真夜中の虹

真夜中の虹(page 44/280)[真夜中の虹]

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44あれは高校一年の春だった。僕には中学の三年間、ずっと好きだった女の子がいた。ヒョロっと背が高く、僕から見ればとても可愛い子だった。僕から見ればと言ったのは、他の男子からはそんな声が聞こえてこなかった....

44あれは高校一年の春だった。僕には中学の三年間、ずっと好きだった女の子がいた。ヒョロっと背が高く、僕から見ればとても可愛い子だった。僕から見ればと言ったのは、他の男子からはそんな声が聞こえてこなかったからだ。好みというものは、人それぞれだから仕方がない。人がなんと言おうと、僕には彼女が世界でいちばん可愛い女性に見えたのだ。高校生になり、それまでとは大きく何かを変えたかった僕は、三年間の片思いの気持ちを整理するべく、思い切って彼女に告白することにした。これといって特徴もない不細工な男が、同級生の可愛い女子に告白をする。玉砕は必死だ。告白の日、髪の毛に生まれて初めてのアイパー(アイロンパーマ)なるものをあて、彼女を校舎裏に呼び出した。不良のようにしゃがんで待っていると、彼女はやってきた。それもひとりで。当時の女子は、こういうことに関しては、決まって付き添いの子を伴ってくるのだが、ひとりで来てくれたことがまず嬉しかった。そして、僕の隣にチョコンとしゃがんだ。好きな女の子とふたり、同じ姿勢でしゃがんでいる。辺りには誰もなくふたりきり。ジッとそのまま彼女と同じ時間と空気を共有する。それはシアワセな時間だった。しかし、シアワセな時間は長くは続かない。僕は告白をするために彼女を呼び出したのだ。100%断られるのはわかっている。告白しなければこれまでのように友達関係でいられる。でも、ひと度告白したらこれまでの関係は崩れてしまう。どうしよう……。往生際の悪さがここにきて出た。しかし、