真夜中の虹

真夜中の虹(page 51/280)[真夜中の虹]

電子ブックを開く

このページは、電子ブック 「真夜中の虹」 内の 51ページ の概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると、今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
51「うん、よく言う変死って奴だよ」「ある朝、Iさんは炬燵に入ったまま寝ていた、朝になって家族が気が付いたら、炬燵に入ったまま彼女は死んでいた、ってことでいいんだよな」「うん、間違いではないけ....

51「うん、よく言う変死って奴だよ」「ある朝、Iさんは炬燵に入ったまま寝ていた、朝になって家族が気が付いたら、炬燵に入ったまま彼女は死んでいた、ってことでいいんだよな」「うん、間違いではないけれど、そんな穏やかなものではないと思うよ」「えっ、どういうこと?」「実はなぁ…」そう言ってTは話を始めた。ある日、彼女の母親だか父親だかが倒れた。そのため、家計の一部を彼女が負担することになり、それが彼女にとっては大きなストレスになった。日々の生活に疲れ果て、身体は激痩せし、昔の面影はなくなって、当時付き合っていた男は不特定多数、頼めば誰とでも寝る女になっていた。亡くなった日の前日も、疲れ果てた姿で炬燵に入っていたという。優しい彼女のことだから、てっきり昔の面影のまま、神様に呼ばれるように穏やかに、スゥーっと天に昇っていったと思っていたが、現実はもっと残酷だった……。Tから聞かされた真実に頭の中が小さな混乱を起こし、すぐに消化できないでいる。整理するのに、少し時間が必要だ。人生において、時間というものはときに敵になり、ときに味方になってくれる。不運が降り