパートであっても同一の賃金が確
保され、労働条件がきちっと守れるよう労働基準法の改正などに取り組んで
いきます。


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 「核兵器のない戦争のない平和な地球を」
                      井上美代(参議院議員・共産党・東京)
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 私は、8月、広島、長崎で、諸外国の平和を願う人々に会いました。改め
て、世界の各地で「核兵器のない戦争のない平和な地球を」の願いを共通に
抱いて訴え、行動している人たちがいること、どんなに熱心に、誠実に、正
義を貫いて頑張っているかを改めて深く認識しました。

 イラク戦争後初のNGO国際会議・原水爆禁止2003年世界大会に参加しまし
た。海外からの参加は、23ヵ国、6つの国際・地域組織の64人で、日本代表
と合わせ約300人が参加しました。

 私は、01年の9・11のテロ事件からの悲しみも癒えないままに、アメリカに
よるイラク戦争が国連の決議もなく開始され、米英の戦争終結が宣言されな
がらも、米英の戦死者の数は増える一方で戦争状態が続いています。日本は
有事3法案やイラク特措法を強行成立させ、イラクに派兵する準備に入りまし
た。

 アメリカが世界で起こす戦争に武器使用も許して自衛隊を海外に派兵して
いいでしょうか。イラク戦争が次の戦争への拡大につながっていいでしょう
か。私は日本国憲法に真っ向から違反する自衛隊の派兵に反対です。通常国
会で強行した法案の発動を絶対に許さない闘いがいまこそ重要です。この闘
いにとっても、アメリカの女性たちが何を感じ、何を考え、今後どういう方
向で行動しようとしているのかは、私の強い関心事でした。

 私は昨年も、アメリカ代表に会いました。その女性は、メディアで何回も
登場したリタ・ラサールさんです。彼女は、ただ1人の弟を同時・多発テロ事
件で失った女性です。平和のための闘いをすすめる上で、多くの示唆を与え
てくれましたが、今年は「平和な明日をめざす9月11日の家族の会」(ピース
フル・トゥモローズ)の運営委員会議長であるテリー・ケイ・ロックフエラー
さん母娘が来日されました。理性的で知性にあふれた人、深い悲しみの中に
もアメリカの明日をとらえ、考えている女性であることに強い印象を受けま
した。テリーさんの妹ローラさんは、世界貿易センタービル106階で働いてい
ました。テリーさんは妹をテロ事件で失い、大きな衝撃と悲しみの中で来日
されました。

 「夜明け前に怒りでめざめ、心臓がどきどきし、脈が激しくなることもあ
りました。でも復讐とは別の問題でした。私が復讐は無益だという意識をもっ
たのは、確かです。それでも19人のハイジャック犯を手助けした人がいたこ
とを知っており、共犯者が誰であるかを明らかにし、逮捕し、裁判にかけ、
有罪を宣告し、投獄してほしいと願ったし、今でも願っています。しかし、
9・11の言語に絶する暴力に対し、暴力で報復すること、さらなる殺人で応え
ることは、私にとって一番道理の通らないことでした。そしてこのことにつ
いては、政治がとても身近なものになりました」と述べています。

 「あのようなことが2度と再び起こらないようにするために活動をしたいと
心から思うようになりました」と自分の胸のうちを率直に話され、2002年2月
に犠牲者遺族4人がアフガンを訪れ、米軍の軍事行動で殺された市民の親族と
交流してきたことを知り、自分もイラクへ行き、イラクの犠牲者と語り合い
たいと考え、自分たちが癒えていく決定的カギをこの勇敢な旅行者たちが握っ
ていると直感した」と述べています。

 2002年2月には、「平和な明日をめざす9・11家族の会」(ピースフル・トゥ
モローズ)を立ち上げたといいます。名称は、マルティン・ルーサー・キン
グ牧師の演説の「私たちは、平和的手段によって平和的目的を追求しなけれ
ばならない」からとったといいます。03年1月、テリーさんをイラクへと向か
わせた」のもこの考え方だったといわれました。

