2002年4月25日発行(毎週木曜日配信)
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女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』 第23号
*** *** テレビや新聞などで「小泉総理就任1年」の特集を
*****v***** やっています。この1年ほど、政治が注目をあびた
*********** ことはなかったかもしれません。同時に、いろんな
********* 意味で、女性議員が大きく取り上げられた1年でもあ
******* りました。スキャンダルが過ぎれば、人々が求めるの
*** は、真面目な実直さだと思います。ヴィーナス議員た
* ちの本当の出番は、これからかもしれません。
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目次
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■ 医療制度改革についてー後編ー
川田悦子(衆議院議員・無所属)
■ C型肝炎について
山口わか子(衆議院議員・社民党)
■「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧
■ 編集後記
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医療制度改革についてーー後編ーー
川田悦子(衆議院議員・無所属・東京)
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前回に引き続き、医療改革についての川田悦子議員の意見を紹介します。
前編は、「アメリカの効率優先の医療には、大きな問題点がある」という指
摘でした。
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日本の医療はどこへ
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いま、政府は財政危機であり、このままではやっていけないと盛んに言っ
ています。果たしてそうなのでしょうか。私たちは保険料も納め、税金を払っ
てきました。ですから、なぜこれほどまで赤字になったのか、その原因をはっ
きりさせることが大事です。
外務省の機密費の一部が内部告発によって明らかになりましたが、秘密を
隠れ蓑にして税金が官房長官の思いのまま自由勝手に使われている事実がはっ
きりしました。鈴木宗男疑惑をはじめとする政治家、官僚が税金をくいもの
にしている実態も次々と明らかになってきています。このような不正に強い
憤りを感じます。私たちは、こんな不正な蓄財をおこなっている政治家や官
僚が進める「改革」を簡単に信じることはできません。
本来、社会の進歩と同時に社会保障がすすんでいくのが当然の道筋だと思
います。ところが、今世界で起きていることは、富の偏在がすすみ、圧倒的
多数者が飢えや医療が受けられないで死んでいるのです。つまり、まちがっ
た経済システムが横行しているということです。このような間違った経済シ
ステムに則った「改革」は「改悪」以外の何者でもありません。
医療が社会化できていないのは先進国ではアメリカだけといわれています。
戦後、日本はアメリカは偉大な国として、様々な制度を導入してきましたが、
アメリカの制度がすべてすばらしいものでないことを、私たちは今こそ冷静
に見ていかなくてはなりません。アメリカの光と影をしっかりと見る必要が
あります。日本の勤労者が築きあげてきた社会保障の水準を、アメリカを真
似て引き下げないようにしていかなくてはなりません。健全な財政を再建す
ることこそ、日本の政治家に求められているのだと思います。
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混迷に潜む危険性
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辻元清美議員、加藤紘一議員の辞職事件に象徴されるように、国会は狡猾
と腐敗、欺瞞に溢れ、政党が政党としてもはや成り立たないぐらい各人がバ
ラバラに発言し、混迷の極みに陥っています。
今、国会議員一人ひとりがどちらに向かっていけばいいのか当の議員自身
さえ混迷に陥っています。
一方、多くの人々はこのような国会疑惑、醜聞に対して、最初のうちは怒っ
