Nida タキグチ ★★★★
ハル・ベリーのセックスシーンが印象的。文字通り体当たりの演技はすばらしいけど、長すぎません? と個人的には思う。夫と子を同時期に失くして絶望の淵に立つ女、一方、息子を愛せなかったことを後悔する人種差別主義の男。
二人の心の暗鬱を“息もできない苦しみ”と表現しているのがいい。衝撃的事実を知り、失意の女が見たものは彼の息子のお墓だった。 愛しはじめた男もまた同じ穴の狢であることを悟り、ゆるやかな上昇気流の優しさで終焉。ラストの心の動きが美しい。20代後半以降におすすめ。
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山内彩子 ★★★★
お子ちゃま向け映画に占拠されてしまったハリウッドが久々に放った、酸いも甘いも噛み分けた大人のための映画。 ハル・ベリーが、黒人として初のアカデミー賞・最優秀主演女優賞を受賞したことでも話題になったけれど、
ラストで彼女が見せる愛情、絶望、希望などあらゆる感情がこめられた表情を見れば、受賞は当然と納得。 でも、それにも増して素晴らしいのがビリー・ボブ・ソーントンの抑制された演技!
もう少し人生経験を積んでから、改めて観てみたい。
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高野麻結子 ★☆
「喪失と償いについての映画」と監督は言うが、結局主人公は自殺により息子と、老 人ホームに入れることで父親と決別し、自分が求める愛だけを追いかけていく。その点で償い
とは何か、という問いに辿り着いていない。 原題のMonster's Ballは「処刑前の馬鹿騒ぎ」という意味だが、邦題のせいで全体がより甘く感じる。 良かったのは死が日常の一部として
静的に描かれていることとアメリカのアイスは大味だけどたっぷりあって大満足、という2点。
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古東久人 ★★★★
「チョコレート」という邦題が絶妙だ。主人公の肌の色、息子の好物、そして愛し合うことになる中年白人男性の好物もなぜかチョコアイス。 ビターな味わい。しかし、ハル・ベリーが美しすぎるため恋愛ドラマとしては予定調和。もし美しくない女性が主人公だったら、ドラマになったかどうか。
男と女が反発しながらもわかり合うようになっていく過程は無理がなく、共感できた。
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