真夜中の虹(page 65/280)[真夜中の虹]
このページは、電子ブック 「真夜中の虹」 内の 65ページ の概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると、今すぐ対象ページへ移動します。
概要:
65第一二話「演劇」ここで少し、演劇との関わりを話しておこう。話は高校一年に戻る。僕は、可愛い女の子が多いことと、活動が楽そうという理由だけで演劇部に仮入部をした。仮入部というのは、....
65第一二話「演劇」ここで少し、演劇との関わりを話しておこう。話は高校一年に戻る。僕は、可愛い女の子が多いことと、活動が楽そうという理由だけで演劇部に仮入部をした。仮入部というのは、まず仮に一週間だけ入部し、嫌だったらやめればいいというお試し期間だ。さっそく仮入部の手続きを済ませ、部の練習を見学に校内にある講堂に向かった。入学式など特別なとき以外は、ほとんど入ったことのない講堂の舞台上で、数人の先輩が台詞を喋り、動いていた。講堂の椅子に腰かけ、しばらく稽古を観ていると、客席から舞台上の先輩たちに向かって指示を与え、芝居の稽古をつけている人がいた。その人は、どうみても高校生にも先生にも見えなかった。この人は誰だろう。ニキビがつぶれた顔に、ずんぐりむっくりの体型。頭にベレー帽を載せ、ズボンは流行遅れの茶色いオーバーオール。見た感じは、オカマの芸術家というところだった。どうやらこの部はこの人がコントロールしているらしい。その人は遠山さんといって、演劇部のOBだった。父親はテキヤの親分だったが、彼が若い