真夜中の虹

真夜中の虹(page 39/280)[真夜中の虹]

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概要:
39僕は私立高校の名門というところに、何の苦労もなく中学からエスカレーター式に入学した。中学時代とほとんど変わらない高校での生活。そんな生活から大きく脱しようと、中学では主将をしていた硬派....

39僕は私立高校の名門というところに、何の苦労もなく中学からエスカレーター式に入学した。中学時代とほとんど変わらない高校での生活。そんな生活から大きく脱しようと、中学では主将をしていた硬派の柔道部をやめ、高校では軟派な演劇部に入部した。入部の理由は単純明快、中学三年間を運動部で過ごしたことへの反動と、可愛い女子が多いこと、それと活動が他の部活に対して楽そうだったからで、僕は演劇部の中でもいちばん楽そうな大道具班に入った。このなんとなく演劇部に入ったことが、その後の僕の人生に大きく関わってくるのだが、それはおいおい語るとして、ここでは矢沢との出会いに話を絞ることにする。ダラダラとした高校生活、勉強にはまったく身が入らず、女の子にはいっこうにモテない、僕の人生いったいこれでいいのだろうかと悶々とした日々を送っていたある日、友達のO君の家でなにげなく聴いた歌声に衝撃を受けた。甘く切ないロックのバラードを独特な声質で歌い上げる。歌に色気があることを生まれて初めて知った。「これ、誰?」「永ちゃん」「誰、それ?」「知らんのか、この人だがや」