真夜中の虹(page 72/280)[真夜中の虹]
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72ていた。ところが、劇団幹部の人たちの話し合いの結果、僕をキャストの方で使うという。あら、そう、そうなの、僕は役者をやるの…?なんで???理由は、俳優部の人たちと混じってやった軽いゲーム感覚での表現が面白....
72ていた。ところが、劇団幹部の人たちの話し合いの結果、僕をキャストの方で使うという。あら、そう、そうなの、僕は役者をやるの…?なんで???理由は、俳優部の人たちと混じってやった軽いゲーム感覚での表現が面白かったからだという。しかし、これがきっかけでその後二十年以上も役者をやることになるのだから、人生って奴はわからない。好奇心旺盛な僕は、役者をやるのはどうせ最初で最後だろうと、劇団の公演に出演することにした。役どころは、東京の高校へ行ってしまった不良の先輩を追いかけて、田舎から上京するダサイ後輩の役。短いシーンだったけど、本番で笑いを取り、評判も良かった。自分でも予想外のデキに、心はいつになく満たされていた。当たり前だ、演技も何も知らない人間は、いわゆるビギナーズラックといって、プレッシャーを感じることもなく、ノビノビと演技ができるものなのだ。しかし、こうなってくると調子に乗ってしまうのが人間。もう少しだけ俳優というものをやってみようかな……、大きな勘違いがひとり歩きを始めた。そこに追い打ちをかけるように映画出演の話がきた。大学の映画学科の先輩に石井聰互という、新進気鋭の映画監督がいて、その監督が劇団のメンバーを数人、次の映画に使いたいという。そのメンバーの中に僕の名前も入っていた。僕の初舞台を偶然監督が見ていて、気に入っ