2002年9月26日発行(毎週木曜日配信)
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女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』第45号
*** *** 小泉首相の北朝鮮訪問について、早速、共産党の
*****v***** 吉川議員と、民主党の広中議員から意見が届きました。
********* また、千葉議員は、米国とカナダでのNGO・NPOの活躍
******* ぶりや、障害者・児童虐待・DVについての取り組みなどを
*** 弁護士らしい冷静な目で報告。有村議員は、今後、予算に
* どんなふうに関わっていくつもりか、決意を述べてくれました。
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目次
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■ 「米国・カナダの児童虐待防止施策、DV対策などを調査」
千葉景子 (衆議院議員・民主党・神奈川)
■ 「税の配分を決めるプロセスに関わっていくこと」
有村治子(参議院議員・自民党・比例)
■ 「小泉首相北朝鮮訪問について私たちの態度」
吉川春子(参議院議員・共産党・比例)
■ 「北朝鮮を交渉の舞台にひっぱりだしたことを評価」
広中和歌子(参議院議員・民主党・千葉)
■ 編集後記
■ 「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧
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「米国・カナダの児童虐待防止施策、DV対策などを調査」
千葉景子 (衆議院議員・民主党・神奈川)
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9月3日から約10日間、参議院特定事項調査団のメンバーとして、米国
とカナダを訪問致しました。調査目的は共生社会、特に障害者施策、児童虐
待防止施策、DV対策という内容です。
訪問地はロスアンゼルス、サンフランシスコ、そしてバンクーバーになり
ました。連日、政府関係機関、NGO・NPO等を精力的にたずね、実状や
施策、取り組み状況の説明を受け、相互にディスカッションを行いました。
それぞれ予定された時間では足りず、時間オーバーもしばしばでした。
すべてをご報告することはできませんが、注目すべき点のいくつかをお知
らせしたいと思います。
(1)NGO・NPOの活躍
これは既に知られているところではありますが、共生社会は市民が築くも
のであることをあらためて感じる思いでした。政府や行政機関もNGO・
NPOの活動を重視しています。だからといって行政が何もやらなくてよい
、
責任はないということにはならないはずです。
その意味で多少気になったのは、行政が財政支出を抑制するために公的に
行うべき施策を縮小し、NGO・NPOの活動を利用している面があるので
はないかと思われる点です。
バンクーバーのあるカナダのブリティッシュ・コロンビア州では昨年5月
に政権交代が行われ、現政権は州財政の健全化と経済の活性化を掲げて急激
な政策変更を実施しています。そのため各部分での民営化が進められ、ある
意味ではNGO・NPOも重視されています。
しかし、裁判費用の公的補助が削減され、DV被害者で訴訟を提起するこ
とが困難になるケースが増えていると、DV被害者をサポートしているNGO
メンバーが説明してくれました。
(2)DV、虐待被害の救済システム
・ロサンゼルス高等裁判所児童保護法廷
専門家やボランティア等の参加も得ながら、家族のリハビリテーション
による再結合、養子縁組、里親制度等を組み合わせ、子どもに恒久的な
家庭を保障するための判断をする法廷。子どもがクマのぬいぐるみと遊
びながら法廷で質問を受けていました。
・DV裁判所(ロサンゼルス郡)
被告に対して更正プログラムへの参加を要求し、裁判官が保護観察人的
な役割を担っています。DVの再犯を防止しようとするものです。
※これらも含め米国ではDV加害者のカウンセリング等再教育が重視されて
いるが、カナダのNGOの中には、教育の効果はほとんど期待できないとバッ
サリ切り捨てるメンバーもいて、その対比が興味深かった。
(3)その他、障害者の自立性に基づいたNGO・NPOの活躍ぶりにも感
動しました。彼らには世界的なネットワークがあることも教えられました。
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「税の配分を決めるプロセスに関わっていくこと」
有村治子(参議院議員・自民党・比例)
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イギリスで鉄の女と言われたサッチャー元首相が、「政治は税(制)だ」
と言ったように、税のあり方は政治と密接に関わってきます。「行政サービ
スを実現するための税をどう徴収するのか」「限られた財源をどの分野に、
何を基準に配分するのか」など、政治家には、税制のあり方について自分自
身の理念・哲学と実践的知識を持つことが求められているのを感じます。
8月下旬から、きたる平成15年度の予算編成に向けて、各省庁が予算の概算
要求を、次々に発表しました。同時に提出された各省庁の税制改正要望に目
を通すと、それぞれの法律が今の世相に合致していない(または法律が創ら
れた当時には、現在の社会の変化を想定しきれていなかった)ことが見て取
れ、時代が動いていることを感じます。
予算一覧表に(億)の単位で表示された数字は、言うまでもなく、すべて
