真夜中の虹

真夜中の虹(page 94/280)[真夜中の虹]

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94第一七話「祖父」両親を失った僕は東京に戻り、劇団という集団幻想に逃げ込んだ。そこには傷口をなめてくれる仲間たちがたくさんいて、毎日の活動に身を預けることで、自分は大丈夫だと誤魔化すことができ....

94第一七話「祖父」両親を失った僕は東京に戻り、劇団という集団幻想に逃げ込んだ。そこには傷口をなめてくれる仲間たちがたくさんいて、毎日の活動に身を預けることで、自分は大丈夫だと誤魔化すことができた。その頃、以前、僕たち劇団員を映画に使ってくれた石井總互監督から、次回作の主役にどうかという話が来た。原作は大友克洋(後に傑作「AKIRA」を生む)の短編漫画「RUN」。音楽は巻上公一(後のヒカシュー)。共演は森達也(後のドキュメンタリー作家)、室井滋(後の名女優)、武田久美子(後のグラビアアイドル)、荒戸源次郎(後の映画界のヤクザプロデューサー)。撮影は笠松則通(後の日本映画界屈指のキャメラマン)、助監督は緒方明(後の「独立少年合唱団」等の監督)、サード助監督は阪本順治(後の「どついたるねん」「顔」等の監督)。いまでは錚そうそう々たる面々だが、当時は皆無名だった。名もなく、貧しく、鋭く、そしてギラギラとしていた。室井滋は、まだ早稲田の学生で、当時は自主映画の女王と呼ばれていた。彼女とふたりで喧嘩をするシーンでは、監督のカットが掛かるまで本気で掴つかみ合った。終わった後に手のひらを