真夜中の虹(page 85/280)[真夜中の虹]
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概要:
85第一六話「予言」都会の生活に疲れたHは、しばらく田舎の実家に閉じこもっていたが、いつしか時間が彼の心の疲れを癒し、少しずつだが稼業の自転車屋を手伝えるまで快復した。人間って奴は本当に....
85第一六話「予言」都会の生活に疲れたHは、しばらく田舎の実家に閉じこもっていたが、いつしか時間が彼の心の疲れを癒し、少しずつだが稼業の自転車屋を手伝えるまで快復した。人間って奴は本当に逞たくましい。東京で受けたダメージに彼なりに片を付けたのだ。Hが田舎に引っ込んでから数年が経ったある日、彼から電話があった。「見合いで結婚することになった」久しぶりに聞く声は、東京での出来事は何事もなかったかのように元気だった。心に空いた空洞を埋めようと、とにかく必死になって前に進みたかったのだろう、彼にとって見合いで結婚という選択肢は悪くないと思った。数カ月後、彼の結婚式に出席することになった。いまから二十年くらい前、ナメ猫というキャラクターが流行ったのを覚えているだろうか。チョッパーというサングラスをかけた猫が、不良学生や暴走族の格好をしてポーズをとり、それがポスターや縫いぐるみになって、全国の土産物屋に並んだのだ。当時でも、なんであんなものが流行るのかまったくわからなかったのだが、とにかく、その頃の日本人の心をくすぐり