 イラクにいってみると、国民は恐怖の中で生活し、再び殺我が起こること
を恐れていました。夫を南部の飛行禁止区域で殺され、4ヵ月の喪に服してい
るある未亡人は、他の喪に入っている女性のなかにテリーを連れていきまし
たが、一緒に涙を流してくれたことは忘れることができないと、テリーさん
はその印象を語っています。

 一方、イラク女性たちは、「アメリカの侵攻と外国の軍隊による占領は、
ますます若い人々をテロリストの訓練場へと向かわせるだろう」とアメリカ
の人々に訴え、警告したといいます。テリーさんは「私はテロの根絶を望ん
でいる。しかし、アメリカは破滅的な、誤った方向をとったと信じています。
−−私たちの9月12日に戻って、私たちの行動を考え直す必要があります」と
主張、イラクに行き、新たな世界平和の視点を訴えてきたのです。

 「どこで、誰と、テロの根本原因について共に語り会うことができるかを
考え始めようとしている」「アメリカが国際社会とどのように関わるのかを
見直す必要があるし、アメリカ人として、他国を支配しようとすることなし
に、どのように他の国々が変わるのを助けることができるのか、考える必要
がある。戦争を、直面している困難や複雑な問題の解決策と見てはいないと
いうことを国の指導者たちにわからせなければならない」といっています。

 日本の人々への訴えでは、「アメリカ政府の偽善を終わらせる必要があり
ます。アメリカは、非核保有国に対する先制核使用を含め、先制攻撃による
戦争の威嚇を行う一方で、イラク、イラン、北朝鮮に核兵器やその他の大量
破壊兵器がないことを証明するよう要求しています」、「しかし、世界は、
ニューヨーク紙が“第2のスーパーパワー”と呼んでいる勢力の誕生を目撃
しています。その勢力とは、アジア、ヨーロッパ、アメリカの草の根の平和
運動、世界中のNGO、アメリカの核軍備、外国軍事基地政策に反対するます
ます多くの政府からなる連合体です。これは、無謀で破壊的な戦争に反対す
る強力な国際世論の勢力です」と草の根からの国民の声と行動が真の平和=
核兵器のない、戦争のない平和な地球をもたらすことを強調しています。こ
れは平和を願う日本国民の主張とそのまま重なるものだと思います。

 私は、今年夏の平和のつどいが、核兵器も戦争もない平和な21世紀をつく
る新たな出発点となることに大きな確信を持ちました。人種・国籍・宗教な
どの違いをこえて、戦争反対、平和実現のためには、国際連帯と共同行動を
進めることこそ重要なのだということを実感しました。膨大な軍事費を削減
し、その分を飢餓・貧困にあて、環境破壊を阻止し、子どもや女性などの差
別をやめ、1人ひとりの人権を尊重し、人間の尊厳を大事にする21世紀にした
いものです。


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 「 少子化社会対策基本法案の質疑をふりかえって
  ―自己決定権の問題と、婚外子差別問題」
                    岡崎トミ子(参議院議員・民主党・宮城)
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 長かった156国会も先月末に閉会しました。190日間の長い会期の間に武力
事態対処法(いわゆる「有事法制」)、個人情報保護法、イラク特措法が成
立した、大変、「重たい」国会でした。これらの法律は、いずれをとっても
成立して「もうお終い」というのではなく、今後の運用の監視が必要なこと
はもちろん、法律の改正、廃止も視野に入れて関心を持ちつづけなくてはな
りません。

 さて、私自身も今国会では16回、質問や動議の提出などのため委員会で発
言しました。所属する内閣委員会では、実質的に最後の議題となった「少子
化社会対策基本法案」の最初と最後の質疑で質問をしました。私たちはこの
法案に対して、大変な懸念を持って議論を始めました。

 とくに心配だったのは、国は、子どもを生み、育てたい個人やカップルが
安心してそうできるための“環境整備”に徹するべきなのに、少子化に歯止
めをかけようとすれば、それが「産めよ増やせよ」の人口政策になりかねな
いということでした。結婚や出産については自己決定の原則を貫くべきだと
いう問題意識です。

