真夜中の虹(page 42/280)[真夜中の虹]
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概要:
42やそっとでは拭い去ることはできない。その後も、同じようにいろいろなものや人に対して依存をし、同じように後悔を繰り返すことになる。それでも、繰り返す度に依存度は弱まり、いまは現実を受け入れよ....
42やそっとでは拭い去ることはできない。その後も、同じようにいろいろなものや人に対して依存をし、同じように後悔を繰り返すことになる。それでも、繰り返す度に依存度は弱まり、いまは現実を受け入れようと日々奮闘している。矢沢というかつての王様は、僕の中ではただのおじ様になり、そのおじ様に一喜一憂することは、いまはもうない。当時は心地良かった矢沢節も、たまに冗談のように聞こえるときがある。矢沢がマジで言えば言うほどおかしくて、腹を抱えて笑っている自分がいる。もちろんそれはそれで楽しいし、そんな矢沢も嫌いじゃない。しかし、僕はもう自分を必要以上に鼓舞する人間には興味が持てないのだ。あの頃は大きく見えた矢沢が、いまは可愛く見える。テレビの中の矢沢は言う。「幸せでいえば、オレも街角の豆腐屋の親父も同じ。自分で幸せだと思った人間が幸せなんだよ。たとえ総理大臣でも本人が不幸と思ったら不幸なのよ」いい言葉だと思う。田舎の高校生の希望を乗せ、たしかに奴はハッピーを手に入れた。僕にとって、初めて出会った教祖様。それは、気ままなロックンローラー、矢沢永吉その人だった。