真夜中の虹

真夜中の虹(page 55/280)[真夜中の虹]

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概要:
55というわけで、本題に入る。一九七七年、僕は高校二年生、十七歳になった。この頃から、だいたいいつも行動を共にする仲間が決まってきた。メインは四人。鼻がでかくて口の悪いO、それに一卵性双子の兄弟....

55というわけで、本題に入る。一九七七年、僕は高校二年生、十七歳になった。この頃から、だいたいいつも行動を共にする仲間が決まってきた。メインは四人。鼻がでかくて口の悪いO、それに一卵性双子の兄弟のMとS、そして僕の四人。我が校は高校二年になると、クラス分けが志望大学別になる。まず、文化系と理科系のふたつに分かれ、そこから国立コースと有名私立コースとただの私立コースに分かれる。僕らは四人とも志望校が、ただの私立文化系大学コースだった。部活は演劇部。鼻のでかいOは役者班であとは大道具班。とくにSとはクラスが同じということもあり、いつも一緒にいた。僕たちは、将来何になるのか、何がしたいのか、何ができるのか、サッパリわからないまま、いや、わかろうともせず、そういった将来についての問題から逃げまくっていた。毎日、漠然とした不安をかかえ、明日が見えないまま、無駄な時間をつぶしていた。演劇部の部室、Oの家、Y先輩の部屋、この三カ所を毎日ぐるぐると移動しながら、ダラダラと喋り、タバコを吸い、酒を飲み、軽い万引きをした。そこは僕らにとって、魔のトライアングル地帯だった。