真夜中の虹(page 61/280)[真夜中の虹]
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61第一一話「旅立ち」Sが…Sが死んだ。あんなに元気だったSが死んだ。昨日は、駅までふたり乗りをして、そのまま別れた。「じゃあな」駅近くの公衆電話に寄りかかり、手を振っていたS。....
61第一一話「旅立ち」Sが…Sが死んだ。あんなに元気だったSが死んだ。昨日は、駅までふたり乗りをして、そのまま別れた。「じゃあな」駅近くの公衆電話に寄りかかり、手を振っていたS。その姿が最後になった。Oは話を続ける。昨日の深夜、Sは双子の兄のM、そして姉の許婚のKさんと三人でドライブに出かけた。運転はKさん、助手席にはSが坐り、車は猛スピードで田舎道を突っ走った。田舎の道は飛ばしやすい。道が真っ直ぐ伸び、視界は広く、目に入るのは道端の電柱ぐらいで、擦すれ違う車はほとんどなく、ハンドル操作さえしっかりしていれば、事故に遭うことはまずない。しかし、そのハンドルさばきが未熟だった。車は電柱に激突し、助手席に乗っていたSは即死、Kさんと、後ろに乗っていたMは重体だった。Oの話を聞きながら、頭がグラグラしてきた。そのあとのことはあまり記憶にない。断片的に覚えていることは、江口さんというクラスの大柄な女子が教室で、やるせねーと大声で叫んだこと。Mの入院している病院まですぐに行っ