真夜中の虹（page 52/280）[真夜中の虹]

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概要：
52かかった直後は誰だって辛い。いまという時間から逃げたくなる。だけど、時から逃げることは出来ない。たとえ逃げても後からくっついてくる。そんなときは、いまという時間が本当に憎い。苦しみ悩み、ただのたうち....

52かかった直後は誰だって辛い。いまという時間から逃げたくなる。だけど、時から逃げることは出来ない。たとえ逃げても後からくっついてくる。そんなときは、いまという時間が本当に憎い。苦しみ悩み、ただのたうち回るしか術がなくなる。しかし、時が経つと共に、そんな心も次第に解れていく。それがどれくらいの時間を費やすのかは人それぞれだが、心の中で決着がついた瞬間、それまでの時間は、初めて味方だったことになる。心を癒すには、ある程度の時間は必要なのだ。でも、いまは悲しい…。もう彼女に会うことは二度とないし、思い出の中でしかあの笑顔を見ることはできない。時間が経てば、そのうちあの笑顔を忘れるときがくるのだろうか。頭の毛と同じで、時と共に彼女への思いも薄らいでいくのだろうか。だとしたら早くして欲しい。早く時が経って欲しい……。若くして変死をしたIさん。他の同級生は、彼女を不幸の塊のように言う。彼女は本当に不幸せだったのだろうか。ひょっとしたら、彼女にとっては悔いのない人生だったかもしれない。それは彼女だけが決めることだし、彼女にしか決めることはできない。周りがとやかく言うのは、意味がない。その人の死は、その人にしかわからない。いや、その人にもわからないかもしれない。いや、きっと、誰にもわからない。