ていても、繰り返される報道によって中毒現象が生じ、よりいっそう強い刺
激を求め、政治を政治ゲームとしてみていく傾向が大きくなってきているよ
うに思えます。
政治が混迷に陥り、ゲーム化してきたということは、政治だけでなく、経
済も教育も文化などあらゆるところでそのような状態になってきているとい
うことでもあり、このような状態が続いていくなら、「強いリーダー」待望
論がますます大きくなっていくことは必至です。
そしてそのリーダーが従来の声高な人でなく、「はっきり」、かつ「品よ
く」発言する政治家で登場してきたならば、圧倒的な国民的人気で一気に収
斂していく可能性があります。
しかし、ここで、私たちは重大なことに気づかなくてはならないと思いま
す。政治を「感性」で捉え、強いリーダーを待望することはファッショへの
危険性をはらんでいるということです。今、私たちに求められているのは、
落ち着いて深く考え抜くことであり、誰かに任せる政治でなく、粘り強く、
一人ひとりが政治をつくっていくことだと思います。
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命をまもりぬくこと
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昨年、9月11日のテロ事件以降、アメリカでは、ブッシュ大統領の人気が上
がりました。そしてバーバラ・リー議員一人を除いて、アメリカ議会は戦争
への道を賛成し、軍事費の予算がふやされました。そこで見落としてならな
いのは、社会保障費の削減がおこなわれたということです。
マスメディアもこぞって強いアメリカを賛美しています。しかし、貧富の
差がますます開き、弱肉強食の競争社会が展開されているのがアメリカの実
態です。多くの良心的医師が患者を前にして苦悩しているのがアメリカ医療
現場で起きていることです。
社会保障費の削減で良心的な医療機関はますます追い込まれていくでしょ
う。人々の中に貧困や失業、病気が蔓延していったとき、そのストレスを解
決する手段として、弱者がさらにいっそう弱い人々への虐待に手を貸してい
くことはナチスの時代が証明しています。
経済が不況におちいったとき、戦争という手段で克服しようとする道を選
択した国がありました。まさに過去の日本もそうでした。そして今、再び同
じ道をまい進しようという勢力が蘇ってきています。
社会保障費を削り、有事に備えて準備していくということが堂々と国会で
幅を利かしてきていることに、恐怖を感じます。社会保障費削減、有事法制、
司法改革問題、メディア規制と、着々と戦争の準備がおこなわれてきている
ように思えます。社会保障費削減と軍事費膨張、メデイアの言論統制は一体
です。
いまこそ、医療制度をよりよくしていく取り組みと、憲法9条を守りぬいて
いくことをしなくてはならないと決意をあらたにしています。
最後に一言付け加えてさせていただきます。辻元清美さん辞職事件は、私
にとって大きなショックでした。今でも腑に落ちないものがあって、気持ち
が晴れません。真相が明らかになっていない現在、きちんと整理ができない
のは当然ですが、何か巨大なものが動いているようにも思えてきます。でも
だからこそ、内向きにならないよう、気持ちを明るく持って、とりくんでい
かなくてはならないと叱咤激励しています。
薬害エイズでたくさんの子どもたちが死んでいきました、企業の利益を優
先した厚生行政の犠牲者です。一部の大企業(多国籍企業)の利益のために、
日本の政治が利用されないようにしていかなくてはなりません。
いま、政治は分岐点にきていると思います。良い方向に持っていけるか、
それとも暗黒の政治になっていくかの分かれ道です。その決め手は、観客型、
評論家型政治から、市民が参加・参画・参決(こういう言葉はないかもしれ
ませんが)する政治に!です。
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「C型肝炎について」
山口わか子(衆議院議員・社民党・北陸信越)
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看護士(婦)、保健士(婦)の資格を持つ山口議員は、国民の健康には、
特に関心があるようです。山口議員は、巷で話題になっている「C型肝炎」
について、詳しく説明してくれました。
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またも厚生労働省の重大な失政でC型肝炎が多発!!
