シネマの達人 ―最新映画星取表― バックナンバー一覧
【バックナンバー vol.5】

シャーロット・グレイ
マイノリティーリポート
スコルピオンの恋まじない

「船を降りたら彼女の島」

四国特集の某旅行誌の仕事で、徳島出身の俳優、大杉漣さんを取材した。穏やかな人であった。 今や映画、テレビにに大活躍だが、この最新作では主演木村佳乃の父親役で準主演。本作では結婚を間近に控え帰郷した娘と父の心の交流が抒情豊かに描かれている。 この映画の大杉さんを観ていると、「東京物語」の笠智衆が思い出される。 北野映画の大杉さんもいいけれど、この映画のあるがままの演技を観るべし。監督は磯村一路。2月に有楽町スバル座ほかで公開。(古東)
星の点数 :  = 1 = 0.5
シャーロット・グレイ

監督:ジリアン・アームストロング
出演:ケイト・ブランシェット、ビリー・クラダップ

中沢志乃 
  ★★★★
自分でいることの大切さ、自分でいられることの幸せを描いた映画。戦争の惨さを伝える立派な戦争映画であり、 なんといってもケイト・ブランシェットが凄い!彼女の七変化振りには映画毎に驚かされるが、今回はきっちり、 1940年代の若くて綺麗で多感な英国女性になりきっていた。最後の笑顔は最高にチャーミングだし(改めて彼女が売れっ子の理由を実感) その前に石垣の横を歩く姿は実は貫禄たっぷりの“あねさん”。真の彼女の魅力がこれまでに無いほど、めいっぱい溢れている映画だ。 景色も美しくカメラワークも良く(橋、見て!)全ては書き尽くせない。見るしかない!
山本聡子   ★★★
恋人に会えるかもしれないと、軽い気持ちでドイツ占領下のフランスへパラシュートで降りたったシャーロット。 レジスタンス運動に関わり、過酷な戦争を通して逞しく、強い女へと変わっていく。ストーリー展開にそれほど真新しさはないが、 見せつけられる戦争の理不尽さ、登場人物の生き様には、じわじわと胸に差し迫るものがある。 特にジュリアンがドイツ軍の戦車に向かって訴えるシーンが印象的だった。平和ボケした今の日本人に少しでも刺激となれば。 シャーロットが選んだ“希望”という言葉が、見終わった後に頭に浮かんだ。欲を言えば、少しぐらい笑える場面があってもいいかなあ。
岩崎真一   ★★★★
この映画、事情があって最初はこの評に取り上げる予定ではなく、急遽決定した経緯もあってあまり期待していなかったのですが…なかなかの秀作でした。 第二次大戦中、イギリス人女性が恋人を追ってナチス占領下のフランスへスパイとして渡って…という筋ですが、 戦争を扱うからといって話に必要以上の重さはなく、主人公(シャーロット・グレイ)の波乱万丈の物語が2時間飽きさせずに続きます。 知らなかったヨーロッパの歴史も一緒に学べてお得かも。大人が観るに耐える映画ですね。 しかし「自分探しをする女性の話」的な宣伝文句はちょっと違うのでは。

