真夜中の虹（page 36/280）[真夜中の虹]

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概要：
36を個々に一生懸命演じていた。いまになって思えば、この時期にやるべきことは、姉の死をちゃんと受け入れることで、どこかへ追いやることではな....

36を個々に一生懸命演じていた。いまになって思えば、この時期にやるべきことは、姉の死をちゃんと受け入れることで、どこかへ追いやることではなかった。死を受け入れ、お墓を建てるなり納骨するなりして、ある程度の踏ん切りをつけていれば両親の悲劇は起こらなかったと、いまでも思っている。両親は自分たちが死ぬあの日まで、姉の骨を土の中に埋めず、仏壇に置いたまま一緒に暮らしたのだ。現実と闘うには、過去に蓋をしてはいけない。逃げてもいけない。逆に正当化しても意味がない。過去を己の前に晒さらし、受け入れるしかない。醜い己を受け入れる。しかし、この「受け入れる」という作業が極めて難しい。それでもやるしかない。やり続ける努力をするしかない。そうしないと、明日は来ない。あの頃の親を思い出す度、そう思う。