真夜中の虹(page 86/280)[真夜中の虹]
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86爆発的に流行した。そんなナメ猫の真似をして、チョッパーをかけ、花嫁をエスコートする男がいた。それはHだった。自分の結婚式でバカな格好をして、過去をふっ切ろうとするその姿が痛ましい。しかし、よく見ると....
86爆発的に流行した。そんなナメ猫の真似をして、チョッパーをかけ、花嫁をエスコートする男がいた。それはHだった。自分の結婚式でバカな格好をして、過去をふっ切ろうとするその姿が痛ましい。しかし、よく見るとタキシードの袖口が何重にも折り返され、田舎の不良が着る学ランのようになっている。んっ?どういうことだろう?冗談なのか、マジなのかさっぱりわからない。周りに目をやると、苦笑する人三割、ほほえましく見守っている人三割、唖然とする人三割で、残りの人は下を向いて必死になって笑いをこらえていた。Hは、きっとイカシてるつもりでやっているのだろうが、絶望的に格好悪い。ひと言も注意をしない花嫁も花嫁だが、彼女の顔にもチョッパーはかけられ、見るとまんざらでもない様子。だとしたら、このことはすでにふたりの間では了解済みということになる。彼はとうとう同じ価値観を持つ女性と巡り逢えたようだ。しかし、如何せんビジュアル面すべてが格好悪すぎた。喜びたいのに恥ずかしさが先に立ち、非常にへんてこな気持ちで式は終わった。それでも、そんなところも含め、Hらしいといえば、Hらしかった。式から数カ月が経った頃、ふたりの新居に招かれた。ローンで買った田舎に一戸建て。外見はごく普通の家だった。「どうぞ」