真夜中の虹(page 41/280)[真夜中の虹]
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41になれる。勝手にそう思い込み、コンサートという檻の中でだけ、自由に暴れ回った。そこに導いてくれたのは、矢沢永吉その人。自分の中で矢沢は確かに神だった。熱する速度が速い分、冷めるスピードも速かった。あ....
41になれる。勝手にそう思い込み、コンサートという檻の中でだけ、自由に暴れ回った。そこに導いてくれたのは、矢沢永吉その人。自分の中で矢沢は確かに神だった。熱する速度が速い分、冷めるスピードも速かった。あっと言う間に三年の月日が過ぎ、ピリオドを打つときがやってきた。矢沢が日本を捨ててアメリカに行くことになったのだ。矢沢は本当にビッグになった。しかし、僕はビッグにはなれなかった。まったく進歩のない三年間だった。憧れの人は夢を果たしたのに、こっちは自分の夢すらわからないまま、田んぼの畦道を、鞄をブラブラさせながら歩いている。自分の夢がわからない人間が、夢に近づけるわけがない。矢沢に浮かれ過ぎて、自分のことなど何ひとつ考えていなかった。自分だけが取り残されていく…。僕をおいてアメリカに行かないでほしい、本気でそう思ったが、矢沢が僕を一緒にアメリカに連れていってくれるわけもなく、矢沢と僕の青春はそこで終わった。これから何をしていけばいいのだろう。矢沢教の信者だった僕は教祖を失い、現実を受け入れることができなくなっていた。矢沢に狂い、夢のように楽しかった高校生活は、子供の国のピノキオと同じ。スターという虚構の王様に依存することで、心が開放されたと勘違いをした僕は、本当は心が閉じたままだということに気が付いていなかったのだ。人間はある程度何かに依存しないと生きていけない。しかし、それが必要以上の依存になった場合、それは現実からの「逃げ」にしかならない。一度身に染みついた依存体質はちょっと