2003年1月30日発行(毎週木曜日配信)
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女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』第62号
*** *** 29日、脱北日本人妻が44年ぶりに日本に帰国
*****v***** したというニュースが流れました。暗いニュースが
********* 多いいまの日本とはいえ、食べ物や商品が豊富で、
******* 何より命の心配をしなくてもいいこの国は、やはり
*** 恵まれています。ヴィーナス議員の中にはこの恩恵を
* 他国にも…と考えている人も多いようです。
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目次
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■ 「小泉総理の靖国神社参拝問題について」
吉川春子(参議院議員・共産党・比例)
■ 「新春にあたって」
広中和歌子(参議院議員・民主党・千葉)
■ 「法務委員会は今年も大忙し」
千葉景子(参議院議員・民主党・神奈川)
■ 「“成熟”社会の現状・将来に見合った制度に」
有村治子(参議院議員・自民党・比例)
■ 編集後記
■ 「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧
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●大特集「明日の家族」
岡崎トミ子議員が「女性の年金」、山口わか子議員が「高齢者介護」、
井上美代議員が「子育て政策」、千葉景子議員が「司法改革」について
語っています。どうぞお楽しみに!
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「小泉総理の靖国神社参拝問題について」
吉川春子(参議院議員・日本共産党・比例)
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靖国神社問題についてどう思うかと、質問がありました。私の考えを述べ
たいと思います。
小泉総理は今年1月14日に3回目の靖国神社を参拝しました。一昨年8月13日
(敗戦記念日直前)、昨年4月21日(春の例大祭)、と3回続いての参拝。理
由として「平和のありがたさをかみ締め、二度と戦争を起こさないように」
とのべました。空々しい言葉です。靖国神社参拝を歴代どの総理より熱心に
行う小泉氏は平和にとって危険な人物です。
「8月15日に靖国神社を参拝する」と小泉総理が本会議場で演説した夏、映
画「ほたる」が上映されました。片道の燃料で敵艦に体当たりして自らの命
を捨てた二十歳そこそこの若者たちと命永らえた人々のつらい戦後を描いた
心に残る映画です。「ほたるになって戻ってくる」と言っていた若者が海に
散った夜、ほたるが飛んできたシーンなど、彼を生かしたかったという人々
の思いが切ないほど伝わってきます。
戦争の映画や本を見ていると「靖国で会おう」等のセリフが出てきますが、
戦死すれば神となって靖国神社に祭られると教えられたためです。上田市の
「無言館」には絵筆を銃に持ち変えて戦場に駆り出され、再び戻れなかった
画学生の描いた絵が展示されています。戦争で死んだ学生の手記「聞けわだ
つみの声」を読むと、これらの学生がもし戦後も生きられたら、どんなにか
豊かな人生があっただろうかと思われます。
靖国神社はこの侵略戦争を推進するために国民を鼓舞する精神的シンボル
でした。そして今日なお、あの戦争肯定の立場で展示や催し物をやっている
神社です。戦争犯罪を裁いた東京裁判でA級戦犯として死刑に処せられた戦
争犯罪人も合祀されています。
中国の楊文昌外務次官は日本の阿南中国大使に「靖国神社は第二次大戦で
中国とアジアの民衆を殺したA級戦犯を祭ってある。小泉総理の誤った行動に
強い憤りをおぼえる」。韓国外務通商省金恒経次官は「植民地支配により多
大な苦痛と被害を受けたわが国に感情をこれ以上損なわないよう小泉総理の
誠意ある対応を求める」と抗議。
日本共産党志位委員長は、「靖国神社は侵略戦争と軍国主義推進のシンボ
ルとなった神社であり、今なお参拝は侵略戦争を肯定するもの。A級戦犯が
合祀されている靖国神社を三度続けて参拝することで公式参拝を既成事実化
するもの。日本の侵略戦争や植民地支配の被害国からは侵略戦争に無反省な
日本の象徴的行為と受け取られる愚かな行為」と批判しました。アジア諸国
と友好を保つために、若者たちを無駄な死に追いやらないために、総理の侵
略戦争のシンボルへの参拝はやめるべきです。
