シネマの達人 ―最新映画星取表― バックナンバー一覧
【バックナンバー vol.6】

猟奇的な彼女
ボーン・アイデンティティー
ウエルカム!ヘブン

星の点数 :  = 1 = 0.5
シネマの達人が選ぶ2002年ベストテン
外国映画 日本映画
ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ ハッシュ!
マルホランド・ドライブ Dolls
ドニー・ダーコ 笑う蛙
バーバー KT
アモーレス・ペロス とらばいゆ
ノー・マンズ・ランド カタクリ家の幸福
ロード・オブ・ザ・リング 刑務所の中
シッピング・ニュース 荒ぶる魂たち
少林サッカー ピンポン
10 息子の部屋 理髪店主のかなしみ
10 ドリアン・ドリアン    
10 ザ・ロイヤル・テネンバウムズ    

「アカルイミライ」

黒沢清監督の語る「未来」について。「未来とは、現在のすぐ先に黒々と横たわっている嵐のような時間のことだと思う……その暗黒の嵐にしか見えぬものは、 アカルイに決まっている」。「未来」という大きなクエスチョンマークの周りを登場人物たちがぐるぐる周り、自分なりの答えを他者とコミュニケートさせていく。 わかり合えないとしても、あえて伝えようとする言葉や行動はこれまで見られなかったものだが、個人的には少し過剰で不用なものに映った。 黒沢映画の魅力でもあった「わかりにくさ」に意味を見つけていた人には好みが分かれる。パンフレットの方は出演者が発したいい言葉がたくさん集められていて、 作品と切り離しても面白く読めますよ。ぜひ。
(高野麻結子)


猟奇的な彼女

監督:クァク・ジェヨン
出演:チョン・ジヒョン、チャ・テヒョン
猟奇的な彼女

山本聡子 
  ★★★☆
笑いのセンスが合う人と合わない人と分かれる映画だと思いますが、私の場合はバッチリ合いました。息つく暇がないくらい笑ってました。 こんな女の子がいたら面白いだろうな、というのを全部映像化してしまった感じ。胸に傷を負った“猟奇的な”彼女と、ひたすら彼女を喜ばせようと尽くすキョム。 言ってしまえばただのラブコメ。ストーリーは単純で、もしも彼女がブスだったら成り立たない話だと思うけれど、その単純さがよかった。 素直に2人の幸せを願ってしまいました。最後のオチも、まんまとやられた感じです。
にしかわたく   ★★★★
またしても韓国映画に直球で三振取られた。フツーのラブコメなのにめちゃめちゃ面白い。猟奇的な彼女と耐える彼氏。 M男代表の私としては否応もなく彼氏に感情移入してしまった。わかる、わかるぞその苦労!うくく。 韓国ではマッチョな男性が多そうだからこの話がすごく新鮮だったんだろうけど、日本では普通だぞ。男尊女卑も亭主関白も今や死語。 「猟奇的な彼氏」はどこへ行ったやら・・・。立ち上がれ、か弱き日本男性!酒乱の女性を許すな!(う、嘘です。殴らないで・・・痛い!痛いってば!)
岩崎真一   ★★★★☆
誰もが観終わったあと爽やかないい気分になること受けあいのラブコメディ。強気だが内面には弱い部分もある女と、 それを受け止めていく男という設定も現代的で、笑いの演出もなかなか巧みだ。韓国の映画賞を総ナメにしたという主演女優はもちろん魅力的だが、 個人的には相手役の俳優のコミカルな演技のうまさに目を引かれた。ストーリーの良さと女優の魅力を最大限に引き出す彼の芝居がヒットの理由の一つであろう。 しかしこの映画が今までそれほど注目されていなかった韓国から出てきたのは驚きだ。日本映画も頑張らなくては!
古東久人   ★★★☆
「猟奇的」とは、韓国では「ちょっと変わっているけど、イケてる」というような意味らしい。主演のチョン・ジヒョンが、とにかく可愛いですね。 記者会見で本人を目の当たりにし、ますます惚れました。映画もなかなかユーモアのセンスがあってよろしい。 でも、一見、ヌーボーとしたキョヌの存在があってこそ、彼女が活きたわけだから、本当はチャ・テヒョンの功績も讃えてやらなくてはなりません。 それと猟奇的な彼女の父親もいい味を出している。サントラを買って聴いていますが、ハングルのポップスというのもオツなものです。

