真夜中の虹

真夜中の虹(page 56/280)[真夜中の虹]

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56特にY先輩の部屋は親から与えられたアパートの一室で、何時でも自由に出入りができる、都合の良い場所だった。その部屋でよく聴いたユーミン(当時は荒井由実)のファーストアルバム『ひこうき雲』。あの頃のユ....

56特にY先輩の部屋は親から与えられたアパートの一室で、何時でも自由に出入りができる、都合の良い場所だった。その部屋でよく聴いたユーミン(当時は荒井由実)のファーストアルバム『ひこうき雲』。あの頃のユーミンの声は儚はかなかった。彼女の歌声を聴いていると、心地良さと空しさが同時に襲ってきて、なんだか息苦しくなり部屋の中をぐるぐると歩き回った。もちろん女の子にも興味があった。童貞という面倒なレッテルを破がしたくて、身近にいる女の子にちょっかいを出しては、ふられていた。こっちがセックス目当てなのに、向こうが求めているのは淡い恋愛。恋愛なんてまるでわかっていないヤリタイ坊やが年頃の女性とうまくいくわけがない。しっかり童貞レコードを更新していた。もちろんMとSの双子も童貞だった。鼻の大きなOひとりだけが経験済みで、いつも僕らを下に見ていた。O以外の三人は、「オレたちはいつになったら女とやれるのだろう…」エロ雑誌を眺めてはアイスクリームを舐め、慰め合っていた。しかし、裏切り者が出た。Sがある日、童貞とサヨナラしたのだ。相手は名古屋に遊びに来ていた東京在住の二十三歳の女優志望のAさん。