真夜中の虹(page 89/280)[真夜中の虹]
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概要:
89長渕剛と、恥ずかしいレパートリーが並び、それを次々と歌い流していく。何曲目だったろうか、浜田省吾の「もうひとつの土曜日」....
89長渕剛と、恥ずかしいレパートリーが並び、それを次々と歌い流していく。何曲目だったろうか、浜田省吾の「もうひとつの土曜日」を歌っているHの横顔が、なぜか切なく見えた。長い付き合いの中で、こいつのこんな顔を見るのは数えるほどしかなかった。歌の切れ間になんとなく聞いてみた。「何か、あったのか……」「…オレ体が、駄目になってまったわ…」「…ガンか?」「…肝臓だわ…」「なんだ、オレと一緒か、働き過ぎか?」「数年前までおった印刷会社の激務がたたって…」「なんでそんなになるまで働いたんだ」「役者になる夢を忘れるためと…あと、金が欲しかった…」泣かせる話だ。「金は貯まったのか?」「貯まったけど、使ってしまったわ」「何に?」