 先に質疑が行われた衆議院の段階で、こうした心配に応えようと民主党が
中心になって修正を行いました。それは、法案の前文のなかで「対策」の必
要性を訴えている個所の冒頭に、「もとより、結婚や出産は個人の決定に基
づくものではあるが、」という文言を追加するものでした。ところがこの文
言の最後が「ではあるが」であるため、「この“が”は、逆説の“が”では
ないのか。“もともと個人の決定に基づくものではあるが、この個人の決定
は制限される場合もある”と読み取れる。かえって悪くなった」という批判
が出てしまったのです。

 この点について、修正案を出した立場の山内功衆議院議員(民主)に対し
て真意を質したところ、大変明快な答弁をしてくれました。趣旨は、「自己
決定権というものがある、ということだけで、実際に男女が自己決定できる
というものではない。自己決定ができるためには労働環境、保育サービス、
地域での子育て支援などの社会的な整備があって初めて、子どもを産む、産
まない、何人産もうかということが自己決定できる。そこで、自己決定権に
ついて初めに記述して、“が”でつないでそのための対策が必要だというこ
とを書いた」と言うのです。

 修正の意図がはっきりしたという意味で、心強い答弁で評価しますが、法
律をつくる議員たちの意図がどうあれ、実際に法律が成立した後で、この法
律が子どもを持たない、持てない個人やカップルに対する圧迫になってはい
けません。そのことについて提案者の肥田美代子議員に尋ねたところ、「子
どもを持つ意思のない人、それから子どもが欲しいけれども得られない人、
その人たちを心理的に決して追い詰めることのないよう、今後も見守ってい
きたい」との答弁をもらいました。私も、当事者の皆さんたちの思いを大切
にしながら、監視し続けていきたいと思います。

 今回の質疑では多くの論点が議論されましたが、私は「婚外子差別の撤廃」
にもこだわって質問しました。「少子化対策」をするのであれば、それは「差
別がなく、生まれてきたすべての子どもが幸せに育つ社会を作る取り組み」
とセットであるのが本当だろう、という問題意識からです。今日、法律婚の
枠の外で生まれてきた、いわゆる「婚外子」には様々な差別があります。

 まず、出生届に記入する段階から、この子どもが「非嫡出子である」こと
をはっきりさせる欄がある。また、父親が名のり出ていても、「婚外子には
父親がいない」とされて父親の名前を出生届に書くことができないのです。
これらの差別は、婚外子が遺産を相続する場合に、(とくに遺言などで定め
がない場合に)嫡出子の半分しか相続を受けられないという規定が民法にあ
り、そういう規定がある以上、分かりやすくするために戸籍のなかで区別を
する必要があり、そのためには出生届の段階から差を設ける必要があるのだ、
と、これまで説明されてきました。

 しかし、これは日本も1994年に批准した「子どもの権利条約」の「児童に
関するすべての措置をとるに当たっては、・・・児童の最善の利益が主とし
て考慮されるものとする」という規定に反しています。また、生まれてきた
子どもを等しく歓迎できない国が、なんの「少子化対策」でしょうか。

 委員会で私は、
1)そもそも子どもの責任でないことに差別を設けることが不当であること
2)こうした差別には合理的な効果がない(不必要である)こと
3)このような差別をしている国はもうほとんど見られないこと
4)国連などからも撤廃するように勧告されていること
5)司法からも立法府の取り組みを投げかけられていること
など、ひとつひとつ挙げて差別の撤廃を訴えました。

 結局政府の答弁は、「現行のしくみは合法であり、現在は改正を考えてい
ない」、「国民感情や社会事情等に密接にかかわり、改正するならば国民の
理解を得ることが相応しい」という以上のものではありませんでした。政府
も差別を続ける合理的な理由はなくなっていると考えているが、一部の強い
反対があって身動きがとれないでいる、という印象を強く受けました。

 一方、法案の提案者である五島正規衆議院議員(民主)は「婚外子、嫡出
子という区別の問題を変えていくために、私は立法府として努力すべきであ
ると思う」と発言し、自民党の中山太郎衆議院議員も、「正面から議論して
いくべきではないか」という私の質問に対して、「(その通りだと)私も考
えております」と答えてくれました。

