真夜中の虹(page 43/280)[真夜中の虹]
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概要:
43第八話「初恋」あー、寒い。今年の冬は本当に寒い。寒さという奴は病気の身には本当にこたえる。寒さであちらこちらが痛み、身動きが取れなくなる。こうなったら思い切ってもっと寒いところに身を晒してみようと、....
43第八話「初恋」あー、寒い。今年の冬は本当に寒い。寒さという奴は病気の身には本当にこたえる。寒さであちらこちらが痛み、身動きが取れなくなる。こうなったら思い切ってもっと寒いところに身を晒してみようと、半ば自虐的に極寒の越後の国にやってきた。あたり一面見事な銀世界。温かい温泉に浸かりながら、空から舞い落ちる雪を眺める。雪の白は死を連想させる。人は何のために生まれて、何をしたいのだろうか……。何を求めて、どこに流れていこうとしているのだろうか……。さっぱりわからない。僕は、温泉という極楽にいながら、心は迷路に入り、わけのわからないところを行ったり来たりしていた。昔から、ふと自分の先行きを考えては怖くなる。自分はこの先どうなっていくのだろうか…。ひょっとしたらこの先、楽しいことなんて何ひとつないかもしれない…。だったら生きていても意味がないのではないか……。いっそのこと、死んでみようか……。小さい頃から物事を悲観的に考えてしまう傾向はあった。人と会話をしても、口から出るのは悲観的なことばかり。本人はいいけど、聞かされる他人はたまったものじゃない。付き合っていた彼女からも幾度となく言われた。あなたの考え方って絶望的に底なしね…、と。