真夜中の虹（page 40/280）[真夜中の虹]

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概要：
40O君が差し出したのは『ILOVEYOUOK』というLPのジャケット。そこに写っていたのはリーゼント頭のトッポイあんチャン。ボロボロのジーパンにKEDSのス....

40O君が差し出したのは『ILOVEYOUOK』というLPのジャケット。そこに写っていたのはリーゼント頭のトッポイあんチャン。ボロボロのジーパンにKEDSのスニーカー、白い丸首のTシャツに格子のジャケット、そしてアメ車にネオン管。それが矢沢永吉だった。その瞬間から矢沢の虜になり、生まれて初めて人を崇拝し、矢沢教の信者になった。田舎の高校に通う僕の三年間は、ただのチンピラ・ロッカーだった矢沢がビッグを夢見て突き進んだ三年間と見事にシンクロした。矢沢になりきり、矢沢と同じような格好をし、同じような言葉を使い、時代に反発し、そして一生懸命目立つことを考えた。矢沢のコンサート会場が日比谷野音、武道館、後楽園球場と大きくなり、彼は着実にビッグに近づいていった。僕たちは拍手と涙と絶叫を必死になって送り続けた。矢沢の前では無防備