●選んだテーマ「政治」
私は感想文を書くにあたり、福沢諭吉という人物がどのような考えを持っているのか知らなかったので「独立のすすめ」を全て読みました。その中でも、「政治」という章について感想や意見を書かせて頂きます。
まず諭吉は、国民は政府の「主人」であり、「客」でもあると述べています。客である国民は政府が定めた法律が不正や不便だと思っても逆らわず、政府を説得するように、と諭吉は述べています。確かに国民の大半は政府に政治を任せているのですからそれに従うのが普通です。しかし、国民にとって不便だと思うものまで我慢すべきだとは思いません。政府が正しいと思って定めた法律を改正しろと説得しても、果たして素直に聞き入れてくれるのだろうかと、私は考えます。
「主人」である国民は国を守るための費用や税金をきちんと支払うべきと述べられていますが、これには大いに賛成です。国をつくるのは政府であり国民であるのだから、自国を守るためにお金を払うのを渋る必要はありません。
次に諭吉は、暴政を行う政府に対する行動を三つ述べています。その二つ目の策に「力で政府に対抗する」、いわゆる内乱があります。いささか野蛮だと私は思いますが、政府が国民の意見を聞き入れない時や、解決策が見出せない時は最適な手段なのかもしれません。しかし内乱により世間は荒れてしまうし、諭吉の言う通り政治の良い所も悪い所も、全て壊すことになってしまいます。内乱により一時的に暴政はなくなるかもしれませんが、これでは根本的な問題の解決にはつながらないと思います。もし次の政府がまただめなら、再び内乱を起こすのでしょうか。きりがありません。
これらは昔のやり方ですが、現代ならどうでしょう。国民は政府に不満を言うばかりで解決策など口にしません。その点を見ると、昔の人々は自分や自分の生活のために、少なからず行動をしているので、そこは良い点だと思います。今も昔も政府に頼りきりなのは同じですね。
三つ目の策として「身を犠牲にして正論を守る」とありますが、私はこの事については賛成できません。諭吉は、身を犠牲にして正論を唱えていれば役人に同情の心が生まれる。その心から自らの過ちを悔い、改心するだろうと述べています。私はひねくれた考えをする傾向がありますから、一体こんな役人が現れるものか、理想もはなはだしいと思いました。政府とは、国民にとって住みやすく暮らしやすい世界をつくらなければなりません。なのに、国民が、不便なことを我慢しなければいけないというのはどうかと思いました。それに、国民全員に充分な知恵があり正論をもっているとは言い難いでしょう。正論など分からないような人々が、先程のような内乱を起こすのではないでしょうか。
しかし、三つの策の中では、やはり三番目のものが一番適切だとも思います。意見が矛盾しているようで申し訳ありません。ただ、自分を犠牲にする事はやめてもっと主張すべきだとは思います。正論というのも、一人で考えるのではなく大勢の人の意見を聞いた上で考えても良いと思いました。
最後はずいぶん否定的になってしまいましたが、私は福沢諭吉という人は、とてもかしこい人なんだと思いました。世の中の物事や道理をよく知り、冷静に世間を見ています。私は本の中の十四章分しか読んでいませんが、これだけ世間を理解して自分の意見をもっているということに、素直に尊敬します。
|