なお、吉川春子ホームページの「靖国神社参拝問題、ILO条約の批准」
(2002.7.16.第154国会参議院内閣委員会) の質問を参照してください。
http://www.haruko.gr.jp/report/nai_020716-1.html
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「新春にあたって」
広中和歌子(参議院議員・民主党・千葉)
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2003年明けましておめでとうございます。
それぞれに良いお正月を迎えられたことと拝察いたします。
私は地元千葉でいくつかの新春の集いに参加した後、1月10日から一週間、
ミャンマーに出掛けました。NPO2050の企画による東南アジア視察の一環で、
同行者は2050の北谷代表ご夫妻と事務局長の桜井女史、そして国会議員4人、
川橋幸子、大渕絹子、田嶋陽子に私、広中和歌子でした。JICAや国連機関の
現地での活動やNGOの行う数々の支援を通じて途上国の実態を視察するのが目
的です。
2050企画の東南アジアの旅は私にとって今回で四回目、これまでにベトナ
ム、ネパール、カンボジアを訪れています。
これらの国々を訪れて感じることは、それぞれに素晴らしい文化遺産が残っ
ているのに、国はとても貧しいのです。もっともそうした貧しさの中に、か
つてわが国が貧しかった頃を思い出し、ある種の懐かしさを憶えてしまうの
ですが。今でこそ、日本は世界第2位の経済大国ですが、つい50年くらい前の
日本には浮浪者や浮浪児が居り、多くの人々が掘立小屋に住み、ちょうど現
在の開発途上国の状況であったのです。
50年を経た今、これらの国々とわが国の違いは一体何なのか、つい考えて
しまいます。片や日本はこれだけの豊かさを手に入れ、片やベトナムやネパー
ル、カンボジア、ビルマの人々の多くは未だに貧しさにあえぎ、一日1ドル以
下の生活を余儀なくされている。その原因を内戦や社会主義政策など政治に
求めることが出来るかもしれません。一方、わが国の場合、東西冷戦下日米
安保に守られつつ、自由主義体制の中、経済に専心することを選択できたの
です。つくづく政治の大切さを思わずにはいられません。
J・ガルブレイスという著名な経済学者は、その著書『不確実性の時代』の
中で「政治とは可能性の芸術である。重要なものを瑣末なものから選別し、
重要なものに専心する芸術である」と述べています。戦後、灰じんの中から
立ち上がった日本人
は経済に専心する道を選び、わき目もふらずにその道にまい進しました。民
主主義の中で私達はそうした政治を支持し、そうした政治家を選んできたの
です。
その過程で、日本はいくつかの失敗もしています。その一つは公害と自然
破壊であり、自国中心の経済発展が世界の中で経済摩擦を引き起こしてしまっ
たことです。私が政治に入った1986年には公害問題はそろそろ克服され、地
球規模の環境問題が意識されておりましたが、貿易摩擦は依然として大きな
国際問題でした。
エズラ・ボーゲルの“Japan as NO.1”を翻訳した私としては、経済大国
としての日本は、これからは世界に貢献する国になって欲しいと願い、その
ためには日本がODA(途上国支援)、特に環境や貧困教育・衛生分野で世界に
貢献する国になることを政治課題として参りました。
1990年以降、日本を取り巻く内外の環境は変わりました。冷戦の終焉とグ
ローバリゼーション、そしてバブル崩壊後の低迷する国内経済です。しかし
私はどんなに国の財政状況が苦しくても、途上国なかんずくアジアの貧しい
国々への支援は続けるべきだと思います。
戦後、経済成長をする日本から“学べ、追いつけ”でシンガポール・韓国
・台湾・タイ・マレーシアなどの国々が元気になりました。今度はさらにビ
ルマやカンボジア、ラオスなど未だに成長のきっかけをつかめていない国々
に手をさしのべ、アジア全体として豊かで平和な地域を作っていくことに貢
献することが、日本の進むべき道だと考えます。私は外交防衛委員会をはじ
め、様々な提言の機会をとらえ、世界に貢献する日本を訴えて参りたいと思
います。
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「法務委員会は今年も大忙し」
千葉景子(参議院議員・民主党・神奈川)
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明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い致します。
さて、第156回通常国会が開会しましたが、厳しい経済不況の下、前半
は経済問題が論議の中心になりそうです。しかし、景気回復のために、従来