私達納税者が働いて納めた大事な税金です。1年生議員である私の今年の目
標は、予算概算要求(8月末)から予算決定(年末)に向けての「税の配分を決め
る攻防戦」の流れを理解し、これに積極的に関わっていくことです。
基本的には各省庁が、それぞれの「縦割り行政」で予算の概算を発表する
のですが、日本の国勢にとって重要な課題は、テーマ別に、各省庁が協力し
て予算取りを進めていきます。
例えば、世界にも類をみない高齢社会が進んでいる日本にあって「少子化
対策」に、来年度は約1兆円の予算要求が出されています。これは80兆円を超
える全国家予算の1/80という莫大な配分であり、子育て中の社会のバリアフ
リー化、女性の就労支援、男女共同参画社会における男親の子育て参画の推
進など、政府が「少子高齢社会」への現実的対応が急務だと考えていること
の証左です。
でも私自身は、例えば時間延長の保育をしてくれる乳幼児・児童のための
施設など、幼少期に集中した子育て支援を強化するだけで、少子高齢対策が
万全と言えるのかどうか、少し疑問を持っています。
例えば20代〜30代の夫婦が、近所に児童施設が増えたからと言って、「さ
あ、これで子どもを授かろう!」と急に子育てに自信が持てるかと言えば、
必ずしもそうではありません。都市部でも「(もう一人)子どもを産みたい
なぁ」と思える住宅環境の整備や、10組に1組とも言われる不妊で悩む夫婦
への不妊治療への健康保険適用の是非も含めて、私達国民の「安心できる環
境の中で、子どもを育てよう」という社会的土壌を、税制などの制度を通し
てどう後押ししていくのか――。
「1兆円の予算をどう確保するか」というより「何が一番求められているの
か」、ニーズを正確につかみ、その声に応える制度に予算をつけるようになっ
ていかねばならないと考えています。
この点では1年生議員と言えども、有権者の方々の意見や要望に耳を傾け発
言する者として、予算案を創っていくプロセスの中で、はっきりと主張して
いける機会があるのは、政権与党にいるからこその機会だと感じています。
現在は概算要求が出てきたばかり。これから年末まで、予算折衝の熱い議
論が続きます。その過程で感じたこと、理解したことなどを、今後も皆さま
に報告して行きますネ。
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「小泉首相北朝鮮訪問について私たちの態度」
吉川春子(参議院議員・日本共産党・比例)
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9月17日、小泉首相が北朝鮮を訪問しキムジョンイル(金正日)総書記
と会談し、10月中に両国間の国交正常化交渉を再開するとの「日朝平壌宣
言」に署名したことについて、私たちは、「重要な前進の一歩」と考えてい
ます。日本と北朝鮮が、これまでの敵対から協調に転換することが必要です。
同時に首脳会談の中で重大な事実が明らかになりました。北朝鮮が日本人
拉致を行っていたという事実は許すことが出来ません。私達はこの犯罪につ
いて強く抗議を表明しました。被害にあった方々がどんな扱いを受けたのか、
責任者は誰なのか等真相を徹底的に明らかにすること、厳正な処罰と被害者
への補償を要求します(日本共産党の志位委員長・記者会見)。
北朝鮮について言えば、ここは国際社会において国際ルールを守ってこな
かった国であるし、わが党も北朝鮮から無法な攻撃をずいぶん受け、この
20年近くは何の関係も持ってきませんでした。99年に社民党の元首相
村山さんが団長になって超党派で訪朝したとき、初めてわが党も参加しま
した。このときの話し合いで政府同士の交渉を始める道が開かれたわけです。
両国間には、拉致問題、テポドン問題など様々な問題があるし、またアメ
リカや中国、韓国は北朝鮮との交渉ルートも持っているのに日本だけが全く
対話のルートがないというのでは日本の利益にとってもゆゆしい問題です。
99年に不破議長が国会質問で交渉のルートを開いて問題の解決を図るべき
ではないかと政府を追及したのもこういう観点からです。
これまで自民党政府は北朝鮮を、ソ連崩壊後の軍備増強や有事法制立法化
の口実に利用してきました。また憲法9条にもかかわらず集団的自衛権行使、
自衛隊海外派遣を行おうとする与党等の議員の根拠にも度々使われてきまし
た。
憲法は侵略戦争を反省し国際紛争解決の手段として武力行使を禁じ、徹底
した外交交渉により解決すべき事を日本の義務としています。その立場から
まさに国交のない国と関係を正常化して国交回復めざして交渉をするレール
が開かれた意義は小さくないと思います。
私はこの夏ヨーロッパ各国を訪問しEUについても学んできました。ドイ
ツ・フランスが金輪際戦わないことをめざすところからスタートした「壮大
な実験」に触れ、また旅行の中で1月からの通貨統合の便利さ,EU参加国
の中の移動は日本人である私もパスポートの提示を求められないという、国
境の壁がなくなり、主権の制限も行われていることにも実際に触れて、感動
的でさえありました。
いつの日か、アジアも一つになって、パスポートなく旅行できる日がくる
のでしょうか。日朝正常化交渉が成功してほしいと願わずにはいられません。
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「北朝鮮を交渉の舞台にひっぱりだしたことを評価」
広中和歌子(参議院議員・民主党・千葉)
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9月19日、日本国中が注目する中、小泉総理の北朝鮮訪問が行われた。長
いこと懸案であった拉致問題を全面に押し出しつつ、北朝鮮との国交樹立交
