真夜中の虹(page 97/280)[真夜中の虹]
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概要:
97き場所はコンクリートの壁だった。なぜ「下り」しかないのだろうか…。しかし、そのときはそんなことすら考える余裕もなく、急いで階段を駆け下り....
97き場所はコンクリートの壁だった。なぜ「下り」しかないのだろうか…。しかし、そのときはそんなことすら考える余裕もなく、急いで階段を駆け下りた。一階だけ下りると、階段はそこで終わっていた…。ダメだ。頭がパニックを起こし、急いでナースステーションを探す。でもない…、ナースステーションも病室も、何もかも…。両側には、壁しかない…。気がつくと冷や汗で着ていた服がびっしょりと濡れていた。こまった…どうしよう…、このままここから出られないのか…。頭の中は、すでに良くないことを考え始めていた。そのときだった。廊下を曲がる手前のベンチに、誰かが腰をかけている。よかった…、この人に出口の場所を訊けばいい。とにかくホッとして、足早に近づいた。その人は灰色の服を身に纏まとった、立ったら背の高そうな女の人だった。