Nidaタキグチ ★★★
M・ディモンに惚れさせるために作ったような映画だ。筋肉質の肉体美、頭脳明晰、しかも偶然居合わせた女を守りぬく誠実さ。 あとは気の利いた冗句でも言えたら女性はみな失神してしまうのである。「リプリー」での不気味さは一蹴された。
連れの女役に、ブロンド髪でない「ラン・ローラ・ラン」のF・ポテンテで正解。気骨のある彼女の存在で、アウトローな雰囲気にも。 終始シリアスな表情のマットだが最後はとびきりの笑顔に。うっ、やられた、参りましたっ!それにしても、こんなに完璧な彼がそもそもなぜスパイなんかに?
CIAの陰謀描写がありがちでやや残念。アイデンティティーというよりむしろ「チェーシング・ボーン」が妥当な感じか?
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中沢志乃 ★★★
漆黒の海に浮かぶ一人の男。運良く近くを通った船に引き上げられ意識を取り戻した彼は、それまでの記憶を失っていた。 そして男の自分探しの闘いが始まる…のだが、戦い出した彼は強い強い。冷静沈着な判断とスピード感溢れる格闘技。まさに無敵。
おんぼろミニでのカーチェイスに猟銃での対決も手伝って、フランス映画や香港映画がうまくハリウッド映画としてブレンドされた感があった。 階段からのダイブは正に「すっげー!」最後に暴かれるシリアスな闇の真相…が、軽ーく流されちゃってるのが気になったが、そこはそうそう、アメリカ映画。
何も考えず娯楽として楽しもう!
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にしかわたく ★★★★
「あのマット・デイモンがかっこよく見えるらしい・・・」そんな信じ難い噂を耳にした私は独自に調査を開始。ジミー大西に激似のあの風貌。 『リプリー』でのブリーフ海パン姿。「まさか・・そんなはずは!」意を決した私は危険覚悟で映画館へ。げっ・・・かっこいいじゃんマット!
お話は普通なんだけど見せ方がうまいからぐいぐい引っ張られるし、アクションやカーチェイスも派手さはないけどぴりっと締まってる。 何より演出に無駄がないのがいい。マット嫌いの人、だまされたと思って見てごらん!(ファンの方すみません)
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増田統 ★★★☆
マット・デイモンの身体性がこのミステリー・アクションをリアリティあるものにする。ボーンの心の彷徨に相伴する我々にとって、 何よりスリリングなのは一見、茫洋そのものの彼が、一瞬にして凄みある殺し屋に変化するそのリアクションだ。
頭脳ではなく肉体に刻み込まれた生存本能が彼を衝き動かし、その生命の重さが殺人マシーン“Bourne”のNEW“Born Identity”となるストーリーテリングの妙。
そんなデイモンの相棒役をしっかと引き受けるフランカ・ポテンテから現代風ボヘミアンの佇まいを引き出した監督ダグ・リーマンの映画的センスにも脱帽!
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