真夜中の虹(page 6/280)[真夜中の虹]
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概要:
6第一話「心中」夏は嫌いだ。C型肝炎キャリアであるこの身体は夏の暑さに耐えられない。持ち主の言うことをまったく聞いてくれない....
6第一話「心中」夏は嫌いだ。C型肝炎キャリアであるこの身体は夏の暑さに耐えられない。持ち主の言うことをまったく聞いてくれない。動け動けと命令しても昼間から棒のようにドテッーと横になるばかり。嫌いな理由はそれだけではない。僕の周りには夏に死ぬ人が多い。姉、両親、祖父、親友、葬式はすべて夏。炎天下で着る喪服には、汗と一緒に嫌な思い出がたくさん詰まっている。僕の両親は心中をしている。「中島さん!中島さん!」あれは十九歳の夏。当時、西武線江古田駅近くに下宿していた僕あてに電話がかかってきた。電話の主は父方の叔父だった。「もしもし、あのなぁー、ちょっと、大変なことが起きたからすぐに実家へ帰りなさい」「大変なことって、何?」