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いま、非加熱の血液製剤によるC型肝炎の感染が人々の不安を増大させてい
ます。信濃毎日新聞によると、感染者は推定で100万人から200万人に上り、
「国民病」とさえ言われる深刻な状況になっています。
厚生労働省の調査によると、旧ミドリ十字(現三菱ウェルファーマ)の血
液製剤「フィブリノゲン」を投与された血友病以外の患者約400人のうち、半
数にC型肝炎ウイルスの感染歴が、4人に1人は治療が必要な状態になってい
ることがわかりました。
1970から80年代に非加熱製剤を使った可能性がある医療機関を厚生労働省
が公表し、検査を呼びかけているというのです。新生児出血症で治療のため
に投与された人が多いといわれており、薬害として国はしっかり受け止め、
早急に対策を立てることがあたり前ですが、またまた1977年に米国で製造中
止になったことを、ミドリ十字が1984年に旧厚生省に報告していたことが分
かりました。
しかし、厚生省はフィブリノゲンによる「集団感染」が表面化した87年に
ミドリ十字が非加熱製剤の自主回収を始めるまで3年間の間何の規制措置も
取っていなかったというのですから信じられません。
一方ミドリ十字も1977年に米国での製造中止直後に事実を把握しながら84
年まで厚生労働省に報告していなかったことが判明。結果として約十年にわ
たって対策がとられていなかったと報道しています。
エイズで日本中を不安のどん底に突き落とした事に対し、いったいどんな
反省をし、謝罪をしたのでしょう。命に関わる行政はいくら慎重に行っても
し過ぎということはありません。あまりにも危機意識の無い無責任体制には、
あきれ果てます。無意識に人殺しをしている、罪の意識などかけらもない最
も悪質な犯罪ではないでしょうか。
C型肝炎はウイルスを含む輸血や、同じ注射針を何人にも使うことで感染し
ます。そして感染に気付かず、相当悪くなるまで自覚症状が無いのが特長で
す。20年から30年後に肝硬変や肝臓ガンになる人が多いのです。
長野県では、1981年からウイルスによる肝炎、肝硬変、肝がんの患者に医
療費の自己負担を月一万四千円を限度に公費で負担しています。このような
制度がある県は東京などを含め全国で5都道県だけです。昨年長野県は、患者
数4274人に給付をしました。しかし、厚生労働省が今年度からC型肝炎の検査
をする計画で、さらに感染者が約1400人も増える見込みということから、給
付の見直しも検討しているというのです。
しかし、どんなに治療費の負担が受けられても、厚生労働省の重大な失政
によりC型肝炎にかかるというぬぐい去ることの出来ない大きな犠牲を出した
ことは、消えさることなど絶対にありません。エイズやヤコブの大きな犠牲
が全く生かされていないことを、重く受け止め、二度とおこらないよう最大
限の知恵を出し、きちっと公費で治療を行うよう、精神的な保障を含め政府
に迫っていきたいと決意しています。
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「ヴィーナスはぁと」参加議員一覧
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「ヴィーナスはぁと」に参加してくださったのは、次の16名の方々です。
詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、ロゼッタストーン
ホームページで公開しています。⇒ http://www.rosetta.jp/
◇衆議院
川田悦子 (無所属・東京) 瀬古由起子(共産党・東海)
武山百合子(自由党・北関東) 松島みどり(自民党・東京)
水島広子 (民主党・栃木) 山内惠子 (社民党・北海道)
山口わか子(社民党・北陸信越)
◇参議院
有村治子 (自民党・比例) 井上美代 (共産党・東京)
岡崎トミ子(民主党・宮城) 小宮山洋子(民主党・比例)
千葉景子 (民主党・神奈川) 八田ひろ子(共産党・愛知)
広中和歌子(民主党・千葉) 福島瑞穂 (社民党・比例)
吉川春子 (共産党・比例)
計16名(敬称略)
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編集後記
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現在、ロゼッタストーンのホームページ(http://www.rosetta.jp)では、
「ミニ世論」というコーナーで、「憲法改正」について取り上げています。
昨年秋にとったアンケートでは、なんと「憲法改正派」が約6割。「時代に
合わせて憲法を変えていくべき」という声が多かったのです。一方で、「戦
争放棄している憲法を変えないで」という声も根強いようです。
「憲法改正」に対する賛成の割合は、「選択的夫婦別姓制度」に賛成する
人の割合とほぼ同じでした。この6割という数字を、みなさんは、どう考え
ますか?
憲法記念日も近づいてきました。有事法制についての法案も閣議決定され
ました。というわけで、「ヴィーナスはぁと」でも、次回は「憲法」と「有
事法制」を中心に女性議員の声をお届けしようと思います。
日本の未来にかかわる重要な問題です。みなさんの意見もどうぞお聞かせ
ください。
(ロゼッタストーン・弘中百合子)
ご意見、ご質問は
vheart@rosetta.jpまでお願いします。
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■次号予告
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次回は「憲法」「有事法制」など、法がらみの話題を取り上げます。ご意見、
ご質問、お待ちしております。
◆千葉景子 (民主党)
◆瀬古由起子(共産党)
◆吉川春子 (共産党) ほか
※回答議員は変更になる場合もあります。
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女性国会議員メルマガ『ヴィーナスはぁと』
編集長:ロゼッタストーン 弘中百合子
発行 :株式会社ロゼッタストーン
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