真夜中の虹(page 33/280)[真夜中の虹]
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概要:
33し、シェークスピアの方は、男性によく見られる躁鬱症気質だからだと思う。ほとんどの男は基本的に女性の分裂症気質を理解できない。というより端から理解することをしない。いや、理解することを怖がっている、と....
33し、シェークスピアの方は、男性によく見られる躁鬱症気質だからだと思う。ほとんどの男は基本的に女性の分裂症気質を理解できない。というより端から理解することをしない。いや、理解することを怖がっている、というのが近いかもしれない。しかし、僕のように幼い頃から、母親の分裂症気質に付き合わされてきた人間にとっては、そこは怖いけれど放っておけない面白さと魅力を兼ね備えた懐かしい場所である。なので、シェークスピアはわかり過ぎる故にあまり好きじゃなく、逆にテネシー・ウィリアムズはわからない分、すごく面白い作家ということになる。今回の作品も芝居が進むにつれ、どんどんおかしくなっていく美加理の演技に魅きつけられ、それが母の持っていた狂った母性と重なって、胸が苦しくなったり、キュンとなったりして忙しかった。上演パンフレットに眼を落とすと、「死の反対は欲望」と書かれてあった。「死」の反対は本当に「欲望」なのだろうか。「欲望」の成れの果て、「欲望」に溺れて最終的に辿り着く場所が「死」そのものなのではないだろうか。僕の感覚で言えばこうなる。「《極楽》という名の電車に乗って、《欲望》という電車に乗り換えて、六つ目の角で降りるように言われたのだけど、《墓場》というところで」