通りの公共事業への予算バラマキでは、解決にはなりません。
限られた貴重な税金を将来不安を解消しつつ、成熟社会に対応する潜在的
な需要を掘り起こし、供給を育てる部分に大きく移行させていく形で予算の
構造改革をめざす必要があると思います。予算委員会等の論議を注目してく
ださい。
他方、後半は重要法案が目白押しです。とりわけ、以前にもお伝えしたと
おり、司法制度改革が進行中のため、法務委員会は政府提案の法案だけでも
10本以上あり、いずれもが、今後の司法制度、ひいては公正な社会構築に
かかわる内容を含むものばかりです。
私も今度民主党の「次の内閣」法務大臣に任命され、参院法務委員会の理
事も引き続き務めることもあり、責任を重く感じております。皆さまと共に
取り組み続けている選択的夫婦別姓を含む民法改正も忘れるわけにはいきま
せん。今国会でも議論が進むように最大限努力をしてまいりたいと思います。
この機会に、今国会に提案が予定されている法案のいくつかをご紹介し、
皆さまのご意見も賜りたいと思います。
●裁判の迅速化に関する法律案→第一審の訴訟手続きを2年以内に終局させ
ようとするものですが、「訴訟手続きが雑になるのではないか」と懸念する
声もあります。
●出入国管理及び難民認定手続きについて、入国から60日以内に難民申請
しないと門前払いする「60日ルール」を改正し、申請期間を入国後6ヶ月
に延長するとともに、申請中の入国者に、仮滞在許可を付与しようという内
容です。一歩前進とはいえこれで充分と言えるかどうか。国際ルールに基づ
き私どもで対案を準備中ですので、関心を寄せていただきますようお願い致
します。
その他数多くの法案があり、人権擁護法案も継続中ですので、大忙しにな
りそうです。
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「“成長”を前提とした社会のしくみを、“成熟”した社会の現状・将来に
見合った制度に転換する作業の連続」
有村治子(参議院議員・自民党・比例)
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《今回は、中期的視点で》
ヴィーナスはぁと読者の皆さま、こんにちは!有村はるこです。昨年は、
このメールマガジンに残る唯一の与党議員となりましたが、皆さまからいた
だいた応援メッセージによって、私の原稿を定期的に読んでくださっている
「固定読者」の方もいらして下さることが分かり、本当に心の励みとなりま
した。真剣に原稿を読み、問題意識や提言を共有して下さった皆さま、あり
がとうございます!これからもできる限り、寄稿していきますので、今年も
どうぞよろしくお願いいたします。「今年の抱負」というテーマが与えられ
た今回は、やや中長期的な視点で、最近強く感じている構造的変化について、
書いてみようと思います。
《自由民主党と労働組合の連携》
今月16日、私が所属している自由民主党の党大会があり、全国各地から党
員・支援者の代表3000人近い方々が都内の会場に集われました。私にとって
は、3度目の参加だったのですが、今年は「おやっ!?」と思ったできごとがあ
りました。日本労働組合総連合会(連合)の笹森清会長が、今年度の自民党
の大会に来賓として初めて参加された上、祝辞を述べられたからです。しか
もその直後の18日には、(従来労働組合系の多くが応援されてきた)民主党
の党大会が開催されるにもかかわらず、このタイミングで自民党の大会に参
加するという決断をされたわけです。
《従来からの主張や固定的な立場の違いを越えて、共にとりくむ雇用問題》
今回の件、私は歓迎すべきことだと思っています。政権責任政党の自民党
にとっても、労働組合にとっても、「雇用の確保」が、共に取り組むべき最
重要課題の1つだからです。
自民党としても労働組合の現状やニーズを理解できないのでは、真の意味
での国民政党には成り得ませんし、組合側としても、政権政党とコミュニケー
ションルートを持たない活動ばかりでは、現場で働く人の声を実際に政策に
反映させることが極めて困難です。
だからこそ、両者が勇気を持って対話の扉を開き、見解や立場が当然違っ
ても、お互い敬意を持って意見を出し合える信頼関係を持つことが、肝要な
のだと私は考えます。
《社会を測ってきた「ものさし」の基準が、現在でも適切かどうか、指標自
体を再確認すべき時期》
同時に、私は今回のことを、単なる一過性のできごとではなくて、社会の
構造的変化の表れだと認識しています。戦後、大きなくくりで言えば「この
人は保守系だ、あの人は革新系だ」という、「保守か・革新か」の二極対立
を機軸にして政治が語られ、特に選挙の時などにはその対比を活用して、両
者が「流れはこちらだー」とそれぞれ標榜して、有権者にアピールする時代