渉を再開するための訪問ということであった。そうした大切な会合がたった
一日ということは驚きだったが、恐らく金正日総書記との中味の濃い会談が
予定されているのだろう。誰もが早朝から会談の行方に気をとられていた。
しかし、具体的な結果が出たのは午後もかなり遅くなってからで、私がそ
のニュースを聴いたのは車の中であった。13人中8人もの方が既に亡くなられ
ているということ、その中には横田めぐみさんや有本恵子さんが含まれてい
た。先国会中、外交防衛委員会で参考人としてお二人のご両親をお招きした
際、お子様の安否を気遣い、切々と訴えられていた姿を思い出し、胸がつか
えた。
次に両首脳が合意した会談の中身が読み上げられた。驚くべきことに、金
正日総書記は拉致問題を率直に認めた上で謝罪を表明。不審船問題について
も再発防止を約束、またミサイル発射実験の凍結期間の延長や核関連施設へ
のIEAによる査察受け入れにも明確な意志を示したという。これまでの北朝鮮
の行動、態度からは考えられない変わりようである。にわかには信じ難く、
私はこれをどう受けとめてよいのか、しばらく思考停止の状態になってしまっ
た。
アメリカのブッシュ大統領はその「悪の枢軸」発言で北朝鮮をイラク、イ
ランと共に名指しで批難し、その一つイラクへの武力攻撃をちらつかせてい
ることなど、その強硬姿勢の効果が北朝鮮に及んでいるのか、それとも北朝
鮮の経済・食糧事情がそれほど悪化しており、現体制のままでは国として、
立ち行かなくなっていることを示しているのか、あるいはその両方なのか。
いずれにせよ、今回の小泉総理の北朝鮮訪問、金総書記と交わした合意文書
は瞠目すべき内容を含んでいたと思う。
もっとも、北朝鮮がこの合意文書を守る意志が本当にあるのかどうかは、
これまでのこの国の態度や行動から見て皆目分からないし、それに何より、
拉致問題についても具体的に分かっていることは少なく、今後、彼らがいか
に誠意を持って、この真相を明らかにするかが第一であることは言うまでも
ない。
小泉訪朝によって、これまで喉にささった骨のように東アジアの平和と安
定にとって不安材料であった北朝鮮を、交渉の舞台にひっぱりだしたことは
大いに評価されるべきであり、今後日本が、金総書記体制下での北朝鮮の予
期せぬ変貌とどう向き合うのか、そして、彼らを国際社会のよき一員にどう
収斂させていくのかが日本外交の腕のみせどころである。
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編集後記 ロゼッタストーン・弘中百合子
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DV防止法ができたあとも、DVがらみの悲惨な事件は後をたちません。DV夫
が逃げた妻の親族を人質にし、幼い少女を刺殺した事件は、本当にショック
でした。どうすれば妻や親族が守られるのか、どうすれば加害者の意識が変
わるのか、千葉議員が外国で得た情報を、ぜひ、国政に生かしてほしいです。
有村議員は、「ヴィーナスはぁと」の数少ない与党議員。予算が決まって
いく過程など、積極的に情報提供してもらえればと思っています。今後の報
告が楽しみです。
北朝鮮訪問に関しては、与党のなかでも野党のなかでも評価が分かれてい
たようですが、吉川議員も、広中議員も、北朝鮮との対話が始まったことを
歓迎しているようです。
考えてみれば、永遠に崩れそうになかったベルリンの壁も、脱出者があい
つぐうちに、突然、崩壊しました。対話が始まり、風通しが少しでもよくな
ることで、北朝鮮が大きく変わってくれればなあ、と思います。
ご意見、ご質問は
vheart@rosetta.jpまでお願いします。
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「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧
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「ヴィーナスはぁと」に参加してくださったのは、次の次の16名(敬称略)の
方々です。
◇衆議院
川田悦子 (無所属・東京) 瀬古由起子(共産党・東海)
武山百合子(自由党・北関東) 松島みどり(自民党・東京)
水島広子 (民主党・栃木) 山内惠子 (社民党・北海道)
山口わか子(社民党・北陸信越)
◇参議院
有村治子 (自民党・比例) 井上美代 (共産党・東京)
岡崎トミ子(民主党・宮城) 小宮山洋子(民主党・比例)
千葉景子 (民主党・神奈川) 八田ひろ子(共産党・愛知)
広中和歌子(民主党・千葉) 福島瑞穂 (社民党・比例)
吉川春子 (共産党・比例)
詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーン
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各議員のWebページにもリンクしています。
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■次号予告
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次回は、川田悦子議員 瀬古由起子議員 山内惠子議員、水島広子議員が
登場します。
※登場する議員の顔ぶれは、変更する場合もあります。ご了承ください。
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発行人・編集人:弘中百合子
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