マイノリティーリポート

監督:スティーブン・スピルバーグ
出演:トム・クルーズ、コリン・ファレル
マイノリティーリポート

山本聡子 
 ★★
前評判につられて見に行きましたが、久々の大作、やはり疲れました。発想は面白いと思うけれども、ストーリー自体はツメが甘いような気がします。 スピード感溢れる展開とトム・クルーズの体当たりの演技はやっぱりかっこいいし、近未来の都市生活の細部に渡った演出は面白かったけれども、 結局、何が言いたいのかイマイチ理解できずに終わってしまった。やっぱり人間が一番大切ということらしいですが。 願わくば、こんな住みにくい時代が訪れなければいいなあ、というのが素直な感想です。
にしかわたく  ★★
スピルバーグはどっちかって言うと好きな監督で、失敗作と言われた『太陽の帝国』でも『A.I.』でも僕は涙しました。 しかし世間では評判のいい今回の映画、僕は全然ダメでした・・・。監督は「フィルム・ノワール(暗黒映画)」という言葉を使っていますが、 どーやっても暗くなりきれない性格なんだよ、あんたは!(どーしてあそこでハンバーグ燃やすかな!?) 『ブレードランナー』や『未来世紀ブラジル』で育った筆者には、ぬるくてぬるくてしょーがありませんでした。 お願いだから『ジョーズ』みたいな怖い映画また作ってくれー!
NIDAタキグチ  ★★★★
スピルバーグとトム・クルーズがタッグを組んだのである、面白くないはずがない。と、斜に構えてクールに観たはずが、見事にハメられてしまいました。 原作者のF・K・ディックがむしろすごいのだと思います。彼の他の作品も読んでみたくなりました。「ドラゴンボール」(?)で見たような近未来の風景や、 アンモナイト型の捜索官の乗り物が興味深かった。トムは顔面醜男役が意外と好きなのか?「バニラスカイ」に続き、またもや…。
岩崎真一   ★★★☆
スピルバーグとトム・クルーズという当代きっての監督と役者が四つに組んだハリウッド大作。 幅広い層へのアプローチを狙ったためにつまらなくなるということもなく、楽しめる作品に仕上がったのはやはりスピルバーグの底力か。 『AI』の時のなんなのこれは、というやるせなさは微塵もない。ただし友人や恋人と観てそこそこ楽しめる、 いわゆるハリウッド映画としての楽しさであって、心に残るものはないです。そういう意味では☆3つ半が精一杯か。 ところでマイノリティなはずの結果が短い時間に2つ続いて話が終わるのは、やっぱりお約束なの?
古東久人   ★★★
P・K・ディックの原作は短編ということだが、この映画は2時間25分までに、肉付けされ、なかなか凝ったストーリーに仕上がっている。 ハラハラ、ドキドキしながら楽しめるけれど、まあ手堅いところで、まとまった映画という印象。このようなハードSFは好きなジャンルだが、 「時計じかけのオレンジ」や「未来世紀ブラジル」を観ていると、この程度では物足りないし、さして驚きもしない。もっと何かを期待してしまった。

スコルピオンの恋まじない

監督:ウディ・アレン
出演:ウディ・アレン、ヘレン・ハント、シャーリズ・セロン
スコルピオンの恋まじない

山本聡子 
  ★★★
相変わらずの引きもきらぬウィットに富んだ会話の連発には脱帽です。主人公の保険調査員の彼(名前はもう思い出せません)は一体何才なんでしょう。 見たところ、あんなに冴えないおじさんなのに美しい若い女性とキスはするわ、ベッドに誘われるわ、ゴールインしちゃって。 ウディアレンじゃなきゃ世間は納得しないでしょうが、彼ならいいかな、という気になってくるのがすごい。 今年68歳になる彼には1才つと2才の子供がいるとのこと。あのままの精力バリバリのおじさんで面白い映画を作りつづけて欲しいものです。 肩肘張らずに楽しめました。
にしかわたく ★★★☆
村上春樹の小説の主人公とウディ・アレンはなんだかんだ言っていっつもモテモテだ。核戦争が起きても、 釈由美子がメカゴジラに乗ってもそれは変わらない。「まーたやってるよ・・・」と苦笑しつつも毎回見てしまうのは、 この人が誰よりも映画を愛していて、映画の中にしかない幸せをずっと追っかけていることが観客に伝わるからだと思う。 この映画には昔『アニー・ホール』で見せたような天才のきらめきはないけれども、 彼にしかできないやり方で「映画は永遠だ」ということを語っているように感じた。
NIDAタキグチ   ★★☆
先が読めてしまうストーリー展開は、安心できるけど、炭酸の抜けたコカコーラのよう。音楽も予想した時にちゃんと流れてくる…。 定番すぎるから、休日の100分を本作で埋めるのはつらいかも。でも二日酔いの翌日に家でゆったり横になりながら見るにはちょうどよい。 「違うな」と思ったのは、ウディ・アレンが美女に囲まれたおいしい役で、しかもラストで意中の彼女を手に入れてしまうところ。 「女心はそんなに簡単じゃないわよっ!」と、つい独りごちた。
古東久人   ★★★
「マダガスカル」と「コンスタンチノープル」のまじないで、恋に落ちる男と女。アレンは主人公をトム・ハンクスにやって欲しかったらしい。 そのほうがより映画らしくはなったか。さして何かが残るわけではないが、観ている間は幸福な気分に浸れる。 時にうっとうしく感じられるアレンの演技も今回は控えめ。軽妙な音楽もマッチしていた。軽妙洒脱な一品である。でもやっぱり年を取ったなあ。 若い女性と恋をするという設定は苦しい気もするけど。

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