が続きました。しかし今、イデオロギー対立に、有権者・納税者の私たちが、
心から納得して動く時代ではありません。
あえて言えば、時代に即して思い切った提言や実行力が発揮できない(い
わゆる)「保守系」は国民に支持されないし、同時に、組織が硬直化し、既
得権益の維持に走ろうとする(いわゆる)「革新系」も、一般的な市民から
は距離を置かれます。
今まで半世紀近くも使われてきた「保守・革新」という「社会を測る、も
のさし」では、今の時代を生きる私たちの現状を的確には表現しえないので
す。従来的なものさしの基準が、果たしてこれからも適切な社会指標となる
のか、再確認すべき時期に来ていると考えています。
《「成長」を基盤とした社会整備から、加速する「成熟」社会に見合った制
度への転換》
人口増加と右肩上がりの経済を基盤として「成長」を前提にしてきた社会
の仕組みを、少子高齢社会の中で(若年)人口が減っていく「成熟」した日
本の現状に見合った制度に、どのように適合させていくのか。社会保障制度
の破綻や世代間抗争を未然に防ぎ、人口が減っても超高齢社会になっても、
豊かさを実感できる社会に転換するには、どこで財源を確保して、どの分野
に重点投資すべきなのか―――責任ある日本の政治家であれば、与野党とも
に避けては通れない、大きな切り口のテーマです。
《すでに大幅延長もささやかれる通常国会が始まりました》
今月20日から始まった通常国会では、与野党の攻防ばかりでなく、「国民
の生命と財産を守る」という根本理念をめぐって、各党内の意見の相違を揺
さぶるような法案が、提出される見込みです。
今回は、個々の政策を打ち出していく前段階の、私の中期的な認識を書い
てみました。私が特に取り組んでいきたい政策の具体的目標・進捗状況につ
いては、次回以降に、ご報告したいと思います。
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編集後記 ロゼッタストーン・弘中百合子
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イラク情勢の緊迫化、北朝鮮との交渉の硬直化……。今年は、日本の「外
交」が問われる年になりそうです。平和を愛するヴィーナス議員たちに、ぜ
ひとも活躍してほしいものです。
千葉議員は、「裁判の迅速化」と「難民認定」について読者の意見を聞き
たいそうです。みなさまの考えをぜひお聞かせください。
有村議員が言っているように、読者からの励ましや意見は、ヴィーナス議
員たちの心の支えになります。全員にお返事することはできませんが、いた
だいたご意見は、確実にヴィーナス議員たちに届けています。
ご意見、ご質問は
vheart@rosetta.jpまでお願いします。
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「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧
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「ヴィーナスはぁと」に参加してくださったのは、次の15名(敬称略)の
方々です。
◇衆議院
川田悦子 (無所属・東京) 瀬古由起子(共産党・東海)
武山百合子(自由党・北関東) 水島広子 (民主党・栃木)
山内惠子 (社民党・北海道) 山口わか子(社民党・北陸信越)
◇参議院
有村治子 (自民党・比例) 井上美代 (共産党・東京)
岡崎トミ子(民主党・宮城) 小宮山洋子(民主党・比例)
千葉景子 (民主党・神奈川) 八田ひろ子(共産党・愛知)
広中和歌子(民主党・千葉) 福島瑞穂 (社民党・比例)
吉川春子 (共産党・比例)
詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーン
WEBページで公開しています。⇒ http://www.rosetta.jp/
各議員のWebページにもリンクしています。
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■次号予告
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次回の発行は、2月6日です。
川田悦子議員(無所属)、瀬古由起子議員(共産党)、
水島広子議員(民主党)、山内惠子議員(社民党)が登場します。
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発行人・編集人:弘中百合子
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