ボーン・アイデンティティー

監督:ダグ・リーマン
出演:マット・デイモン
ボーン・アイデンティティー

Nidaタキグチ 
 ★★★
M・ディモンに惚れさせるために作ったような映画だ。筋肉質の肉体美、頭脳明晰、しかも偶然居合わせた女を守りぬく誠実さ。 あとは気の利いた冗句でも言えたら女性はみな失神してしまうのである。「リプリー」での不気味さは一蹴された。 連れの女役に、ブロンド髪でない「ラン・ローラ・ラン」のF・ポテンテで正解。気骨のある彼女の存在で、アウトローな雰囲気にも。 終始シリアスな表情のマットだが最後はとびきりの笑顔に。うっ、やられた、参りましたっ!それにしても、こんなに完璧な彼がそもそもなぜスパイなんかに? CIAの陰謀描写がありがちでやや残念。アイデンティティーというよりむしろ「チェーシング・ボーン」が妥当な感じか?
中沢志乃   ★★★
漆黒の海に浮かぶ一人の男。運良く近くを通った船に引き上げられ意識を取り戻した彼は、それまでの記憶を失っていた。 そして男の自分探しの闘いが始まる…のだが、戦い出した彼は強い強い。冷静沈着な判断とスピード感溢れる格闘技。まさに無敵。 おんぼろミニでのカーチェイスに猟銃での対決も手伝って、フランス映画や香港映画がうまくハリウッド映画としてブレンドされた感があった。 階段からのダイブは正に「すっげー!」最後に暴かれるシリアスな闇の真相…が、軽ーく流されちゃってるのが気になったが、そこはそうそう、アメリカ映画。 何も考えず娯楽として楽しもう!
にしかわたく  ★★★★
「あのマット・デイモンがかっこよく見えるらしい・・・」そんな信じ難い噂を耳にした私は独自に調査を開始。ジミー大西に激似のあの風貌。 『リプリー』でのブリーフ海パン姿。「まさか・・そんなはずは!」意を決した私は危険覚悟で映画館へ。げっ・・・かっこいいじゃんマット! お話は普通なんだけど見せ方がうまいからぐいぐい引っ張られるし、アクションやカーチェイスも派手さはないけどぴりっと締まってる。 何より演出に無駄がないのがいい。マット嫌いの人、だまされたと思って見てごらん!(ファンの方すみません)
増田統   ★★★☆
マット・デイモンの身体性がこのミステリー・アクションをリアリティあるものにする。ボーンの心の彷徨に相伴する我々にとって、 何よりスリリングなのは一見、茫洋そのものの彼が、一瞬にして凄みある殺し屋に変化するそのリアクションだ。 頭脳ではなく肉体に刻み込まれた生存本能が彼を衝き動かし、その生命の重さが殺人マシーン“Bourne”のNEW“Born Identity”となるストーリーテリングの妙。 そんなデイモンの相棒役をしっかと引き受けるフランカ・ポテンテから現代風ボヘミアンの佇まいを引き出した監督ダグ・リーマンの映画的センスにも脱帽!

ウエルカム!ヘブン

監督:アグスティン・ディアス・ヤネス
出演:ペネロペ・クルス、ビクトリア・アブリル
ウエルカム!ヘブン
3/8〜3/21 テアトル梅田(大阪)、
シネリーブル神戸(神戸)

中沢志乃 
  ★★
天国の使者と地獄の使者が1つの魂を奪い合う…そんなような謳い文句に興味を引かれてこの映画を見た。相変わらずペネロペは綺麗だし、 バンカラ(?)な行動も歩き方にムリはあるものの、まあまあだ。クライマックスは天国?地獄?とハラハラするし、 オープニングの映像とUFO的エンディングの曲も良かった。英語が公用語の地獄の長がヒスパニック系の設定も(地上はスペイン語、天国はフランス語) スペインvsヒスパニックの世相を反映しててウイットに富んでいる。実は、今ひとつまとまりがない感じではあるが、ガエルはキュートだし、 スペイン映画の斬新さを見るには○。
山本聡子 ★★
天国からの使者、アブリルと地獄からの使者、ペネロペが1人のパッとしないボクサーを巡って対立。でも、地獄の事情が変わって今度は協力、という話。 複雑な展開のわりには面白くなく、コメディとしても全然笑えない、なんとも中途半端な感じです。 地獄の象徴をアメリカ、天国の象徴をヨーロッパ的なものに設定し、ブラックユーモアをこめたなにかを伝えたいのだろうけど、 旨くエンターテインメント化しきれていない。ただ、ペネロペのちょっとお下品な役どころが、スペイン時代に戻ったようで、嬉しかったです。
にしかわたく   ★★
う〜ん・・・頭悪い人が複雑なことやりすぎてしまった感じの映画。ヤネス監督の前作『死んでしまったら誰も私のことなんか話さない』は やけくそなパワーがあって面白かったのに。こういうの、向いてないんじゃないですか。しかし映画がつまらない分、ペネロペ・クルスの魅力が際だってました。 ストーリーに関係なく、画面に出てくるだけで幸せな気分に。中指立てた彼女に敵う人間は世界中に一人もいません。 ハリウッドに来てからおしとやかな役ばっかりでしたが、ペネロペはやっぱりビッチ役が一番似合うのだ。
古東久人   ★☆
話題の本「天国の本屋」でちょいといい気分になり、そういやかつて「天国から来たチャンピオン」という名作もあったし、 東京新聞ではコメディと紹介されていたので、期待していったらちっとも笑えないし、感動させてもくれなかった。 それでも最後までなんとか観られたのはペネロペの魅力に負うところが大きい。映画はたいてい監督で観るのだけれど、 「天国」という題材とペネロペに惹かれて観たのが失敗だった。天国ならぬ、地獄へ招かれてしまいました。

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