真夜中の虹

真夜中の虹(page 93/280)[真夜中の虹]

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93「…そうか、疲れたか、人間…」「…うん」なんとなくだけど、切ない表情の意味がわかった。「オレも疲れた、東京…」正直ホントに疲れていた。「一緒に行くか、北海道」最後の言....

93「…そうか、疲れたか、人間…」「…うん」なんとなくだけど、切ない表情の意味がわかった。「オレも疲れた、東京…」正直ホントに疲れていた。「一緒に行くか、北海道」最後の言葉は聞かないフリをした。もうそんなに若くもないし馬鹿でもない、ただのツマラナイおっさんだよオレは…、そう言おうとして、それもやめた。歳を取ると言葉を飲み込むことが多くなる。でも、いつかこいつが北海道に移住したら、遊びに行ってみよう。北海道のHの家の居間にはカモメが飛んでいるだろうか。そしてピラミッドの電話機が自慢げに置かれているだろうか。楽しみがひとつ増えた。僕とHの話はこれでおしまい。次回から、また自分の話に戻る。※追記このときからHとは会っていない。もうあれから十年以上が経った。彼はどこでどうしているのだろうか。歳を取ると、あまり人に会わなくなる。このまま一生会えないのは寂しい気もするが、それはそれでいいような気もする。まっ、それもこれも神様の気分次第ということだろうか。