 結局法案の附帯決議の第一項に、「婚外子がいかなる差別も受けることの
ないように十分配慮すること」という文言が入りました。一般的には附帯決
議の第一項には総論的なことが書かれ、今回のように個別テーマが盛り込ま
れることは、あまりありません。この法案が特定の家族像を押し付けるもの
となってはいけない、生まれてくる子どもたちに対する差別をなくしていく
努力が必要だ、という委員会の強い意思を象徴的に現したものとして盛り込
まれたと考えています。

 この附帯決議を受けて法案が成立して2日後、7月25日には早速、当事者の
皆さんと一緒に婚外子差別撤廃を求めて法務省を訪ねました。対応した増田
法務副大臣は「気持ちは理解する」と述べました。

 当事者の皆さんの力で進んできた婚外子差別に向けた動きが、具体的な成
果に結びつくよう、今後ともがんばっていきたいと思います。


◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  編集後記                ロゼッタストーン・弘中百合子
  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆
 「ヴィーナスはぁと100号記念イベント」の概要が決まりました。

●日時    10月8日(水)午後6時会場。午後6時半〜8時半
●場所    日本外国特派員協会 メディアルーム
            (千代田区有楽町1−7−1 有楽町電気ビル北館20F)
●参加費   3,000円 (食事・飲み物つき・バイキング方式の立食パーティ)
●参加人数 先着70名様

 日本外国特派員協会というのは、「時の人」を招いた記者会見でおなじみ
のところです。最近だと、水泳で金メダルをとった北島選手の記者会見をやっ
ていました。有楽町駅のすぐそばで、見晴らしがよく、お料理もおいしいの
です。

 当日は、各ヴィーナス議員のスピーチ&質疑応答を予定しています。堅苦
しくない雰囲気で、ヴィーナス議員と読者の皆様との交流ができればいいな
と思っています。

※ヴィーナス議員がどれだけ参加してくれるかは、まだ未定です。選挙とぶ
つからなければよいのですが。

 人数制限がありますので、お早めにお申し込みください。以前、「参加し
たい」というメールをくださった方も、念のため、もう一度、ご連絡くださ
い。

 参加ご希望の方は、
   1)住所
   2)氏名
   3)電話番号
   4)参加人数
   5)ヴィーナス議員に聞いてみたいこと を明記して、
 vheart@rosetta.jp までお申し込みください。

 件名に「100号記念イ ベント参加希望」と書いてください。


 「ヴィーナスはぁと」へのご意見、ご質問も vheart@rosetta.jp まで
 お願いします。

※お手数ですが、お寄せいただくご意見に
     1)「掲載可」か「掲載不可」か

 掲載してもよい方は
     2)「匿名希望」か「実名可」か
     3)「事前連絡必要」か「事前連絡不必要」か

 をお書き添えいただけると、大変助かります。なにも記載がないものを紹
 介する場合は、要旨だけを匿名でご紹介する形にしたいと思います。


◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧
  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆
 「ヴィーナスはぁと」に参加してくださったのは、次の15名(敬称略)の
方々です。

 ◇衆議院
  川田悦子  (無所属・東京)   小宮山洋子(民主党・東京)
  瀬古由起子(共産党・東海)   武山百合子(自由党・北関東)
   水島広子  (民主党・栃木)   山内惠子  (社民党・北海道)
   山口わか子(社民党・北陸信越)

 ◇参議院
  有村治子  (自民党・比例)    井上美代  (共産党・東京)
  岡崎トミ子(民主党・宮城)   千葉景子  (民主党・神奈川)
   八田ひろ子(共産党・愛知)   広中和歌子(民主党・千葉)
    福島瑞穂  (社民党・比例)   吉川春子  (共産党・比例)

詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーン
WEBページで公開しています。⇒ http://www.rosetta.jp/
各議員のWebページにもリンクしています。

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■次号予告
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 次回の発行は、8月21日です。

 武山百合子議員(自由党) 八田ひろ子議員(共産党)
 福島瑞穂議員(社民党)  小宮山洋子議員(民主党)
 が登場する予定です。

 ※登場する議員の顔ぶれは、変更する場合もあります。ご了承ください。


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