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高清水美音子氏
(NPO法人カプラー@せたがや国語力向上委員会委員長)


●疑問を持ち続けてほしい

福沢諭吉『独立のすすめ』を読んで、「自分の素直な感動」が書けた作品に好感を持ちました。「こんな言葉に打たれた」「そういう考えもあるのだと学んだ」という肯定派が多く見られましたが、そこで終わるのではなく、さらに一歩踏み出した自論を論理的に、根拠を持って展開してくれた作品を評価しました。

例えば、
 「諭吉からこんなことを学んだ。だから、自分は具体的にこんな行動をしていきたい。なぜかというと……」
  と、いった作品です。諭吉の考えたことから、自分が学んだこと、そして自分ができること、それを実行することで、どんないいことがあるか――。とても説得力があり、しかも中高校生に実現可能なことで、読み応えがありました。

また、異論、反論、疑問を持った作品にも注目しました。
  お札の顔になっている福沢諭吉ですから、彼に一言申し上げるなどとんでもない……と思った方も多かったでしょう。しかし、100年以上も前の偉人です。世の中の状況がまったく変わった平成時代を生きる皆さんには、違和感もあって当然です。そこをあえて書いた作品をいくつも目にして、肯定すべき(?)とされていることに対し「疑問」を持つ中高生がいたことを、頼もしく思いました。

テレビや雑誌、新聞が書いていること、親や大人が言っていることが、すべて正しいとは限りません。情報を、鵜呑みにしない考え方は、これから、先がわからない世の中でとても大事だと思います。
  「本当に正しいのか」「間違っているのではないか」「どうしたら正しいことがわかるのか」。中高生だから感じる疑問、違和感、そういうモノの見方、考え方は、もしも誰かに頭ごなしに否定されても、いつまでも持ち続けてほしいと思います。

疑問を持ち続けることで、いつか本当のことがわかることもあります。その瞬間は、心から感動します。そうだったのか――と。そういう瞬間は、子どもの頃からの疑問を忘れない限り、長い人生の中でたくさんあります。
  そう考えると、人生なかなか楽しいです!たくさん疑問を持って、いろんな考え方をしてみるって、お金がかからない一番の脳の楽しみ方じゃないかな?と思います。

大人には思いもよらない発想、意見、考えを、たくさん読ませていただけたことに感謝いたします。






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